ユダヤ教・キリスト教・イスラム教は兄弟宗教だった!
いつも記事を読んで下さり、本当にありがとうございます☆
現在進行形のイスラエルとハマスの問題にはじまり、数回にわたり、今問題となっているイスラエルについて学びを深めてきました。
最初の記事では時事問題を。↓↓
次に、イスラエルの中でも、3大宗教の聖地エルサレムに焦点を当てて記事を書きました。
ユダヤ教の聖地としてのエルサレムをご紹介した記事はこちら。
イスラム教の聖地としてのエルサレムをご紹介した記事はこちら。
キリスト教の聖地としてのエルサレムをご紹介した記事はこちら。
そして、これらの記事を書いている間に、もう一つ記事が書けるではないか!と気づいた私。笑
何度も言いますが、
エルサレムはユダヤ教・キリスト教・イスラム教3つの世界宗教の聖地です。
なんでみんな同じ場所が聖地なの?
その疑問から始まったこの企画ですが、書かざるを得ないテーマに入っていきたいと思います!
ユダヤ教・キリスト教・イスラム教は兄弟宗教
ユダヤ教・キリスト教・イスラム教の聖地が同じくエルサレム、というところからお気づきの方もいるかもしれません。
そう、この3つの宗教は、突き詰めると同じ「聖書」の流れを組む兄弟宗教なのです。
ユダヤ教の聖典は「聖書」。
キリスト教の聖典は「新訳聖書」。
イスラム教の聖典は「クルアーン(コーラン)」。
それぞれが聖典を持っていますが、ルーツは同じ。
その証拠に、キリスト教徒はイエスの「新約聖書」以前の、ユダヤ教の「聖書」を「旧約聖書」として学んでいます。
イスラムであっても、「旧約聖書」、「新訳聖書」を「クルアーン(コーラン)」と共に認めています。
そして、イスラムではイエスの事を神としては認めていませんが、預言者の1人としては認めています。
排他性の強そうなイメージのイスラムですが、意外ですよね。
ユダヤ教・キリスト教・イスラム教は何が違うの?
同じ聖書(旧約聖書)を必須の存在として共有したりと、兄弟宗教といっても過言ではないユダヤ教・キリスト教・イスラム教。
何が違うのかというと、信仰している神様の名前が微妙に違うんです。
そして、その神様からの言葉を伝えた人が違います。
・ユダヤ教
神の名前はヤハウェ。
「神」という一般名詞でエルやエロヒムという言葉も使われます。
神の言葉を伝えた人は、モーセなど預言者たち。
・キリスト教
神の名は「父なる神」。
ヤハウェといったり、たまにエロヒムといったりします。
神の言葉を伝えた人は、イエス。
イエス自身も主(神)と一体の存在である救世主(キリスト)として信仰の対象とされています。
・イスラム教
神の名はアッラー。
アッラー自体が「神」という意味の単語です。
神の言葉を伝えた人は、ムハンマド。
大天使ガブリエルを経由して、アッラーの言葉を伝えたと言われています。
ユダヤ教・キリスト教・イスラム教の共通点①一神教
ユダヤ教・キリスト教・イスラム教の共通点の一つは、一神教であることです。
それぞれ、唯一絶対の創造主である「神」を信じています。
繰り返しになりますが。
ユダヤ教では唯一絶対の神ヤハウェを信仰しています。
キリスト教では、旧約聖書の流れの中で、創造主への信仰も継続されます。
しかし、イエス・キリストが現れ、神の愛を説いたたため、神と共に、神の子であるイエスもキリスト(救世主)として信仰の対象となっています。
イスラム教においては、「神(アッラー)は唯一にして、ムハンマドはその使徒である」とされています。
「イスラーム」とは、「神への絶対的な帰依・服従」を意味しています。
ユダヤ教・キリスト教・イスラム教の共通点②啓示宗教
ユダヤ教・キリスト教・イスラム教共に、「啓示宗教」と呼ばれています。
「啓示」とは、神が、神自身または預言者を通して、人間へ真理を伝達すること。
つまり、ユダヤ教・キリスト教・イスラム教はそれぞれが、神様から啓示を受けたとされる預言者の教えを、聖書・聖典によって伝えている「啓示宗教」なのです。
そして、その神の言葉を伝える預言者として現れた方を、モーセとして崇拝したり、イエス・キリスト(救世主)として信仰したり、ムハンマド(最後にして最大の預言者)として崇拝している、これが3つの宗教の流れです。
※ちなみに、同じく世界宗教である仏教は、開祖であるゴータマ・シッダールタ自身が悟りを得て仏陀となっており、仏陀や仏陀の説かれる教えを信じる宗教です。
この点、神の教えを誰かが受けて伝える、という啓示宗教とは異なります。
(もちろん、仏教においても「天」や「天国」の存在は出てきます)
キリスト教とユダヤ教の繋がり
キリスト教は元々はユダヤ教の一派のような形で始まっています。
キリスト教の神は、天地創造の神であり唯一絶対の存在。
イエス・キリストはその教えを延べ伝える神の子です。
(後世、三位一体説によって、イエスも神と一体の存在として、崇拝の対象となっています。)
キリスト教は、基本的にユダヤ教の神の教えを引き継いでおり、神は人間と契約を結び、救おうとするが、神に背く者には厳しい裁きを下す存在として捉えられています。
そのため、ユダヤ教の聖典である「聖書」(キリスト教でいう「旧約聖書」)も聖典となっています。
「新約聖書」は、イエスの生涯と言葉(福音)によって成り立っています。
こちらでは、神が罪に満ちた人間を救済するために、神の子であるイエスをこの世に遣わした、と書いてあります。
ユダヤ教の聖書(旧約聖書)にプラスして、イエスを救世主として定義する「新約聖書」を信じる方々をキリスト教徒と呼ぶということです。
イスラム教とユダヤ教の繋がり
ユダヤ教では神の言葉を伝える預言者が連綿と存在しており、その預言者が伝えた神の啓示が「聖書」となっていきます。
預言者の存在はユダヤ教や、そこから派生するキリスト教で際立っていますが、イスラム教においても、預言者は重要な役割を占めています。
「クルアーン(コーラン)」によれば、アブラハムやモーセ、イエスはみな預言者であり、その最後にして最も優れた預言者として現れたのはムハンマドである、としています。
預言者とは?
