見出し画像

U15カテゴリー登録競技者の競技開始年齢

半年ほど前にX県内の2022年度日本バスケットボール協会U15カテゴリーに登録した競技者の競技開始年齢を調査しました。今回はその調査結果の報告です。

はじめに

競技開始年齢の調査は実は難しい作業です。なぜなら「バスケットボールを始めた時期」の定義について確固たる定義があるわけではないからです。
私が自分のチームで競技開始年齢をアンケート調査すると、体育で初めてバスケットボールをした年齢を記入する選手、試合はしたことないけどスクールでバスケットを始めた年齢を記入する選手、ミニバスチームに入った年齢を記入する選手などなど、選手それぞれ思い思いの競技開始年齢が記入されてしまいます。

そのようなこともあり、まず本調査にあたっては「何を持って競技開始年齢とするのか?」という定義づけが必要となりました。
そこで、第一に競技開始年齢とはチームに所属して定期的に練習に参加し始めた年齢とすることとし、第二にデータ収集が比較的容易であることから、ここでは競技開始年齢の定義を「日本バスケットボール協会に初めて選手登録した年齢」とし、調査を行いました。

それでは調査の概要です。

調査の概要

目的

X県内のU15カテゴリー登録選手の競技開始年齢を把握することで、現在のX県内育成事業の課題を明らかにし、今後の方向性を明らかにするため。

方法

TeamJBAを利用し、X県内の 2022 年度 U15カテゴリー登録選手について、その競技開始年齢(≒登録開始年齢)を調査した。その際、中体連所属とクラブ所属および男女別に分類し調査を行った。

結果

グラフ1:部活動(中体連)登録の男子競技者3,925人のうち2,817人が中学校から競技を開始している。

2022年度にX県内で部活動(中体連)に登録した男子競技者の総数は3,925人。そのうちの71.7%にあたる2,817人が中学生になってからバスケットボール競技を始めたことがわかった。

グラフ2:部活動(中体連)登録の女子競技者2,540人のうち1,586人が中学生から競技を開始している

また、2022年度にX県内で部活動(中体連)に登録した女子競技者の総数は,2,540人。そのうちの62.4%にあたる1,586人が中学生になってからバスケットボール競技を始めたことがわかった。

このように、男女ともに部活動に所属する選手の多くが中学生になってからバスケットボール競技を開始していることがわかった。

続いて、クラブチームに登録する男子選手について

グラフ3:クラブチーム登録の男子競技者347人のうち中学生になった競技を開始したのは98人

2022年度にX県内でU15クラブに登録した男子競技者の総数は347人。そのうちの28.2%にあたる98人が中学生になってからバスケットボール競技を始めており、U15クラブの男子競技者においては小学生から競技を開始している者が多いことがわかった。

さらに、2022年度にX県内でU15クラブに登録した女子競技者の総数は184人。そのうちの16.8%にあたる31人が中学生になってからバスケットボール競技を始めており、U15クラブの女子競技者においては小学生から競技を開始している者が圧倒的に多いことがわかった。

まとめ

調査の結果より、X県内において部活動が中学生時期よりバスケットボールを開始する選手の大きな受け皿となっていることが分かった。

今後、部活動の地域移行や地域クラブチームの全中参加などの施策により、部活動数が減少し、クラブチームが増加した場合、中学生から競技を開始する生徒たちの受け皿が減り、競技人口が大きく減少する可能性がある。

このことは、強化と普及の両面にとって大きなマイナスである。
そのため、部活動の地域移行化が進む中で、中学生年代からバスケットボールを開始する選手を受け入れる態勢をどのように作り出すのかが大きな課題となっていくだろう。

終わりに

今回はX県内の2022年度U15カテゴリー所属選手の競技開始年齢についての調査結果を報告させていただきました。

この調査結果は、個人的には私が常々感じていた肌感覚通りの調査結果でした。
この結果は、地域や種目(陸上は?バドミントンは?などなど…。他競技の現状も非常に興味がありあます。)によっても大きな差が生じると考えられます。

このようなことから、地域スポーツクラブの全中参加についても、そこに関わる子どもたちに与える影響(プラス面もマイナス面も)は、地域や種目により異なるだろうというのが私の考えです。

各地域や各種目において異なるはずの子どもたちへの影響について、何ら調査・検討がないまま、スポーツ庁のトップダウンにより全国一律の施策として、地域スポーツクラブの全中参加が推し進められていることに、育成年代の指導に関わるものとして、強い不安を覚えています。


この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?