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美しさをあきらめたくない - 7月13日のNewsLetter

私は毎朝、ニューヨーク・ロンドン・パリ・ミラノ・東京から生まれる約1000記事をチェックして、週3回、ニュースレターを書いています。
その中から「ちょっと気になる情報」「最近話題のニュース」「面白いできごと」をピックアップしています。

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美容家の佐伯チズさんが、筋萎縮性側索硬化症(ALS)によりお亡くなりになりました。

60歳を過ぎてますます美しく、美肌に関するメソッドを15年以上も伝え続けてこられた方です。

ALSというと、スティーブン・ホーキング博士の、車椅子にモニターをつけてお話される様子を思い出す方もいらっしゃるかもしれません。
ALSは、手足やのどなどの筋肉が痩せていく進行性の神経疾患で、日本国内にも約1万人の患者さんがいます。

ALSやパーキンソン病、多発性硬化症や関節炎など
自分の思う通りに手先を動かすことができなくなる病気は、いくつもあります。

メイクアップのプロフェッショナル達がそのような病気になった場合、
これまで息をするようにしてきた、目の際にラインを引くことや細かな色のニュアンスを作ったりすることが、できなくなってしまいます。

そんな状況になった美容に関わる方々が「メイクを諦めたくない」と
“包括的な”化粧品を作っている、というニュースを今日はピックアップします。

【本日のピックアップニュース】


ALS、パーキンソン病、多発性硬化症、関節炎、その他の障害を持つ人々のために、より開けやすく、塗りやすい製品を生み出している化粧品会社があります。

2010年3月、メイクアップアーティストであり教育者でもあるTerri Bryant氏は、自分のスキルに変化があることに気づき始めました。左肩から指まで硬直が広がり、そこだけを動かすことができませんでした。

2012年には、メイクアップに長く時間がかかるようになっており
結婚式の仕事では新婦の眉毛のバランスを取れませんでした。

「メイクアップの芸術性は、私の人生で大きな割合を占めています。食べるための方法でもありますが、創造的なアウトプットでもあります。メイクアップを使って私は人々と繋がってきました。それを失うことは、破滅を意味します」とBryant氏は話します。

自分自身にメイクをすることが難しくなり、Bryant氏は症状を無視することができなりました。

2015年、医師の診察を受けた後、彼女はパーキンソン病と診断され、
硬直や震えを引き起こす神経障害を持っていることがわかりました。

何が起こっているのか理解できて安心したBryant氏は、行動を起こします。

自分を含めたメイクアップに悩んでいる人たちを助けるために、握りやすくて手になじむ製品や、開けやすいパッケージなど、ユニバーサルデザインのメイクアップツールを作るGuide Beautyを設立しました。
https://www.guidebeauty.com/

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Veronica Lorenz氏は、パイレーツ・オブ・カリビアンを始めとする、映画やテレビのメイクアップアーティストとして17年間、活躍してきました。

1995年に良性の脊髄腫瘍と診断され、手術を受けてから、
右腕の感覚をほとんど失い、左利きになる方法を独学で学びました。

2013年には別の手術で左腕の感覚まで失うことになりました。

2017年、Lorenz氏は
キャットアイ・メイクが簡単にできるスタンプとアイライナーインクを使った「Vamp Stamp」を発売しました。

持ち手は丸いものではなく、三角形で、ツールを握りやすくなっています。
https://thevampstamp.com/

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ロンドン発の美容レーベル、Kohl Kreativesは、2015年に慈善活動としてスタートしました。

運動障害を含む、様々な悩みを持つ個人を対象に、“コスメトロジー”のワークショップを無料で提供しています。

このサービスを維持するためDaswaneyさんは、より固定できるグリップと180度曲げられて前後に曲がるメイクアップブラシを作りました。


「人々が、失ってしまうパワーとコントロールを取り戻すことは、私にとって最優先事項であり、インスピレーションの源でした。」
とDaswaneyさんは話します。

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作業療法士であるDonisi氏は
障害のある人々にとって使いやすい化粧品を見つけられることはめったにない、と言います。
完璧な解決策はありませんが、必要のある人々は適応するしかありません。

開けるのに苦労する平らなパウダー容器、アイシャドウのブラシは小さくて持ちにくい、アイライナーのキャップは手から滑り落ちる。

ジョンソン・エンド・ジョンソン、ロレアル、メイベリンなどの大手化粧品ブランドは、時折、簡単に使える製品を出すだけで、メイクアップツールのこのような”包括性”を考慮していません。

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もしかしたら今日の内容は、男性で普段メイクをしない方にとっては
革新性がいまいち伝わらなかったかもしれないことお詫びいたします。

今日の記事で紹介されている化粧品やツールは
震えや硬直などの症状がない人にとっても、便利で使いやすいツールのように見えるので、ぜひ大手企業でも開発してほしいなと思います。


これまでできたことが、できなくなる時
当たり前にあったものが、なくなっていく時
悲しくなり、情けなくなり、不安になるのは
誰にでも起こることです。

それを諦めて受け入れることも、抵抗してこれまでの方法にしがみつくことも、どちらでも、やりたいようにすれば良い。

でも、もう一つの道があるということを
今日の記事の登場人物たちが教えてくれています。

自分に起こったことには何か意味があり
これまでとは違った新しいクリエイティビティを発揮する機会が目の前に来た
、ということを。

ポジティブに考えるだけではない
まったく別の価値を発掘できる人になれるなんて
人生って悪くない、と思うのでした。

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