預言者とは、神の言葉を預かり、人々を導くとされた存在です。
一神教における「神」と人間とを繋ぐ中間的存在であり、尊敬を集めてきました。
長いユダヤ教の歴史の中では、『旧約聖書』において、イザヤ、エレミヤ、エゼキエル、ダニエルなど沢山の預言者が登場します。
ユダヤ教において、最も重要な預言者は、出エジプトを率いて、神より十戒を授かったというモーセです。
モーセは、ヤハウェ神への信仰を伝え、民族を苦難・困難から救い導いた存在として、ユダヤ教徒たちから崇拝されています。
キリスト教においては、イエスが預言者として現れたように見えましたが、最終的にはイエスそのものが神の子として信仰の対象になるまでその存在が高まっています。
イスラム教において、ムハンマドは「最後にして唯一の預言者」とされています。
それ以前の預言者とは一線を画すのだぞ!ということが強調されており、より神聖化されています。
繰り返しますが、意外なことに、イスラム教では、イエスの事は預言者の一人として認められています。
ただし、イエスも旧約聖書の流れの中の預言者の1人であり、ムハンマドこそが最後にして最大の預言者であると信じられているのです。
誰を通して神を見るか?
色々と回りくどい説明をしてきましたが、ユダヤ教・キリスト教・イスラム教の違いは、要するに「誰を通して神を見るか?」の違いだと思います。
ユダヤ教においては、モーセなど、唯一神ヤハウェから直接啓示を受けられた存在を崇拝し、また、その神からの啓示を大切にする。
キリスト教においては、イエス・キリストが神の子であり、神と神の子であるイエスと聖霊が一体であると信じる(三位一体説)。
イスラム教においては、最後にして唯一の預言者ムハンマドが、唯一神アッラーから啓示を受けた『クルアーン(コーラン)』を最も尊い聖典とし、『クルアーン(コーラン)』の教えの通りに生きていく。
これが三つの宗教の特徴になります。
こんな言い方をしてしまうと怒られるかもしれませんが、要は誰を通じて神を見るか、の違いであって、信じているのは同じく神様なのでは……?
じゃあ仲良くすれば良いのに。と思ってしまったりします……。
現在のイスラエル問題とユダヤ教・キリスト教・イスラム教
キリスト教はユダヤ教から派生した宗教のため、欧米諸国の方にとっては、ユダヤ教とイスラム教だと、ユダヤ教の方に親和性があると思います。
実際に、アメリカの国の発展は、ユダヤの富豪の経済力に頼ってきた部分もあります。
そのため、ユダヤ教とは切っても切れない関係にあるのではないでしょうか。
イスラエル(ユダヤ人のための国)とイスラム圏が衝突した際には、気持ちもイスラエル側になりがちだと思います。
すでに、アメリカとイスラム教国が何十年にも渡り抗争状態にあるのは、湾岸戦争や9.11などから皆さんご存知だと思います。
アメリカなど西欧諸国からすると、イスラム過激派の行いは非人道的なテロ行為であり、到底許されるべきものではありません。
ただ、イスラム教も、自分たちの信仰を護るためには自爆テロも辞さないほどの頑固さなので、思いの強さとしてはかなりのものです。
お互いに決して譲りはしないでしょうから、この先の戦いがどうなっていくのか、非常に心配なところです。
<まとめ>
いかがでしたでしょうか?
今回の記事のポイントをざっくりとまとめておきます。
ユダヤ教・キリスト教・イスラム教は、共に一神教・啓示宗教であり、神の名称と、神の言葉を伝えた人が違う。
ユダヤ教・キリスト教・イスラム教の流れは繋がっており、それぞれの宗教の成立には前の宗教が絡む。
各宗教の指導者は、預言者(神の言葉を人間に伝える中間的存在)として尊崇されている。イエスはさらに、神の子として信仰の対象でもある。
現在のイスラエル問題では、欧米にはキリスト教(ユダヤ教から派生)の国が多いため、イスラエルに心情が近い。
世界三大宗教とも言われる、ユダヤ教・キリスト教・イスラム教。
三つの宗教が兄弟宗教である由縁や、それぞれの特徴が伝わりましたでしょうか。
この企画を通して、現在の国際問題への理解が深まれば幸いです!
最後までお読み下さり、ありがとうございました☆
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