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LTADまとめ その13 第11章 スポーツ組織の調整と統合

第11章 スポーツ組織の調整と統合

会社などの組織には様々な部署がありますが、
同じ組織内なのに部署同士の連絡・調整ができておらず、
フタを開けてみると困ったことってないでしょうか?

また、ある特定のスポーツ関係団体の中で働いた経験のある人なら分かると思いますが、スポーツの関係団体って、それぞれ好き勝手に事業運営していて、その他の団体や組織同士での連絡・調整ってほとんど行われていませんよね(笑)

私にとっての身近な具体例は中体連と競技団体です。
この二つの組織がお互いに話し合うことはありません。
そこには歴史的な背景や大人の諸事情があるとは思いますが、
とりあえず、お互いが話し合いとかしなくても何とかなるもんだな…
と逆に感心してしまいます。

さらに、ここに来てスポーツ庁が関係団体と全く調整などを行わないまま
「令和5年度からの全国中総体に地域スポーツクラブを参加させること」
と自分勝手な圧力を日本中体連にかけ、それを日本中体連が認めてしまいました。

「来年度から地域クラブも中総体に出場できるなら…。」と考え、ご自身のお子さんをクラブに入れた保護者の方々は驚くかもしれませんが、この件はテレビや新聞でも大々的に報道されたにもかかわらず、来年度の実施に向けて、そこに関わる関係団体による話し合いや検討会などは行われていません(令和4年9月現在)。現在、この件はスポーツ庁が日本中体連に丸投げして、各競技団体は静観しているだけ…というのが事実のようです。

日本の育成年代のスポーツのあり方を変えるような一大転換期的な大事業であるにもかかわらず、関係諸団体が全く手を取り合っていないこの現状を見ると、スポーツの関係諸団体が手を取り合って、一つの事業について日程や予算、メンバーなどを調整することって至難の技なのだな…と悲しい気持ちになってしまします。

さて、LTADにおいても、育成年代のスポーツに関わる関係諸団体が協力し、日程や事業内容などの調整や統合を行うことの重要性が説かれています。スポーツを愛する子供たちのために、われわれ大人たちはどのように組織間の調整を行なっていけば良いのでしょうか?

この章では、LTADの10個のキーファクターのうちの一つ、「スポーツ組織の調整と統合」について、その詳細が語られます。

※ここから先はLTAD第11章「スポーツ組織の調整と統合」をまとめた内容になります。

はじめに

この章では、スポーツに関わる個人の視点からスポーツの組織のあり方について考察し、保護者や子どもたちが長期的なアスリート育成(LTAD)のパスウェイを進んでいく際に考えなければならない問題点を提起します。

LTADは、アスリートを中心に設計されるため、競技団体やレクリエーション団体、教育機関や保健機関の事業計画などを変更しながら実施される必要があります。しかし、これら組織間の調整は、いつも組織側の観点から検討されているのが実情です。

長期的なアスリートの育成や競技者登録数の増加は、地域や国に関わらず、スポーツ組織の中核をなす事業です。LTADのフレームワークの中で、スポーツに関わる組織はスポーツにどのように貢献するかを定義することがでます。また、その結果、他の組織とどのように協力し合へば良いかをよりよく理解することができるようになります。

LTAD はコーチや大会役員の教育カリキュラムに強い影響を与えるだけでなく、学校、地域社会、クラブ、そして国や州、県のスポーツ組織の活動を完全に統合する必要性にも取り組んでいます。この章では、LTADモデルがなぜスポーツ施策の基礎となるべきかを再確認し、最後にその施策を実施するためのアドバイスを皆さんに提示します。

個人から見たスポーツ組織

スポーツや体を動かす活動に参加することで、子どもたちは様々な環境や状況にさらされます。それらは総称して組織(システム)として定義することができます。

一つの組織の中では、様々な要素が調和して、その組織がうまく働くように運営されています。また、必要に応じて様々な調整がなされることで、組織内のバランスを保ち、効率を高め、継続的に改善することができています。私たちの社会は、さまざまな組織の相互作用によって機能しているのです。

しかし、一つ一つの組織が良い組織であっても、それぞれの組織同士の調和が取れいているかというと、それは難しい問題です。

この章では、コーチ、スポーツ指導者、保護者が、子どもたちの育成、スポーツや身体活動の管理、そして生涯スポーツを目指す上で、より良い判断を下すためのLTADのあり方を説明します。LTADは、アスリートの個人的な必要性に対応するものなのです。

スポーツ組織は、ビジョン、義務、方針をLTADのフレームワークに合わせる必要があります。そうすることで、レクリエーション、教育機関、保健機関など、他の団体と協力関係を築くことができます。各団体は、人々の健康と活動を維持するために重要な役割を担っています。図1には、子どもの幼年期をサポートする人々や場所を示しています。それらすべてが身体的リテラシーの育成に貢献してほしいと願っています。

LTADにおけるパスウェイを利用し、生涯スポーツと体を動かすことへの関わりを促進し、より優れたスポーツのあり方を倫理的に追求することを奨励するためのフレームワークおよび哲学として、生涯スポーツ(S4L)が登場しました。これらは、健康、教育、レクリエーション、スポーツの各団体が共有する共通の事象と目標といえます。

ほとんどの親は、「赤ちゃんの最初の一年」のようなタイトルの本を買って、この時期に何を期待するかを学ぼうとします。赤ちゃんが生まれた最初の1週間から、1歳の終わりまで、何をいつ、どのようにすればいいのかが、ページいっぱいに書かれています。2歳を過ぎたら、身体的なリテラシーを身につけることを考えなければなりません。

