ken(中原健 Takeshi Nakahara)

公立中学校教諭(保健体育) 教師歴24年(講師歴4年含む) 部活動顧問(バスケットボー…

ken(中原健 Takeshi Nakahara)

公立中学校教諭(保健体育) 教師歴24年(講師歴4年含む) 部活動顧問(バスケットボール) バスケ指導歴31年 日本バスケットボール協会公認A級コーチ・ジュニアエキスパート・コーチデベロッパー・キッズサポートリーダー これからの部活動のあり方を模索しています。

最近の記事

U15カテゴリー登録競技者の競技開始年齢

半年ほど前にX県内の2022年度日本バスケットボール協会U15カテゴリーに登録した競技者の競技開始年齢を調査しました。今回はその調査結果の報告です。 はじめに競技開始年齢の調査は実は難しい作業です。なぜなら「バスケットボールを始めた時期」の定義について確固たる定義があるわけではないからです。 私が自分のチームで競技開始年齢をアンケート調査すると、体育で初めてバスケットボールをした年齢を記入する選手、試合はしたことないけどスクールでバスケットを始めた年齢を記入する選手、ミニバ

    • 「人間の直感は間違う」

      今から7年ほど前の話 「人間の直感は間違う」 書店でぶらぶらしていると平積された本の帯に、この言葉が大きく書かれていた。 なぜだか、その言葉に強く惹かれ、すぐに本を手に取った。 中をパラパラとめくると、非常に興味深い内容で、迷わずに購入した。 その書籍はマイケル・ルイス著、タイトル「かくて行動経済学は生まれり」 行動経済学の生みの親、ダニエルカーネマンとエイモス・トヴェルスキー、二人の天才科学者の物語である。 その後、マイケル・ルイスのベストセラー『マネー・ボール』を読

      • 〈結果報告〉 2023年の成長速度曲線

        1.今年度も計測しました成長速度曲線新年度がスタートしました。 今年度も成長速度曲線のグラフ作成を行いました。 結論から言うと、今年は例年と異なる平均値が読み取れました。 理由はよくわかりませんが、こんな年もあるんですね…。 昨年度の結果については以下の記事をご覧ください。 2.2023年の成長速度曲線昨年度末に、ポータブルSSDに保存していた過去9年分ほどのデータ(約2テラ)が突然クラッシュしてしまいました。 そのため、ここ数年分の成長曲線などに関わるデータも全て消えて

        • バスケットボールU15の話          第1章 U15の基本

          はじめにここ数年、バスケットボール競技における中学生年代の世界は大きく様変わりをしています。これは、日本バスケットボール協会が2014年に国際バスケットボール連盟からの制裁を受け、様々な変革を行ったことが、その一因とも言えます。 しかし、それだけではなく少子化や国民のライフワークの変化など日本国内の社会構造の変化そのものが、日本スポーツ界における育成年代のあり方を変える(今後変えていく)大きな要因となっていることも間違いないでしょう。 ひと昔前までは、中学生年代でバスケッ

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          LTADまとめ その16 第13章 Active Start 〜活動の始まり〜

          第13章 Active Start  〜活動の始まり〜はじめに この章では、なぜアクティブスタート(生まれて最初の6年間)に身体活動が重要なのか、そしてその時期にどのような身体活動が最も重要なのかを説明します。 また、この時期に子どもの脳に起こる重要な変化と、身体活動がどのように脳の最適な発達を促すかについて説明します。 この時期は心身の変化が激しく、体を動かすことが大好きになり、毎日の活動習慣が身につく時期です。この時期の子どもは、やること、やらないことの多くが親や養育者

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          スキャモンって誰?

          スキャモンとはどんな人物だったのか?育成年代のスポーツ指導者なら誰でも知っているスキャモンの成長曲線。 その知名度とは裏腹に、「スキャモン」なる人物がどのような人物かを知る人は少ないと思います。 かく言う私も、スキャモンなる人物が何者か全く知りませんでした。 そこで、今回はスキャモンについて調べて、分かったことをまとめてみました。 リチャード・E・スキャモン(1883~1952年)略歴名前:Richard Everingham Scammon   (リチャード エバーリンガ

          LTADまとめ その15 第3部:長期アスリート育成のステージ その概要

          ついに第3部に突入しました。 第3部ではLTADの各ステージについて、その詳細を説明しています。 ここでは第3部のイントロとして、各ステージの概要について説明がされます。 第3部 長期アスリート育成の各ステージ第3部では、LTADの各ステージについての詳細な情報を提供します。 各ステージにおいて、保護者やコーチが注意すべき点や、プログラムが重視すべき点など、重要な情報について説明をしていきます。 LTADモデルを実践するためには、7つのステージを十分に理解する必要がありま

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          「クラブチームの全中参加」は部活動の地域移行化(部活動改革)とは呼べない

          要点 ・中体連がR5年度より全国中学校総合体育大会への参加要件を緩和し、地域スポーツクラブ等も、中総体に参加することが可能になることが報道された。 ・中総体を主催・運営する中体連という組織は一般の教師たちが通常業務の傍ら運営する組織である。 ・本来ならば地域スポーツクラブのために大会を主催・運営しなければならないのは各競技団体(〇〇協会や〇〇連盟といった各種目の団体)である。 ・にもかかわらず、地域スポーツクラブが参加する大会を教員集団である中体連に運営させるのは、人員

