美容業界、未来への道しるべ


今、自らのお店を経営し美容師をしながら、
非常に多くの仕事をしています。
・学校法人かつ美容専門学校の新規設立
・美容企業へのコンサルタントやセミナー
・公益財団で滋賀県下の学生の就労支援
・某美容専門学校の評価委員
などなど、、、

これだけ幅広くやっていると
「オモシロイ気付き」
がめちゃくちゃ出てくるわけです、、。

今日は気付きと言えば聞こえがいいが言わば
『従来への否定』を実体験を元に綴ります。

従来の否定だから、読む方によっては
『イラッ』とか『何言ってんだバカ』
みたいになるかもしれませんが、、、

それでも未来の道しるべとなり、
美容業界の発展に繋がれば、、、と願って。


【副業は悪にも善にもなる】

 最近『副業』というワードをよく目にする。組織では副業をどう扱うかを無視しておくことはできない時代がやってきているが、美容業界では『副業=副収入』ってだけで捉えている人が多い。この状況は勿体ないとも危ないとも思う。副業制度は単なる副収入ではない。本質を掴めば組織を発展させることが出来る、副収入として扱えば現状維持か間違った方向に進んでしまう、何もせずに放置すれば時代の波に置いていかれる。

 美容業界で副業と謳っているものと言えば
・美容師の専門性を生かした動画で、YouTubeなどを使い広告収入を得る
・自社で販売していない製品を自分で仕入れたり自主製作して販売する
・技術や知識をセミナーやオンラインサロンやnoteで販売する
など。しかしこれらは副業ではなく『業務拡張』。

 実際に僕が4つの肩書の名刺を使い分けながら幅広い副業を持ってみると副業にはもっと大きな価値と「副産物」が存在する訳で…。
 
目先の副収入を捨てて副産物を得た方がどちらにせよ結果的にもより多くの収入を得られるだろうなって気もする訳で…。収入がどれくらいになるのかはさておき、『副業と副産物』を自論で定義すると、

副業とは、本業とは業種が異なっていて本業では手に入らなかった「気づき」や「学び」の機会が溢れていて、自らの価値観・視野・知識・人脈が多様に広がるサブのお仕事。
その副産物は、本業と副業が相乗効果で生み出す様々なメリット。

 「収入」はメリットの一部に過ぎない。僕の場合の副業は
・美容学校設立を通して行政の仕組みや縦割り具合を体感できたり議員や行政職員との人脈が出来た
・美容学校の役員をすることで美容学校の教育部分だけでなく学校運営の裏側を知ることが出来た
・公益財団の仕事をすることで、障がい者の就労の実態を知ることも出来たし障がい者も特別学校の教師の知り合いも沢山出来た

 そして副産物や相乗効果は、
・本業での新しいお客様が増える
・毎月の家賃が勝手に引き下げされる
・ホームページを完全に無料で作れる
・予想外の異業種から個別相談や講習の仕事を依頼される
などなど。相乗効果では収入以外のメリットも多々生まれる。

 【副業制度を良い方向に扱うことができれば、社員は何に代えることも出来ない無形価値を得ることが出来る。それに伴って自社にメリットが必ず生まれる】

 「本業がおざなりになるのを防ぐため」とか「副業が儲かって元々の本業を辞めるのを防ぐため」に『副業禁止』にする企業もあるし、逆に従業員の本業では満たしきれない収入やヤリ甲斐などの欲求を補って自社からの退社を防ぐために『副業OK』にする企業もあるが、どちらの場合も『副業の本質』を捉えられていないからいずれ問題が出てくるだけ。副業は必ず世の中の「普通」になる。今こそ企業、特に経営者が副業の本質を捉え、企業への導入の仕方を間違えないことが必須だと思う。


【『離職対策』に現れる組織概念】

離職者だけが悪者扱い

 先日、「美容学生の新卒採用を行っている企業」の経営者が集まる勉強会にゲスト講師として招かれた。そこで始まったディスカッションの時間、外から見学していてある経営者の発言に唖然とした。

経営者A『採用した学生がすぐに辞めるのに対して何か対策してる会社ってありませんか?最初の時期に教育にかなりの時間とってるのにすぐ辞められたら企業としてキツくないですか?』
経営者B『あーわかる。だからうちでは誓約書とか書かせてますよ。(説明がつづく・・・)』

 わかる。僕も新卒採用合戦に参加する企業にいたから企業側の言い分は非常にわかる。わかるけどその後の話は聞く気にもならなかった。。。この発言に違和感を感じない方はかなりヤバいと思う…。そして、違和感を感じない方の為にこの記事を書いてます…。僕が第三者の立場からこの経営者さん達にする質問は以下の通り。