○Active Startのステージ

最初の1年間は、赤ちゃんに関わるスポーツ組織はほとんどなく、通常は家庭が最初の組織であり、時には健康保健団体が関わるのみです。最初の1年間は、親にとっては睡眠不足で大変な時期ですが、子どもにとっては比較的平穏な時期です。2歳になるか、場合によってはそれ以前に、多くの子どもたちは新しい組織、すなわち保育所に入ります。そして、幼児教育が加わります。公民館で水泳を習い、各種レクリエーションに参加するようになります。そして、体操やサッカーなどのスポーツが組み込まれます。このように、「アクティブ・スタート」の段階では、小さなアスリートたちは、ひとつの組織の中で生きていますが、この段階を終えるころには、複数のシステムと関わりながら生活することとなります。

アクティブ・スタートの段階では、さまざまな組織がほぼ独立しているものの、互いに競合することはありません。赤ちゃん、幼児、そして子どもは、遊びを中心とした環境を経験し、最低限の技能しか身に付けていないことがほとんどです。

このステージで検討すべき課題

・家の中で
体を動かすこと、成長すること、探求することを励ましていますか?
子供と一緒に遊んでいますか?
スクリーンタイムを制限していますか?
・健康面では
子どもたちが自分の能力の限界まで活動できるように配慮していますか?
・幼児教育では
身体的リテラシーを育む環境が整っていますか?
子どもたちに体を動かす機会を提供するための研修を受けていますか?
1日のうち、子どもたちが体を動かす時間はどれくらいですか?
スクリーンタイムは制限されていますか?
・レクリエーションでは
指導者は研修を受けていますか?
そのプログラムで、基本的な動作スキルが養われますか?
・スポーツでは
コーチは研修を受けていますか?
そのプログラムで、幅広い基本的な動作スキルが養われていますか?
・すべての場面で
子どもたちは楽しんでいますか?

○FUNdamentals

時間が経つのは早いもので、子供たちは小学校に通うようになりました。保護者は学校教育の中でしっかりとした体育の授業を受けてもらいたいと願うものです。
水泳教室、放課後のプログラム、サマーキャンプなど、地域の公民館を中心としたレクリエーションのシステムは、さらに子どもたちの生活に深くかかわるようになります。ある時期になると、たくさんのスポーツクラブが保護者とその子供たちに参加を呼びかけるようになります。子どもは親をロールモデルとして、今後ますます影響を受けるようになるため、家庭内での遊びはやはり重要です。

このステージで検討すべき課題

・初等教育では
体育の教師が質の高い体育を毎日教えていますか?
子どもたちは、休憩時間に体を動かすよう奨励されていますか?
1日のうちで体を動かす時間はどのくらいですか?
スクリーンタイムは制限されていますか?
・レクリエーションでは
指導者は研修を受けていますか?
そのプログラムで、基本的な動作スキルが養われていますか?
子どもたちは様々な動きを身に付けていますか?
・家庭で
あなたは、活動的なライフスタイルの良いお手本になっていますか?
子どもと一緒に遊ぶとき、子どもが適切に動けるように手助けができますか?
スクリーンタイムを制限していますか?
子どもたちはきちんと食事をしていますか?
・組織化されたスポーツでは
子どもたちはさまざまなスポーツに取り組んでいますか?
コーチは研修を受けていますか?
そのプログラムは、幅広い基本的な運動技能を身につけさせていますか?
・すべての場合で
子どもたちは楽しんでいますか?

○Learn to Trainのステージ

残念ながら、この時期になるとちょっと体重が増え始める子が現れ始めます。スポーツが苦手な子は体を動かすことを敬遠して、不活発なスクリーンタイムを好む傾向があります。一方、もともと運動神経のいい子たちは、優秀な成績を収め始めます。教育現場では、子どもたちを体育の授業や学校スポーツ(部活)に参加させるようになります。また、スポーツクラブは引き続き様々な選択肢を提供しています。しかし、コーチは子供たちに一つのスポーツに特化するように声をかけ始めるようになります。
スポーツ実業家は、キャンプやアカデミー、特別な才能を持つ子供たちをスターに育て上げることを保証するプログラムなどのビジネスシステムを掲げ、この場に参入し始めます。レクリエーション団体も相変わらず様々な活動を提供しています。この時期は、家庭が遊びだけでなく、屋外での経験をする上でも主導権を握っていてほしいと願っています。子どもたちが少し遠くまで出かけて、友達と会って公園で遊べるようになり、近所付き合いも活発になります。
この時期には、子どもの運動能力に関係なく、親は低下しつつある影響力を行使してでも、子どもを惹きつける身体活動を見つけなければなりません。そうしなければ、子供たちは運動不足になり、生涯座りっぱなしの生活を強いられ、健康が損なわれることが研究で明らかになっています(Dalton, 2004)。

