日本酒は四季を楽しむお酒
以前、会席料理はお酒を楽しむための料理と説明しましたが、皆さんは温泉旅館などで夕食時に日本酒などと一緒にマリアージュを楽しんでいただいていますでしょうか。お部屋に戻ってから、缶ビールとおつまみで二次会なんて本末転倒なんですよ。。。
地元の酒蔵さんなどのお酒のメニューがあったら是非注文してください。地元食材との相性もバッチリ!日本の伝統文化に触れる楽しい食事になるでしょう。
日本酒はちょっと苦手。という方もいらっしゃると思いますが、いまや日本酒は世界中の方に人気急上昇中。若い女性の方にも楽しんでいただけるフルーティな日本酒もたくさんあるんです。
そこで、今回は日本酒の魅力、伝統文化について触れてみたいと思います。
お酒は、その国の伝統文化を継承する飲料。フランスは、ワイン。イギリスはスコッチウィスキー、ロシアのウォッカ、メキシコのテキーラ、中国の黄酒(ホワンチュウ):紹興酒など、その土地特有の気候風土で、その土地の文化を象徴する農作物や植物から、その土地ならではの酒が生まれています。
日本の食文化の中心である「米」を原料とした「日本酒」は稲作文化を始まりとし長い歴史の中で進化し続けてきました。
【日本酒の魅力】
日本酒の魅力について考えてみましょう。
・四季ごとに味わえる唯一のお酒:出荷の時期に合わせ(新酒・かすみ酒、生酒、冷やおろし)と呼び名が変わります。
・神事や伝統行事に欠かせない歴史あるお酒:冠婚葬祭や、祭礼、地鎮祭、お神酒など。
・飲用温度帯の幅がとても広い:ひや、常温、熱燗(ほかにも花冷え、人肌燗、ぬる燗)等5~55度の間で5℃単位で呼び方があり、その温度差によって香り味わいが複雑多彩に変化する。
・ストレス軽減効果:お酒には共通していますが、血管が拡がり筋肉のコリをほぐすリラックス効果があります。
・美肌効果:またアルコール飲料は体を冷やすものですが、日本酒は豊富なアミノ酸がゆっくりと身体を温めるので、冷え性で悩む女性にもおすすめのお酒です。美容効果については、シミ、そばかすを防ぎ、肌を白く保つ物質が多く含まれています。
「一番の魅力は料理との優れたパートナー」
生魚や、生野菜のアクや臭みを抑え、旨みを強調してくれる。素材の良さを引き出し深みとコクを与えることで様々な料理に欠かせません。
近年は、優れた日本酒の銘柄が多く発売され、世界でも注目をあびています。女性向きの炭酸で割ったお酒や、フルーティーな味わいの日本酒なども発売されています。
また、元サッカー日本代表の中田英寿さんが日本の伝統文化の魅力を世界に発信していますが、特に日本酒に力をいれてイベントなども開催して、若い世代にも急速に人気が出ています。
【日本酒の歴史】
日本酒はいったいいつ生まれたのか、歴史について簡単に見てみましょう。
日本では農耕文化が広がった弥生時代に、そのままでは硬くて食べれない穀物を唾液で柔らかくして、しばらくそのまま放置しておきます。唾液の糖化と空気中の自然酵母で発酵し、アルコール分を含んだ現在のどぶろくのような「口噛み酒」が誕生しました。
大和時代には、貴重な飲み物として神や天皇に捧げるものとして、酒造りが発展していきます。平安時代には祭事などにも重宝され、ハレの日の食事にお酒は不可欠とされます。安土桃山時代には、大桶を利用して大量生産ができるようになっていきます。
江戸時代には海運の発展で巨大産業へと発展し、兵庫の灘や京都伏見のお酒が全国に広がっていきました。江戸では、甘酒が流行します。
ビタミン豊富で、ブドウ糖がすぐに体の活力源になり、ビタミンも豊富。オリゴ糖や食物繊維も豊富で腸内環境にも優しく、現在では飲む点滴ともいわれています。(実際に点滴の成分とほぼ同じ)
江戸時代では、夏の風物詩で平均寿命も短ったこの時代には夏の暑さと疲労、食中毒で亡くなる方も多かったようです。庶民にも安く手に入る甘酒は、温かいまま飲むことでまさに飲む点滴として重宝され、夏の季語にもなっています。
その後、明治政府による酒税の始まりや、酒造りの技術革新も進みましたが、世界大戦での燃料として使われるようになったり、米不足の為米以外のアルコールを添加したりした品質の低いお酒が出回ってしまった歴史を通して、しばらくはお酒の品質や需要は低迷していました。
平成4年にそれまでの1級酒2級酒などの別が廃止され、「特定名称酒」と呼ばれるようになり、新しい日本酒のSTYLEが始まることになるのです。
【四季ごとに楽しむ唯一のお酒】
お客様に四季折々の楽しみ方について解説します。
皆さんは「五節句」と聞いてお分かりになりますでしょうか?
お節句の「節」というのは、唐時代の中国の暦法で定められた季節の変わり目のこと。暦の中で奇数の重なる日を「奇数(陽)が重なると(陰)になる。」と言われているのです。
その邪気を祓う為、季節の旬の植物から生命力をもらい植物にお酒を漬け込み飲用する習わしが始まりました。日本では江戸幕府によって定められ公的な行事、祝日となりました。
1月7日(人日の節句): 「屠蘇酒・祝い酒」元旦に年中の無病を念じて飲むお酒。屠蘇散を清酒に浸し、1年を若く美しく健康に過ごすことを祈念(新酒)
3月3日(上巳の節句): 「桃花酒・かすみ酒」桃花は邪気を祓うとされる。一重の桃花を清酒に浸した花酒を飲めば病を除き、顔色が美しくなるといわれるお酒。お酒は角が取れて新酒のころよりやわらかい飲み口になる(あらばしり・にごり酒)
5月5日(端午の節句): 「菖蒲酒」菖蒲は厄払いの霊草とされる(生酒・微発泡酒)
7月7日(七夕の節句): 「竹管酒」霊妙な物質が宿るといわれる竹。青竹の筒に酒をいれ水の流れにつけ、竹の香と冷たさを味わいます。(生酒)
9月9日(重陽の節句): 「菊酒・月見酒」菊花の気品と香りとは邪気を祓い寿命を延ばすといわれる。菊の花を清酒に漬けたり、浮かべた花酒で祝います。(ひやおろし、秋あがり)
※1月1日は1年の始まりの特別な日で節句ではない。
秋から仕込みが始まる日本酒は、冬の出来立ての新酒からはじまり、春のかすみ酒、夏の生酒、秋のひやおろしと、四季を通じて味わいを成長させます。その時期、その季節ならではの風味が楽しめるお酒は日本酒だけなのです。
いかがでしたでしょうか。日本の伝統文化でもある日本酒。少し興味を持っていただけましたでしょうか。
おうち時間が増える中、季節のお酒(新酒)を手に取って酒蔵の気候風土に思いを寄せながらお酒を味わってみませんか。
次回は、日本酒のできるまでをご紹介したいと思います。
皆さんのおすすめの日本酒はありますか?ぜひコメント欄で教えて下さい。
この冬おすすめのお酒はこちら
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