・新卒者は嫌々入社して来たのでしょうか?すぐ辞めるつもりで入社して来られたんでしょうか?
・すぐ辞めるつもりの学生なら採用しなければいいだけ、貴社の採用基準と選考方法は大丈夫でしょうか?
・新卒生がすぐに辞めてしまうような問題が貴社の体制にあったのでは?
と。
(あと、僕個人な意見を言うと、誓約書って何が書いてあるんだ??「職業選択の自由」はどこいった!?笑)

「会社」と「雇用」の概念を変える

 経営者・幹部からしたら「そんな理想を言ったって採用しなけりゃ会社が持たないじゃないか」って思うはず。現にコンサル先の経営者にも言われましたから。だからこそ【会社の存在意義を根底から変え、会社の維持・存続のために人を雇用することを辞めなければこの問題は解決しない】。私がコンサル先の経営者に伝えさせていただくその概念をそのままお伝えすると、

1.会社がもつかどうかの心配は自社の都合であって世間の都合ではない
2.自分のことばかり考える社員が組織を乱すように自社のことばかり考える会社は世間を乱す
3.自社の保守より世間に何が出来るかを考える、世間に必要とされる会社は自然に生き残る
4.売上と組織の維持の為に人を雇用するのはやめる
5.「ビジョンの達成、使命の遂行に必要か?価値観が同じか?」を採用基準にする
6.「就労希望者の意思(何故したい、何がしたい、どこまでしたい、いつまでにしたい)」と「会社のビジョン」の相互共感が雇用
7.「就労希望者の意思」を一緒に働く従業員が共有すること

 これを見て『オォー!なるほどーっ!!』ってなる人は必ず上手くいくんだけど、この概念を伝えても「現実じゃあどーやって運営するのよ?」ってなる、、、それは『過去の経験を基準にして、出来るか?出来ないか?』で話を聞いちゃうから。ここだけはそうなる、それもわかる。出来る出来ない関係なくそのまま吸い取れば簡単な話なんだが、結局今ある概念は過去から形成されるわけだし新たな概念というのは体感しないと実感値にならない。だからコンサルとか顧問みたいな仕事があって、結局は経営者が判断する瞬間瞬間に側にいて口出しとアドバイスをするしかないのも僕の実感値。ただ、少しでも概念が参考になれば、、、と思う。


【組織運営はPDCAでは無理】

 組織では「PDCA」という管理体制をよく目にするが結論からハッキリ言うとPDCAでは組織の運営は不可能。PDCAはトップが全てを管理出来る小規模チームの場合か、機械を使った大量生産型ビジネスなどにしか向かない。美容室で離職率や生産性を課題とするなら、そもそもの土台となる組織運営の管理体制がPDCAだと課題解決に挑戦することすら出来ないのを痛感している。。

PDCAでは無理な理由

 僕が「PDCAだけでは組織が稼働しない」と実感した瞬間を2つ紹介したいと思う。

エピソード1

 100名以上の従業員を抱える不動産業の偉いさんが相談してきた。会社で『無料セルフエステとか、無料カフェとかをふんだんに盛り込んだシェアリング交流スペース付きの従来に無い学生マンション』を若手7名で構成するプロジェクトチームで企画してるらしい。会社的には新たなビジネスモデルの企画で大賛成、なんとか成功させたいんだとか。

 ところが、その企画が上層部の会議に上がるとどうしても採算面や課題が出てきてGOサインが出ないらしい。偉いさんが相談してきたのは「この企画がどうすれば上手くいくのか?」ということ。

僕の回答は2つ。
1,上層部の会議を無くし若手のプロジェクトに予算、裁量権、最終決定権を与えること
その代わり
2,上層部の会議に出席しているメンバーの中から採算面や課題を抽出出来る人物を一人だけ若手プロジェクトの中に入れること。(ただしその人をプロジェクトのリーダーにしてはいけない)

お偉いさんはピンときたらしくルンルンで帰っていきました。

エピソード2

 とある美容学校で「校長・教員管理者・私」が出席する、学校内での会議がありました。その会議では教員管理者が今年度の計画と方針に対して「進捗状況と現状の課題」を報告してくれます。

 最近、学生の入学時の基礎学力を細分化してデータ管理するシステムを取り入れたそうでシステムのメリット、エビデンス、現在の稼働状況を事細かく報告してくれました。管理者のプレゼンは完璧!