このステージで検討すべき問題

・初等教育では
体育教師が質の高い体育を毎日教えていますか?
子供たちは休憩時間に体を動かすよう奨励されていますか?
1 日のうちで体を動かす時間はどのくらいですか?
スクリーンタイムの使用時間は制限されていますか?
・小学校のスポーツ
競技はLTADの推奨するものですか?
トレーニングは精神的に適切な発達をしていますか?
選手たちは有意義な競争のためにグループ分けされていますか?
・組織化されたスポーツでは
子供たちは少なくとも3つのスポーツ(ダンスも含む)をしていますか?
コーチは研修を受けていますか?
プログラムは、基本的なスキルや意思決定のスキルを向上させていますか?
子供たちは平等にプレーし、様々なポジションを練習していますか?
勝利よりも成長に重点が置かれていますか?
そのプログラムは、スピードを鍛え、創造性を発揮させますか?
組織の価値観はどのようなものですか?
・家庭の中で
活動的なライフスタイルの良いお手本になっていますか?
子どもたちを自然の中に連れ出していますか?
スポーツの大会では、大声で指示を出すのではなく、応援していますか?
スクリーンタイムを制限していますか?
子どもたちはきちんと食事をしていますか?
・習い事のスポーツにおいては
指導者の資質は高いですか?
あるスポーツに特化した動きだけでなく、多様な動きを教えていますか?
スピードを鍛え、創造性を発揮できるようにしていますか?
・レクリエーションでは
指導者は研修を受けていますか?
LTADの原則を正しく取り入れた指導をしていますか?
・近隣では
子どもたちは安全ですか?
自由に遊ぶ機会がありますか?
・すべての場合において
子どもたちは楽しんでいますか?

○Train to Trainのステージ

さて、成長期が始まると、パスウェイの分岐点が訪れますあります。一方は卓越したアスリートを目指す道、もう一方は生涯スポーツを目指す道です。さらに、この時期には、スポーツや身体活動の指導者になるチャンスもあります。

卓越したアスリートとしてのスタート地点である「Train to Train」のステージでは、多くの組織が互いに干渉し合っています。しかし、子どもたちがステージを進むにつれて、組織は合理化されます。図.1と同様に、図.2には、LTADの卓越したステージにおいてアスリートに影響を与える多くの人々や場所が示されています。これらのサービス提供者の中には、以前の組織からさらに進んだ部門もあれば、上位のステージ特有のものもあります。

この段階の組織は、しばしば連携がとれておらず、成長過程にあるアスリートをさまざまな方向へ引っ張っていきます。そのため、保護者はスポーツシステムについての知識がほとんどないまま、厳しい判断を迫られることになります。この段階では、アスリートの技術、判断力、運動能力、態度が評価され、選抜チームに選ばれることとなります。(注意:もし、思春期前に早期特化型のスポーツをしていて、選抜チームに所属していなかったとしたら、特化しすぎていたかもしれません!) 多くのスポーツや様々なクラブやチームに参加した後、参加種目を絞り込んで技術を開発・向上させるという課題は困難です。特に、いくつものスポーツを得意とする子どもには、その傾向が強いと言えます。

彼らが複数のスポーツに集中して楽しんでいるとき、この段階のコーチは、特に補完的なスポーツへの継続的な参加を奨励することによって、彼らに対応しようとするはずです。しかし、コーチによっては、より大きなコミットメントを求め、時には不健全に、1つのスポーツで1つのチームに絶対的な献身を求めるコーチもいます。一つのスポーツを上手にこなすアスリートでさえ、様々なチーム、アカデミー、学校、そしてコーチが競い合って自分を取り合うという混乱を経験するのです。これは、この時期の選手にとって難しい判断です。選手にとって、この時期にバランスを取り、向上し続ける目標を達成しながらこの問題に対応するのは難しいことです。ここで、保護者の適切な指導なしで子どもの健全な成長は望めません。

このステージで検討すべき問題

・代表チームは、クラブのコーチと協力して、各アスリートのために独自の周到な計画を立てていますか?
・ハイパフォーマンスクラブやチームには、アスリートの育成を第一の目標とする優秀なコーチがいますか?かつ、彼らは他のスポーツを含む育成計画を構築することに前向きですか?
・正しい栄養補給の方法とタイミングを指導し、選手の成長をモニタリングしていますか?
・スポーツアカデミーは、クラブや所属チームのコーチと連携し、アスリートの長所と短所を把握し、期間限定のプランでトレーニングを組み立てていますか?
・学校は、学生アスリートがスポーツの内外でさまざまな選択肢を持てるように、競技と学業の調整役として機能していますか?
・どのような場合でも、若いアスリートは、社会に貢献できるような人格を形成していますか?


○Train to Competeのステージ

Train to Competeの段階にあるアスリートは、成人に近づいています。彼らは、自分のスポーツ分野で明らかに強くなっており、今では、様々な場所で活躍をしています。彼らは選ばれ、人生を左右するような決断をしなければならないのです。ここでも、彼らが可能な限り最高の環境に身を置くために、厳しい選択が要求されます。アスリートが国際的なレベルで成功するためにパフォーマンスを向上させる機会は、高度なスポーツ科学と医学のサポートサービス、そして最高のコーチによる適切な指導と適切な競技カレンダーに基づいてますます増えてきています。

このステージで検討すべき問題

・学校スポーツは、学業とスポーツのバランスを保ちつつ、アスリートが必要とするトレーニングや競技を考慮していますか?
・チームには、各アスリートのニーズに特化した適切な計画を立案できる優れたコーチがいますか?
・スポーツ研究所は、世界トップクラスの施設やスポーツ科学者を利用することができ、慢性的な怪我を作らないようにサポートサービスを追跡調査していますか?
・大学は、最適なトレーニング環境と、才能の発掘だけでなく、優れた才能の育成に実績のあるコーチを提供していますか?
・ジュニアまたはシニアのナショナルチームは、どのような選手が表彰台に立つ選手になるのか、また、そのレベルに到達するためにはどのような段階が必要なのかを明確に理解し、アスリートの向上を導くための情報提供をしていますか?
・そのプロクラブは、アスリートが次のレベルへ成長するための機会を提供していますか?
・プレーのレベルは、それぞれの成長段階にあるアスリートにとって適切ですか?
・アスリートはクラブや地域社会に貢献していますか?

