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マイクロノベル集 280「あなたの物語はどこから?」

No.1546
ねえ、桃太郎って知ってる? わたしはこの物語をお父さんから教わったの。桃から生まれた猫と熊と鳩が旅をして、鬼退治をするお話なんだ。えっ? あなたが知っている桃太郎はお話の内容が少し違うのね。一体誰からそんなに奇妙な桃太郎を教わったのかしら。


No.1547
昔々あるところにお爺さんとお婆さんが住んでいました。お爺さんは山へ、お婆さんは川へ。すると川の上からどんぶらこどんぶらこと桃が流れてきました。「お爺さんや、浮力の設定がバグっていますよ」「すぐデバッグします」桃は川底に沈みました。おしまい。


No.1548
夜の図書館では会議が行われている? いいや、これは会議ではない。美しき交流会なのだ。経済学の本が歴史の棚へ遊びに行き、ホラー小説がSF小説と交わるのさ。「またこんなところに違う本が挟まってる」ああ~、引き裂かれる二人~。「住んでる棚が違う」


No.1549
お兄ちゃんの本棚には漫画がたくさんある。でも、勝手に読むと怒られちゃう。必ず元の場所に戻す。ツバが飛ばないようにマスク。指紋をつけないように手袋も。「ふはははは。兄よ、面白い漫画は読ませてもらったぞ!」今は兄弟で探偵と怪盗をやっているよ。


※noteだけで読める、このマイクロノベル集の続きはこちら。



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