報告が終わり、僕はこの組織で一番気になることを校長に質問しました。
私『ところで校長、このシステムが教育の現場に活かされるように教員同士がデータを見ながらざっくばらんに話し合える機会ってあるんですかね?』
校長『ええーと、、それはですね、、、』
結局校長答えられず、管理者が答えてくれました。。。

 上記2つのエピソードの共通点は、
① 組織では、取り組みが成果に繋がるか繋がらないかの『分岐点の瞬間』は「現場」に存在するということ
② 現場で分岐点の瞬間がやってきた際に、「自分がいなくても成果が上がる方向に組織を進めるためにはトップが抑えておくべきことは何か?」をトップ自身がわかっていない。
という点。そして、
【①②を解決できれば組織は成果を得るのだが、①②はそもそも「PDCA管理」で解決できる問題ではない】
ということ。
(「事件は会議室で起きてるんじゃない、現場で起きてるんだ!」あの有名なセリフはあながち間違いではない、エピソード内で起きている現象と全く同じ!!)
これが「PDCA」では組織の運営が不十分な理由。

 PDCAは計画と結果を元に組織を動かす「過去と反省」を軸にした管理システム。奇想天外な発想だったり計画外の勝手な判断が生まれにくい。現場での人の判断によって成果が激変したり、人のアイデアやチームの士気によって成果が激変したり、前例のないゼロイチを創り出すような未来へ向かうプロジェクトには向いていない。

 なのに、、、日本ではPDCAしか浸透していない現実。まぁこれには様々な要因が重なっているわけですが説明すれば半端ない文字数と時間を要するので、とりあえず超超簡潔に言うと「モノづくりNIPPON with 昭和」という致し方ない原因があるのです。だからPDCA以外を知らないトップが悪いわけではない。

現場が動く組織運営の体系

 前項で綴った【現場で分岐点の瞬間がやってきた際に、自分がいなくても成果が上がる方向に組織を進めるためにはトップが抑えておくべきこと】、この抑えておくべきことについてまとめると、

・現場のリーダー(管理者)とトップが互いに大きな信頼関係で結ばれているか
・現場のリーダー(管理者)が組織の理念やビジョンに共感していて、組織の進むべき方向性を理解しているか?
・現場のリーダー(管理者)がチームをゴールに導く為に必要な能力を全て持ち合わせているか?
・現場のリーダー(管理者)がおかれている物理的環境(人員とか時間とか)と裁量権に問題はないか?

実はこれだけでいい。勿論上記の項目が満たされていなければその分を補ってアドバイスやサポートをしなければならない。そしてここからが超重要!!!

【上記の項目を満たしているのであれば、現場で何が決まろうとトップは口出ししないこと】

 この部分こそ、トップが現場を管理出来ない規模の組織が成長進化するかしないかの分かれ道。経営者と社長は何が違うか?聞かれれば僕はこの部分を答える。沢山の経営者さんとお会いしていても年商10億以上の経営者さんのほとんどがこの部分の線引きがキッチリしている。(たまに強烈なるトップダウンで引っ張る例外経営者さんも見かけるが、それはそれで凄い、、、)

 ただ、組織化していくことが正しい訳でもない。家業チックにひっそりやりたい、って人も勿論いる。長々と書きましたが、あくまでも組織構築でお困り方は是非とも参考にしていただければと思います。

※この組織運営の体系は【OODA(通称、ウーダループ)】と呼ばれています。興味ある方は『ウーダループ』とググってみてください。僕の記事はウーダループを初めて知る方の為に相当簡素化して書いてるので、実際はもっと深いです。


【広がる人と狭まる人の二極化】

 『コロナ』のおかげで人の二極化を感じた。『これからもまだまだ成長していかれるのだろうなーこれからも人や金がこの人に集まって自分の世界を創っていかれるのだろうなー』って感じる人と、『この人はここまでがもう限界だろうなーこれから先は出会う他人や起きた事に対して批評ばかりしていくんだろうなー』という2つに。それには気づいていたが、今年になって自分が異業種の人と集まる機会が多くなることでこの二極化は「一体どういうことか?」の整理が物凄くついてきた。広がって行く人、狭まっていく人、を実例でご紹介したいと思う。

まだまだ広がっていく人

 独立してから「障がい者の方が就労した際に健常者と同じ初任給が稼げる美容の技術を軸としたビジネスモデル」を創っています。滋賀県の特別養護学校の高校生の就労支援のトップを走る進路指導課の先生、働き暮らしセンターという滋賀県の障がい者雇用を支える行政機関の方、そして私の三人で。