○Train to Winのステージ

Train to Winの段階にある人は、大人であり、世界最高峰のレベルで勝利を収めています。彼らの現実的な短期目標は、表彰台に立ち、そこにとどまることです。世界最高峰の中に立ち、その順位を維持することは、表彰台に上る努力とは異なる挑戦です。ナショナルチーム、スポーツ機関、プロクラブとの関係は、Train to Competeの段階を経て、発展・確立されています。統合サポートチームは、Train to Winのアスリートに対して、最大限の効果を発揮するためにサポートしなければなりません。

その前のTrain to Competeステージのシステムは概ね同じですが、このステージではメディアとビジネスという新たなプレッシャーが作用します。Train to Winのアスリートは、プロスポーツ環境での国際的な成功や実績から、メディアやスポンサーの要求を取り入れることが課題となっています。また、パフォーマンスから得られる収入を管理することは、新たな心理的課題をもたらします。このような時、知識ある指導者が必要です。もちろん、成功には多くのサポートが必要です。Train to Winのアスリートは、スポーツでの成功がアスリートとしてのキャリアを超えるよう、新しいシステムを理解しなければなりません。

このステージで検討すべき問題

・スポーツ研究所には、世界レベルの科学者や医師がいますか?
・スポーツ研究所は、スポーツ選手の引退と次のキャリアへの移行を促進するためのキャリアサービスを提供していますか?
・シニアナショナルチームは、アスリートの継続的な成長を支援し、国際的なレベルを維持することは、それを目指すこととは異なる場合があることを認識していますか?
・一流のプロクラブやチームは、ナショナルチームの代表をサポートしていますか?
・ビジネス上の利害関係者やスポンサーは、継続的な成功のために必要なトレーニングの要求について認識し、理解し、協力することができています?
・メディアの要求がパフォーマンスに影響を及ぼしていませんか? パフォーマンスへの影響はありませんか?
・アスリートはロールモデルとして、社会に貢献していますか?

◆生涯スポーツ:育成年代(12歳から20歳まで)

どのアスリートも遅かれ早かれ、競技者力向上のパスウェイから生涯スポーツのパスウェイへと移行します。彼らは、身体的リテラシーを身につけた後、思春期に達した時点で、生涯スポーツのパスウェイを歩み始めたかもしれません。一般的に、このパスウェイでは、それほど多くのシステムは関与しません。しかし、アスリートは、スポーツや身体活動を楽しく続け、参加を継続するために、このパスウェイを理解する必要があります。
生涯スポーツには、競技志向と健康志向の2つの流れがあります。多くの経験や交流を楽しむために、様々なスポーツをすることを好む人もいます。また、競争ではなく、自分の健康や幸福のために身体活動を選択する人もいます。図11.3に示すように、生涯スポーツにおける身体活動には2つの流れがありますが、指導者についても2つの流れがあります。これは、活動的で健康な人が、専門職やボランティアの立場を通じて、生涯働くことができるようにするための機会でもあります。

ティーンエイジャーの中には、非常に才能がありながら、一つのスポーツに特化するのではなく、多くのスポーツに参加することを選択する人もいます。この場合、学校でのスポーツとクラブ活動のバランスを取りながら、いくつものシステムが関わってきます。また、非競争的なスポーツ活動を通じて、自分の運動能力を表現する人もいます。このようなアスリートにとっては、競技に費やす時間は少ないので、参加することが容易になります。

この時期に考慮すべき問題

競技志向の場合
・資格のあるコーチが、高校でのスポーツ体験を全面的に推進していますか?
・クラブスポーツは、学校スポーツを補完し、スポーツが楽しく、参加者が適切に挑戦できるようなレベルの競技であることを保証していますか?
・保護者は、子どものスポーツ参加を喜び、支援し続けていますか?
健康志向の場合
・地域社会、レクリエーション・センター、または民間企業は、資格のある指導者を提供していますか?
・保護者は、子どもたちの健康的な身体活動への参加を祝い、支援し続けていますか?

◆生涯スポーツ:青年期(21歳から35歳まで)

成人期への移行は、学生から社会人への移行に相当し、いずれも参加に影響を与える制度です。この段階の人々は、両親のサポートが薄れ、生涯スポーツに取り組む上で重要な時期を迎えています。社会集団は、学校や仕事での自主的な活動という新しい挑戦とともに、スポーツ活動に影響を与えます。

この時期に考慮すべき問題

競技志向の場合
・青少年スポーツクラブと成人クラブが連携し、プレーする場所を確保することができていますか?
・教育や仕事と競技のスケジュールを両立させる機会はありますか?
・大学や専門学校には、活気のあるスポーツや学内プログラムがありますか?仲間はそこへの参加を支持していますか?
健康志向の場合
・教育や仕事と身体活動プログラムを両立させる機会がありますか。
・仲間は身体活動をライフスタイルに組み込んでいますか?

