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なぜ[Chat-GPT]は社内活用できないのか③解決策【具体例】省力化のコツ

 なぜ[Chat-GPT]は社内活用できないのか今回がまとめです。

 Chat-GPTを会社に導入しても、多くの企業ではほとんど使われていない。

 その理由としては、

①仕事の80%は社内データを活用してるのに、その社内情報やデータが「使えない状態」にあるから。
②問いや依頼を日本語の文章で何度も打ち込むのが「面倒くさい」から。

 が挙げられます。

 ①については、前回、社内データをChat-GPTが読めるシステム環境を整備する必要があり、技術的にも結構難しく、お金と時間がかかりますが、解決策は見えていますね。

 一番の問題は②です。「面倒くさい」問題。

 そうなんです、面倒なんですよね、Chat-GPTを使うのって

 世間では、「Chat-GPTが出てきて、仕事が奪われる」などと言われていて、大騒ぎになっています。

 僕も過去にそういったことを記事にしました。しかし、それは「強いAI」が登場したら、の話です

 Chat-GPTは現時点では、「弱いAI」です。

 なので、すごく物知りで器用にタスクをこなしますが、「1伝えれば10理解するほど賢くはない」のです。

 また、その「伝える」こと、つまりChat-GPTに日本語で入力して指示するのも結構大変です。

 長い、構造化した日本語で的確に指示をしなければなりません。また、一度でベストな回答は得られないので、何度も問いかけをする必要があります。

 以前紹介した、僕の作成したプロンプトのテンプレートは、千回以上プロンプトを打ち込んで編み出したもので、その辺に出回っているテンプレートよりは、かなり万能にできています

それでも、このテンプレート1つで業務ができるわけではありません。



「入力作業」を極力省く仕組みの構築


 では、この「面倒くさい」問題をどう解決すればいいのでしょうか?それは、使うヒトに「日本語をなるべく入力させないこと」です。

 「入力させない? 長い日本語を入力しないと使えない、と書いていたのでは?」

 ええ、そうです。その通りです。そうなんですが、僕は長い日本語をヒトが入力しないといけない、とは言っていません。

 そうです。日本語を入力するのが「面倒くさい」なら、僕たちの代わりに日本語を入力する仕組みを作ればいいのです。


【具体例】過去の経営会議から特定のキーワードを取りまとめてレポートを作る

 
 例で示していきましょう。

 ここでは、過去の経営会議の議事録を参照して、特定のキーワードに関連した過去の発言を取りまとめてレポートを作る、という業務をChat-GPTにさせたいとします。

 上記①で書いたように、社内データをChat-GPTが読めるようにしなければなりません

 経営会議の議事録のデータは社内のシステムにどこにあるか、それをChat-GPTが読めるようなシステムを開発します。

 ここではセキュリティが重要です。なぜなら、経営企画部の情報は社内でも機密情報なので、他の社員には見せられませんからね。

 次にどのような問い(=日本語の文章)をすればいいかを考えます。

 ここは、Chat-GPTを使い慣れた人と経営企画部が相談しながら、実際にChat-GPTとのやり取りをしてみるといいでしょう。


「単語を1つ入力するだけ」に半自動化

 
 そして、このやりとりを、半自動化します。

 自動化?…ええ自動化です

 次が、出来上がったシステムのイメージです。

【具体例】過去の経営会議から特定のキーワードを取りまとめてレポートを作る

 Chat-GPTを立ち上げて、利用部門のメニューから「経営企画部」を選択すると、「どのような業務をChat-GPTにさせますか?」と表示されます。

 そこには、①過去の議事録からのレポート作成、②経営会議の発言テーマの整理、③...とメニューに表示されるので、例えば、①を選択します。

 すると、「どのようなレポートを作りますか?」というメニューが出てきて、①キーワードから過去の会議内容を取りまとめる、②経営会議の各系人の発言を役員単位でまとめる...とメニューに表示されるので、例えば①を選びます。

 最後に「どのようなキーワードで議事録をまとめますか?」と聞かれるので、ここで初めて、例えば「コンプライアンス」と日本語で入力します。

 それを受けてシステムが、この業務を遂行するための構造化された長い日本語のプロンプトを自動生成し、Chat-GPTに渡します

 するとChat-GPTは、過去の議事録をコンプライアンスというキーワードをもとにレポートを作成して画面に表示する、といった具合です。

 この間、この業務で、社員が入力する日本語は「コンプライアンス」の1行だけです。これなら、「面倒くさい」とはなりません。


Chat-GPTを仕事で使うには


 Chat-GPTは万能のようにみえて、そうでもありません。使いこなすのには相当な慣れと、ビジネスリテラシーが必要です。

 繰り返しますが、ITリテラシーではありません

 Chat-GPTという優秀な「秘書」・「部下」を使いこなすための、対話力が求められるのです。

 そのため、かなり複雑で長い日本語を入力しないと、Chat-GPTはうまく動きません。これは「面倒くさい」。

 そこで、その入力をボタンを押す、YES/NOで答えるなどで簡単な操作で、入力する日本語をシステムに生成させて、それをChat-GPTに投げる、そうしたシステムを開発し社内に導入する

 これによって初めて、仕事でChat-GPTが使われるようになります



「労力を減らす」システムは必須


 僕は簡単なことであれば、Chat-GPTでやっています。

 でも、簡単なことはできても、真剣に高度な仕事をChat-GPTにさせようとすると、そう簡単ではありませんでした

 半年かけて、相当な規模のシステムを自分で開発して「AI中山」を作りました。それで、ようやく使い物になったのです。


 Chat-GPTは「そこそこ」使える。しかし「きちんと使う」ためには、相当な労力が必要になる。

 特に、社内に浸透させるには、その労力を省力化するシステムが必須

 それが、僕の現時点での結論です。




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