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          LTADまとめ その14 第12章 継続的改善

          第12章 継続的改善この章では、LTADの10個のキーファクター最後の一つ、「継続的改善」について、その詳細が語られます。 ※ここから先はLTAD第12章「継続的改善」を簡単にまとめた内容になります。 はじめにLTAD の基本理念である継続的改善のコンセプトは、「カイゼン」として知られる日本の産業哲学に由来しています。世界では、変化がますます速いペースで起こっています。私たちは、ほぼ毎日、技術の新しい進歩や、社会的、政治的、経済的な現実の変化を目の当たりにしています。変化は

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          LTADまとめ その13 第11章 スポーツ組織の調整と統合

          第11章 スポーツ組織の調整と統合会社などの組織には様々な部署がありますが、 同じ組織内なのに部署同士の連絡・調整ができておらず、 フタを開けてみると困ったことってないでしょうか? また、ある特定のスポーツ関係団体の中で働いた経験のある人なら分かると思いますが、スポーツの関係団体って、それぞれ好き勝手に事業運営していて、その他の団体や組織同士での連絡・調整ってほとんど行われていませんよね(笑) 私にとっての身近な具体例は中体連と競技団体です。 この二つの組織がお互いに話し

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          近隣校育成リーグ はじめました

          はじめに「近隣校育成リーグ」 我ながら名前がダサい...。 これは私が作った小さな大会(リーグ戦)の名称です。 私の指導する中学校から、徒歩で移動できる圏内にある近隣の中学校3校を参加校としてお誘いしました。また、勝敗を争うことよりも、選手個々の育成を目的としているため「近隣校育成リーグ」という名前にしました。 今回は、このリーグ戦について紹介させていただきます。 近隣校育成リーグの特徴特徴①近隣校だけで行う 私の指導するT中学校が主催となり、K第1中、K第2中、J中

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          LTADまとめ その12 第10章 競技会

          第10章 競技会中学生にとって最大の競技会である中学校総合体育大会(中総体)が目下開催中です。部活動に取り組む生徒たちにとって、この中総体の全国大会は憧れの場所であり、また、そこにつながるブロック大会、県大会、地区大会は今までの練習の成果を発揮する場として大きな教育効果を発揮してきました。 夏の中総体で負けると、3年生たちは部活動を「引退」し、受験勉強に励む… というのが今までの中学生の一般的な姿でもありました。 しかし、中総体を中心としたそのような部活動生徒の姿は、教員の

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          LTADまとめ その11 第9章 ピリオダイゼーション

          第9章 ピリオダイゼーション3年生の最後の大会が終わり、1・2年生の新チームでの練習が開始しました。 新チームになって最初はどんな練習をしよう- とりあえず、近隣のチームと練習試合するか–。 いやいや、まだ試合なんかできるレベルじゃない。まずは基礎練習から-。 この時期は、指導者として頭を悩ませながらも、ワクワクする時期です。 ともあれ、生徒たちの成長を最大化させるためには、しっかりとした年間計画が必要です。LTADにおいても「ピリオダイゼーション」として、年間計画の重要性

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          LTADまとめ⑩第8章 上達までの時間の必要性

          第8章 上達までの時間の必要性「1万時間の法則」という言葉があります。 これは、「ある分野で一流になるためには、最低でも1万時間の練習が必要である」という法則です。 この法則については賛否両論ありますが、 個人的には「卓越した技術を身につけるには長い時間がかかる。」ということについては同感です。 具体的にそれが正確に1万時間であるかどうかは別として、 いかに効率的な練習を行い、最短の時間で技術の習得を図ったとしても、 やはり、一流になるにはそれ相応の時間がかかると思うので

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          LTADまとめ⑨第7章 思考、感情、道徳性の発達

          第7章 思考、感情、道徳性の発達 発育発達というと、身体の発育発達のみを考えがちですが、 人間の思考や感情、道徳性にも発達段階が存在します。 育成年代のスポーツにおける思考、感情、道徳性の発達は ゲーム理解、空間認知、ルールの遵守、実力の発揮などと関わる大きなテーマです。しかしながら、このような精神面に関する指導は、理論的な根拠のない指導に陥ったり、根性論的な指導に終始したりする傾向はないでしょうか? この章は、私自身がLTADの中でも非常に考えさせられた章でもあります

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          LTADまとめ⑧第6章 トレーナビリティー

          第6章 トレーナビリティートレーナビリティーとは聞きなれない言葉ですが、 「トレーニングの効果的な時期とその内容」と考えて良いと思います。 発育・発達の途上にある育成年代の選手達に大人と同じトレーニングを行なってもトレーニングの効果は高くありません。 と同時に、大人になってからではトレーニング効果の低いトレーニングでも、 子ども時代であれあば、非常に高いトレーニング効果を示すものもあります。 育成年代のコーチは、大人と同じようなトレーニングを子供達に課すのではなく、 一般

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