◆生涯スポーツ:成人期(30歳から55歳まで)

この時期になると、ほとんどの人が仕事と家庭を持つことに集中し、これらすべてのことに時間を割かれるようになります。家庭を持つことで、時間的なプレッシャーはさらに大きくなり、教育や仕事は、パートナーや場合によっては子供への配慮が必要となるため、最小限に抑えられます。この段階でのスポーツや身体活動は、重要な交流の場となり得ます。

この時期に考慮すべき問題

競技志向の場合
・クラブには、適切な競技に継続的に参加できるよう、マスターズ部門がありますか?
・仕事と競技のスケジュールを両立させる機会がありますか?
・家族に対する責任と継続的な参加を両立させる方法はありますか?
健康志向の場合
・仕事と身体活動プログラムを両立させる機会がありますか?
・フィットネス・プログラムは託児所を提供していますか?
・家庭と継続的な参加を両立させる方法はありますか?
・配偶者や友人は、継続的な参加に協力的ですか?

◆生涯スポーツ:後期成人期(50歳から70歳まで)

人生のこの時期には、仕事のプレッシャーが軽減され、子供は自立して家を出るようになります。体の動きは鈍くなりますが、それでも身体活動は必要です。体の回復力が低下するため、健康状態を定期的にチェックする必要があります。配偶者や仲間からの積極的な働きかけは、引き続き重要です。

この時期に考慮すべき問題

競技志向の場合
・健康上の問題を早期発見し、継続的な参加ができるように、定期的に医師に相談していますか?
・安全で楽しいスポーツを行うために、ルールは変更されていますか?
・仕事と競技のスケジュールを両立させる機会はありますか?
・配偶者や友人は、継続的な参加に賛成してくれていますか?
健康志向の場合
・健康上の問題を早期発見し、継続的な参加ができるように、定期的に医師に相談していますか?
・仲間は、自分たちのライフスタイルの中に身体活動を組み込んでいますか?

◆生涯スポーツ:老齢期(65歳以上まで)

高齢になると、スポーツや身体活動は、怪我の予防、生活の質の向上、社会的な交流のためにさらに重要になります。退職後、社会的な交流の場としての仕事がなくなり、身体活動やスポーツは、生涯にわたって心と体を健康に保つために非常に重要な場所になります。

この時期に考慮すべき問題

競技志向の場合
・健康上の問題を早期発見し、継続的な参加ができるように、定期的に医師や理学療法士に相談していますか?
・安全で楽しいスポーツを行うために、ルールは変更されていますか?
健康志向の場合
・健康上の問題を早期発見し、継続的な参加ができるよう、定期的に医師や理学療法士に相談していますか?
・フィットネスプログラムは高齢者のために作られたものですか?
・仲間はライフスタイルの中に身体活動を組み込んでいるますか?

スポーツ組織における各組織間の連携

スポーツ組織の中心的な活動は、質の高いスポーツを提供することです。そして、その事業の中核となるのは、持続可能な長期的アスリートの育成です。組織は、会員サービスやイベント管理など、他の業務に使命感を燃やすことがよくありますが、それでも質の高いスポーツを提供することは常に中心的な活動です。
しかしながら、図 11.4 に示すように、組織の活動が、LTAD のすべてのステージで質の高いスポーツを提供するという単純な目的から逸れてしまう現実があることも事実です。このようなことは、収益を上げる必要性から生じることが多く、組織の使命や業務の中心ではないはずの資金調達やプログラムの提供を余儀なくされてしまうことがあるのです。
図11.4を見る際には、国によって組織がどこに位置づけられるかが変わる可能性があることに留意してください。なぜなら、プロチームが国のスポーツ運営団体に資金を提供しない国もあれば、プロチームが巨大な収入源である国もあるからです。

健康、教育、レクリエーション組織など、他のシステムと連携するために、スポーツ組織はまず、そのスポーツ内のさまざまな組織の役割と関係を合理化する必要があります。その関係性は、お互いの組織の責任範囲によって明確にされます。スポーツを効果的に運営するためには、そのスポーツに属する各組織が、それぞれの任務を抑止し、合意する必要があります。各組織の任務は、その中核事業であるLTADに関する役割と責任を定義するものです。

下に示す「スポーツ・マンデート・テンプレート」には、国、州(県)、地域、クラブという4つの組織レベルが示されています。4つの組織ごとの責任は、プログラムとサービスの提供、スポーツの管理、ポリシーの開発、競技会の開催、スポーツのガバナンスを取り巻く広範な活動に対する説明責任について概説しています。

各組織の任務が明確になり、合意が生まれると、スポーツは図 11.5 に示すように主要な責任を果たすことができるようになります。スポーツの任務は横に、LTAD の段階は縦に記載されています。できることなら、すべてのレベルで各組織が協力し、それぞれがどこに、どの段階で責任を持つかを決定することが理想的です。そして、LTAD の実施に関する詳細を図 11.6のように示し、決定します。図 11.5 と図 11.6 の両方を使用することで、国(NSO)、州(SSGB)、地域(LSGB)、クラブの各組織間での責任の明確な区分けが可能になります。これにより、各組織は、プログラムとサービスの開発と提供において、指導、教育、管理、調整といった地方の役割を果たすことができます。この作業が各組織で行われると、そのスポーツは他の組織と連携することができるのです。

健康、教育、レクリエーション、スポーツ部門の連携

健康、教育、レクリエーション、スポーツには、共通の関心と目標があります。すべての部門は、人々が潜在能力を発揮できるよう支援することを目的として、健康と幸福のための機会の提供に従事しています。

それら全ての部門はプログラムおよび施設の提供者であり、我々はスポーツや身体活動を行う際に利用することができます。これらの部門は、共通の目的を持ちながらも、従来はほとんどの場合、互いに独立して運営されてきました。しかし、価値観や使命をより緊密に一致させ、役割と責任をよりよく調整することで、すべての部門が得るものは多いはずです。