 障がい者で健常者並に生産性のあるビジネスモデルを作るとなるとそりゃ課題がいっぱいあって大変なわけです。中でも一番大変なのは「相互理解」。学校の先生も行政機関の方も美容業のビジネス体系や仕事の中身を知るわけないし、僕は障がい者の方と接するノウハウもなければ障がい者雇用の知識もないわけで。おまけに進路指導課の先生は人生で一度も美容室に行ったことないおっちゃん(笑)。そういう状況からビジネスモデルを創るのってお互いに知らないことが多すぎて大変なわけです。でも「広がっていく人の本質」というのはこういう状況の時に見れます。

 行政の人も学校の先生も、仕事が終わってからや休日に自分の時間を使って知らないことで知らなければいけないことを学びに来られるんです。美容室の現場を見学したり僕に質問しまくったりお客さんとして体感しに来たり。うちの財務状況とかまで聞いてこられます。広がっていく人は熱意と使命感がとにかく高いし、自分がするべきことに対しては遠慮とか忖度とかそんな無くガンガン来られます。
 一方僕は僕で今まで身近に障がいを持った人がいたことがなかったので、養護学校をいくつも見学に行って障がい者の高校生と触れ合ったり、障がい者の雇用を支援するための県のサポートプログラムを見学しに行ったり。「障がい者を少しでも理解すること」に動いてきました。
 お互いにそういうことが出来るからプロジェクトが一歩ずつ確実に前に進みます。広がっていく人は広がっていく人と互いに学び協力しながら新たな世界を創っていくんです。
(おかげさまで7月から障がいを持ったとある青年がうちのお店で体験実習を始めます!)

広がっていく人の共通点は、

・無知を恥としない
・知らないことで知る必要のあることを自分で精査できる
・知る必要のあることに対して即行動する
・志の達成が優先でその為なら自分の都合はさておき、人への忖度も遠慮もしない
・ゴールのことしか考えていない

正直こういう人としか仕事をしたいと思わない。

狭まっていく人

 今、僕には異業種から人が集まる会議やプロジェクトがいくつかある。
例えば、美容学校主催の有識者会議だと、「美容師・美容メーカー・ディーラー・ブライダル・ホテル・組合」などの長や有名な人達が集まるし、
美容学校の設立だともっと多くて、「美容師・美容学校の先生・美容コンサルタント・メイクアップアーティスト・組合・公益財団法人・許認可申請のプロ・県や市といった行政機関」などが集まる。多くのジャンルの人が集まるパターンになると中には「狭まる人」というのが少なからず出てくるわけです。そして多くの業種が集まる場所になればなるほど「狭まる人」の特徴が明確に出てくる。

 具体的な例で言うと、異業種が集まると自分の知らない話なんて出てきて当然なのに、自分の知らないジャンルの話になったとたん蓋をしてしまう人。わからないことを知ろうとも勉強しようともしないし、わからないこと出来ないことを恥みたいに捉えてしまう。そして「狭まる人」お決まりのルーティンが始まる。

狭まる人の特徴…

①今全く必要のない議題や案件を全員の前に出して「自分は○○なら知ってますよ!出来ますよ!」「自分はここにいるよ!」アピールをする
②質問されても全く答えになってない答えを無理してでも発言する
③自分の会社規模とか肩書とかをひけらかしたり、自分がやったことや過去の功績を一所懸命具体的に説明し始める
①②③に共通していることは、結果、周りが「・・・。」って静かになる、もしくは周りの反応が悪いとフテくされる。
(「狭まる人」はきっとこれを読んでまたイラっとするのだろう…笑)

 笑い話はさておき、狭まる人の「末路」というのが危険でこれだけは注意しなければならないと自分にも言い聞かせていることがある。それは、狭まる人の終着駅こそが『批評と批判』だということ。これだけは絶対に抑えておかなければならない。批評と批判をする人に伝えたい、

そんなに文句言うなら自分がやればいいじゃん』
『そんなに文句言う暇があって羨ましいよ、、、こっちは行動するべきこと行動したいことが沢山あって「ワクワク」がありすぎて超忙しいいんだよ』
『ん?僕への遠慮?そんなのいらないいらない!広がってく人には遠慮とかないから。志が達成するなら別に自分が干されたって嬉しいんだから。あっ、じゃあ広がってく人との約束があるからまたねー!』

ってね。狭まる人のことをこれだけ書ける僕も終着駅か(笑)
でも異業種と絡める位置に上り詰めてきた人達だからこそ伝えたい。


総じて

 かなり色々と多方面から書いたし、かなりの量を書いた。オープンして半年でこれだけ目まぐるしく発見できる日々に本当に感謝。
自分の宿命、今来てくださっているお客様、ここに至るまで自分を育ててくれた方々、に感謝。
 僕のことだから、あと半年後、今回以上に気づきがある人生をおくっていることだろう、、、その時は果たして何文字書けるかなぁ、、、???







この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?