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メンタルに寄り添う

トレーナーとして、理学療法士として、選手や患者さんと関わっていると、治療中に会話をよくします。多くは、ケガや病気についての悩みであり、私たちは比較的自分の弱みについて話をしてもらいやすい立場にあります。

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人は誰でも身体だけでなく心が疲れてしまうことがあります。大切な物を失ったとき、周囲からのプレッシャー、思うようなパフォーマンスが発揮出来なかったときなど。

健康な人は、そこから回復することができますが、その状態が続くと心は疲弊します。心身症は、心のつらさが身体に出てしまう症状で、放置すると重篤化してしまいます。具体的には眠れなくなる、食事が食べられなくなる、手足を思い通りに動かせなくなるなどがあります。

メランコリーの親和型性格
具体的には几帳面かつ完璧主義で、責任感が強く、対人関係も配慮が行き届いているような性格傾向

このような人は過度に高い要求水準をもっているため、きちんと仕事をこなし、周囲からも高い評価を受けることが多い。しかしその結果、消耗状態に陥ってうつ病になると考えられる。

メランコリー親和型性格の人は、他人から嫌われることを恐れ、人を傷つけることや人と争うことをも恐れる。そのため嫌な仕事も率先して行う。他人に尽くす傾向が強く、負い目が生じることを避ける。転居、異動、結婚など、秩序が乱れるできごとも脅威となる。

日本人に多く、心を追い込みやすいといわれる

一流を目指すアスリートは、様々な時間を犠牲にしながら、献身的な努力と自己投資をしています。期待したパフォーマンスが上がらないと、身体的心理的な疲労感を味わうことになり、報われない消耗感から生きがいすら失うこともあります。冷静になれば、他のステージを選択することもできるはずですが、献身的な努力が長く続けば続くほど、あらゆる選択肢が狭まってしまっています。

職場うつも同様ですが、心が壊れる過程の最後の大きな要因はコミュニケーションの欠如です。周囲と話したくない、放っておいてほしいと思い始めた時は危険信号です。そうなる前に周囲が少し無理してでも話すことが大切です。

日本のスポーツ界やビジネス界では、気持ちの弱さを見せたら負けという風潮があります。しかし、弱い部分を隠蔽すると、症状は悪化します。

つらいときにつらいと言える環境が無ければ、せっかくの才能が消されてしまう可能性があります。

●チーム雰囲気の比較研究
【チームA】とにかく他人に勝る事が第一
【チームB】自分のスキルアップへの喜びを重視する

【チームA】のほうが心が疲弊しやすいと報告あり

チーム力を向上させるために競い合う雰囲気を作るようなマネジメントは効果がありますが、高すぎる目標はプレイヤーを潰しかねないため、適切な目標設定をすることが重要になります。

捉え方を変える

「ストレス」は悪いものですが、ストレスを生み出す「ストレッサー」は悪ではありません。ストレスとストレッサーの間には、個人によって違う「物の捉え方」があります。ストレッサーを「脅威」と捉えるか、自分の成長に繋がる「好機」と捉えるかで、ストレスになるか、ポジティブシンキングになるかに分かれます。

ストレッサーをポジティブシンキングに変えるために私たちトレーナーや医療従事者ができることは、共感してひたすら話をきくことです。悩みを聞いているうちに、自発的に決意表明をして、自ら解決していくケースがよく見られます。話すことで心の疲労から回復できるため、話を聞くことが何より大切な治癒の過程になります。

人生における悩み事は、いくら考えてもどうにもならない事がほとんどです。そのため、「捉え方」を変えるしかありません。私たちにできることは、意図的に捉え方をすり替えるのではなく、話を聞きながら選手や患者さんの捉え方が変わるのを待つことになります。

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人の悩みに対して、自分の経験や知識をもって答えを導き出したくなることはよくあります。そこをグッとこらえて、相手から答えが出てくることを待つ。メンタル回復のスペシャリストではありませんが、関わる人に隠れた悩みがある場合は、誠心誠意対応できるように努力したいと思います!

NAKABA

●参考 菅生貴之 コラム
大阪体育大学体育学部スポーツ教育学科 准教授 スポーツメンタルトレーニング上級指導士

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