スポーツ・フォー・ライフ(S4L)は、LTADの手法を用い、生涯スポーツと身体活動を推進し、倫理的に優れたスポーツを追求するための枠組みおよび理念として、最近になって登場したものです。S4Lは、国のスポーツ政策に端を発し、世界的にスポーツの質の向上を目指す、志を同じくする人々や組織による運動へと発展してきました。S4Lの理念と基本原則は、従来のスポーツやアスレチックに関連するものをはるかに超え、これまで存在しなかった連携を生み出すことを目的としています。

その結果、日常生活や職場、人生のあらゆる場面で、より高いレベルでの健康やフィットネス、パフォーマンスの大幅な向上がもたらされるのです。

健康、教育、レクリエーション、スポーツの各分野は、国から地域社会まで、幅広い連続性の中で共存している複雑な分野です(図11.7)。あらゆるレベルの政府機関、非政府機関、非営利団体、そして企業も、すべての部門で活動しています。同様に重要なのは、地域レベルの個人や小グループの非公式な参加です。すべての部門は、組織、政策、資金調達の無数の関係を通じて各部門間のつながりが存在するかどうかにかかわらず、参加者個人で相互作用しています。各部門は、地元の関心事に取り組むものから国際的な関心事に取り組むものまで様々であり、その特徴も様々です。

保健分野は国によって異なります。ある国では、自治体からの直接支援があり、国単位で保健管理を行います。また、州や県の管轄に管理を分散させ、地域のニーズに応じてさまざまな保健サービスを提供している国もあります。さらに、政府からの支援や指導は限定的で、保健サービスの管理・提供を地域ごとに行っている国ももあります。世界的に見ると、保健医療サービスに対する支援は非常に幅が広く、保健医療サービスに対する政府の支援の程度は、人々がスポーツや身体活動に従事する度合いに影響します。国民のスポーツ参加が財政的に有益であることは研究結果からも明らかであり、国民のスポーツ参加を支援するために政府が保健分野に資金提供を行う理由となっています。

「健全な精神は健全な体に宿る」というのは、何世代にもわたって信じられてきたことです。教育機関では、1世紀にわたって体育館やグラウンドが建設されてきました。健康と同様、教育も国や地域によって様々な支援が行われています。また、教育資源が枯渇し、保護者の要求が高まる中、質の高い教育を提供するために、地域の教育行政が取り組まなければならない問題は複雑です。

公共政策の観点から見ると、レクリエーションは、自治体(つまり、コミュニティレベルに最も近い政府)が主体となって提供することが重要です。市や町は、コミュニティセンター、アリーナ、プール、体育館、競技場、その他多くの施設という形で、公共レクリエーションのインフラに莫大な投資を行っています。これらの施設は通常、スポーツだけでなく、あらゆる形態の余暇活動を提供するようプログラムされています。住民の健康的な生活を促進するという目的のもと、提供されるサービスは、可能な限り幅広い参加を達成するよう方向づけられています。

レクリエーションとは対照的に、スポーツでは、政府と国家機関が、オリンピック委員会のような団体と同様に、より重要な役割を担っています。このような公式な場では、高度な縦割り組織と基準の一貫性があり、活動は、地域、州、国を中心に構成されています。

4つの部門の多様な特徴を考えると、プログラムやサービスを統合することは難しいかもしれません。しかし、これらのプログラムやサービスは、個々の参加者のところで交差しており、競技者中心であるため、効率的な連携と統合が可能です。図11.8は、保護者とアスリートに直接影響を与える3つの組織(上から連邦、州、地域)と4つの部門(左から健康、教育、レクリエーション、スポーツ)を示しています。

ここから述べるのは、4つの部門が共通の目標に取り組むための行動を明らかにしたものです。問うべきは、これらの活動があなたの地域や国で行われているかどうかということです。

ネットワーク作りの機会を作る
・カナダのスポーツ・マターズ・グループは、9つの政府省庁を集め、それぞれの省庁の目的を達成するために、スポーツをどのように活用できるかを検討するために協力しています。例えば、スポーツは、カナダに新しくやってきた人たちにとって、家族、そして宗教の次に強力なつながりであると認識されています(Mulhollan, 2008)。このことを踏まえ、移民局では、スポーツを移民支援に活用する方法を検討しています。
・バンクーバー市は、VACNetという、市民の健康と幸福に関心を持つ市内の人々で構成される組織を作りました。VACNetは、バンクーバーに住む人々の健康と福祉に関心を持つ人々で構成される組織で、さまざまな組織や機関が集まり、共通の問題を特定し、解決策を見つけて実行に移すために協力しています。
・地域のスポーツ評議会は、異なる種目のスポーツが同じテーブルにつき、共通の問題に取り組むための手段です。LTADの観点からは、スポーツ評議会は、地方自治体への施設提供の働きかけにとどまらず、アスリートの最善の利益のために協力し合う会議を開催する必要があります。

戦略的計画の統合
スポーツシステムの構造上、組織は通常、独立して設立され、事業計画も独立し て、または単独で遂行されます。LTADシステム統合の観点からは、国、州、地域の組織が協力して、図11.5および11.6に基づく統合戦略計画を作成するために共同して計画を立案することは、論理的進化であると言えるでしょう。
・垂直方向の計画と同様に、水平方向の計画では、図11.8で組織が協力できるレベルを選択することになります。例えば、クラブ、レクリエーション局、教育委員会、地域の保健当局からなるスポーツ協議会は、地域社会におけるスポーツや身体活動の質を向上させ、結果として健康や幸福度を改善するための課題や機会を明らかにすることができます。

