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マイクロノベル集 282「ボクがホンモノだよ」

No.1556
「よくぞこの境地に達した。もう教えることはなにもない」夫は美味そうにみそ汁を飲み干した。彼にとっての『母の味』……それがインスタントみそ汁だと気づけば、再現するのは簡単だった。一番の重要ポイント? それは賞味期限が三ヶ月切れていること。


No.1557
これは遺伝子組み替えで作られた「青い薔薇」だよ。存在しない物の代名詞だったのにね。遺伝子技術は便利だけど食べるのは注意した方がいいよ。予期せぬ毒性が含まれているかも……あっ、やめてっ。ぼくはツクシに似た別の植物だから美味しくないんですよぅ。


No.1558
やあ、ぼくは名言だよ。名言というのは、大抵は過去の偉人が口にしたガンチクある言葉だよ。本当は一般人ごときには縁のないものなんだ。君は役に立ったことがあるって? それは勘違いだよ。ロバが旅に出たところで馬になって帰ってくるわけではないからね。


No.1559
騙されてはいけない、その人類は偽物だ! 「貴様はAI探偵! 下品な機械の分際で失礼だぞ。な、なにを根拠に!!」あなたは旧式のAIをコピーして作られたんだ。ほら、唇を横に引っ張ったまま言ってごらん。学級文庫。「がっきゅうぶんこ――しまった!」


※noteだけで読める、このマイクロノベル集の続きはこちら。



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