4つの部門を統合するインフラを構築する
北米の多くの地域では、学校はレクリエーション施設とは別に建設されてきました。スポーツ施設が建設されても、それも別々になっています。病院や診療所も別の場所に建てられています。システム統合の概念に基づき、これらの機関は施設開発(計画、アクセス、運営)において協力的なアプローチをとるべきです。
・何年も前に、企業は別々に働くより一緒に働く方がはるかに効果的であることを認識しました。その結果、北米全土にショッピングモールが存在するようになりました。この考え方は、公共部門でも徐々に定着しつつあります。システム統合により、最終的には学校、レクリエーションセンター、クラブ、保健所などの施設が同じ場所に建設され、統合されたプログラムとサービスを提供することが可能になるでしょう。

統合されたプログラムを提供する
S4Lのコンセプトは、健康、教育、スポーツがフィジカル・リテラシーを向上させるプログラムを提供することを可能にします。このようなプログラムを提供することで、すべての部門が健全な身体能力の発達から利益を得ることができます。
・北米のコミュニティスポーツクラブは、一般的に単一スポーツです。ヨーロッパではそうではありませんし、私的に設立されたクラブでもそうです。システム統合の観点から、単一スポーツのコミュニティクラブは、補完的なクラブと提携することで、計画の効率性と、よりアスリート中心のスポーツを生み出すことができます。

統合されたサービスの提供
多くの青少年は、教育や保健所への通院よりも、スポーツの追求に関心があります。しかし、スポーツと教育を組み合わせることで、多くのメリットを得ることができます。草の根サッカー(FIFA, 2007)のような世界的な例は、スポーツを効果的に教育システムに組み込む方法を示している。より地域的なレベルでは、子供たちを学校に通わせることを目的に、学校がスポーツプログラムやアカデミーを提供しています。

また、地域レベルでスポーツクラブを登録し、選手やアスリートを奪い合うのではなく、様々なクラブのコーチが連携して補完的なサービスを提供することも、サービスを統合する機会となります。スポーツ団体中心ではなく、アスリート中心のアプローチで地域レベルで協力することで、最終的には子供だけでなく、その保護者もより幸せにすることができます。

LTADとS4L 政策展開への示唆

組織は、ビジョン、ミッション、マンデートを達成するためにどのように行動するかを明確にした上で、法律や政策によって統治されています。S4Lは、システム統合を構築する政策を形成するためのガイドとして使用することができます。S4Lは、個人、組織、政府、部門が、連携し、統合する場所を見つけるための枠組みなのです。図11.9の最初の列は、これまでの章を通じて説明してきたLTADの3つの主要なアクションに基づいています。これらの行動から、スポーツと身体活動の質の向上が主なアウトプットとなり、次のような初期成果をもたらします。

・Active Startから、Train to Train、Active for Lifeの各段階を含む、LTADの全ステージにおける参加者数の増加。
・以下のような持続可能性の向上。
 - 能力強化:人材、インフラ、資金、技術など
 - 相互作用の強化:理念、価値観、コミュニケーション、ガバナンス
・コミュニティ発展のためのスポーツおよび身体活動の戦略的活用頻度の向上。

これら3つの成果は、国やコミュニティが国民のスポーツパフォーマンスを向上させると同時に、最終的に国民の健康と幸福につながるものです。国やコミュニティがこれらの望ましい成果を達成するためには、LTADを以下のように分かりやすく実施する必要があります。

スポーツと身体活動の質の向上
アスリートや参加者の成長のためのパスウェイは、あらゆるスポーツや身体活動の中に構築されています。
・質を向上させるためのリソースは、すべての部門で利用できるようになっています。
・子供向けのプログラムでは、まずフィジカル・リテラシーを身につけるよう努めます。
・プログラムは能力に基づいて作成されます。
・競技会は、LTADに基づいて検討され、再構築されます。
・指導者、審判、ガバナンス、そして施設は、LTADを考慮して設計、実行されます。
・アスリートのためのトレーニングのピリオダイゼーション、競技会、リカバリープログラムは、年齢ではなく成熟度や個人差に応じて作成されています。
 ・競技会やレクリエーションのプログラムにはそれを維持する戦略が組み込まれています。
・ スポーツの才能を伸ばすためのプログラムとサービスは、LTADに基づいています。
・成功は、科学的かつ十分な情報を得た上での、トレーニング、運動、回復の方法によって達成されています。
・スポーツや身体活動のプログラムを提供する人々(コーチ、指導者、管理者)を支援するために、S4Lのトレーニングやリソースが開発されています。
・エンドユーザー(選手、保護者)に提供されるプログラムやサービスは、LTADの要素を用いて修正します。
・プログラムに影響を与えることができる保健当局や教育者は、提供されるものを見直し、改善するためにLTADを使用します。
・LTADの実施後、質の高いスポーツや身体活動を提供するために、変更の有効性を確認するための測定が継続的に行われます。

スポーツと身体活動への参加率の向上
子どもや若者のフィジカル・リテラシーが向上します。
・学校での質の高い体育授業は、特別な訓練を受けた教師によって行われます。
・スポーツや身体活動プログラムに登録する子ども、若者、大人が増えます。
・基本的なスキルを身につけた身体的に活動的な人々が、生涯にわたって活動的であり続けます。
・スポーツや身体活動から脱落する青少年が少なくなります。
・より多くの人々が、成人期以降も活動的であり続けます。
・身体的、知的、感覚的な能力に関係なく、あらゆるレベルの人々がスポーツや身体活動に参加します。
・LTADをベースとしたプログラムでは、国内および国際的なレベルで優秀な成績を収めているアスリートがより多く育っています。
・スポーツやレクリエーションが、より大きな社会のニーズに応えるために果たす役割への理解が深まります。

より持続可能なスポーツと身体活動
・価値観に基づいたリーダーシップが、プログラムとサービスを支えています。
・投資はS4Lの価値観と原則に基づきます。
・システム統合の強化により、人的資源の能力を高めます。
・施設とその中のプログラムは、LTADを考慮して設計されています。
・複数の部門がスポーツや身体活動の価値を認識し、財源の多様化が促進されます。
・LTADの各ステージに適した効率性とサポートを実現するために、テクノロジーを活用します。
・あらゆるレベルのスポーツ団体や、スポーツプログラムを提供する他部門の団体(学校、レクリエーション部門、保健機関)が採用する政策と実践は、S4Lに基づいており、各部門の強みを生かしたプログラムの調整や順序付けが可能です。
・S4Lの哲学を受け入れ、LTADのフレームワークが成功への相互作用を構築することを可能にします。
・LTADのフレームワークを使うことで、組織はその役割と責任を認識します。
・ コミュニケーションは明確で一貫しており、フィジカルリテラシーの育成、卓越性の向上、すべての人のアクティブライフの確保を基本としています。
・コラボレーションを促進し、業績向上と健康増進に努めます。
・最大限の成果を生み出すために人材と財務を活用します。
・スポーツと健康、レクリエーション、教育などの部門は、サイロ化した考え方や独立した戦略的計画から、協力体制の強化や統合された戦略的アプローチへと移行しています。
・組織全体が、短期的な成果よりも長期的な成果にコミットし、長期的な成果を達成しても、短期的な報酬が得られない可能性があることを受け入れます。
・S4Lのネットワークは、知識とイノベーションを共有するために設立されました。
・スポーツや身体活動のプログラムに影響を与えるすべての部門(レクリエーション、スポーツ、健康、教育など)のすべてのレベルの政府(連邦、州、自治体)が採用する政策は、S4Lに基づくものです。
・政府のスポーツ政策の改訂版はS4Lをベースにしている。

スポーツ、身体活動の戦略的活用
・スポーツの活用により、学校での出席率や注意力が向上します。
・新たな移民がスポーツや身体活動のプログラムを通じて地域活動に参加します。
・スポーツは社会的包摂を促進するために開発され、スポーツを通じて社会的発展が促進されます。
・ 青少年は、アスリートのロールモデルプログラムを通じて良い刺激を受けます。
・スポーツと身体活動は、健康上の成果を上げるために利用されます。
・スポーツや身体活動が、疾病のリスクを抱える人々に情報を提供するためのプラットフォームとして利用されます。
・スポーツに参加することで、10 代の妊娠が減少します。(Sabo, Miller, Far rell, Melnick, & Barnes, 1999)
・人々が集まって同じ目標に向かって努力し、他人を尊重し、場所や用具を共有できる」環境が作られます。
・被災した人々への心理社会的な支援は、スポーツへの参加を通じて行われます。「スポーツや身体的活動は、回復力と社会的結束力を高めるために、協力的で優れた環境を提供することができる」(国際スポーツ科学・体育評議会、2009年)。
・「スポーツや身体活動に参加する少女や女性は、自尊心が高く、自己認識、自己価値、自己効力感などが向上していることを示す」(International Platform on Sport and Development, 2009, p.5)(これは、発展途上国でも開発途上国でも起こりうることです。)
・スポーツプログラムに参加することで、青少年の雇用可能性が高まります。

結論

LTAD の効果的な実施は、連携とシステムの整合性に大きく依存します。LTADは、健康、レクリエーション、スポーツ、教育の各部門が連携しなければ十分に達成できないため、それぞれの役割を認識し、スポーツと身体活動の質を向上させるために必要な変化を起こすことが不可欠です。

しかし、変革は組織レベルで始まるものではありません。変化を促し、推進する個人の献身的な努力と見通しが必要です。LTADの各ステージでは、さまざまな立場の人々が、サービスを提供し、ステージを進んでいる人々をサポートする必要があります。これらの人々は、自分の立場の価値を理解し、システムの他の要素とのつながりを持つように努めなければなりません。

スポーツ組織や各部門の視点から見ると、やはり個人が連携に向けた最初の一歩を踏み出さなければなりません。しかし、これらの組織は、必要なときに根本的な変化を起こす能力を備えている必要があります。ネットワーク化、そして統合された戦略的計画、インフラ、プログラム、サービスの確立が、組織間連携の鍵です。

組織間の連携は、スポーツや身体活動の質の向上につながり、参加者の増加、ひいては持続可能な活動の実現につながります。このような連携によって、各部門が恩恵を受けるだけでなく、各部門が関わることによって、すべての人が身体的に活動的になり、生涯にわたってその状態を維持することが可能になるのです。

まとめ

今回の章はスポーツの組織間の連携と健康、教育、レクリエーション、スポーツという各部門の連携について説明したものでした。
この観点から中学校の部活に応用するための視点として、
①スポーツ組織の中での部活動の立ち位置を再確認する。
②健康、教育、レク、スポーツ部門の中での部活動の位置を再確認する。
③立ち位置を再確認した後、自チームのミッション及びビジョンを再検討し、関係各所とのコミュニケーションを図る。
ことなどが考えられると思います。

この3点については、また別の機会に記事にしようと思います。

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