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すげぇ店だった。歌舞伎町

研修がおわり、配属された最初のお店は「歌舞伎町店」

業種は居酒屋。当時の営業時間は17時ー3時(日曜だけ24時)

アルバイトスタッフは10~13名くらい在籍していただろうか。    ただしコアメンバーの7名くらいで切り盛りしていた。9割大学生で、私よりは全員年下。

社員のシフトは15時ー24時or17時ー3時の2択。         社員は2名だったのでどちらか休みの時は15時-3時

基本的にはキッチンをやるのが社員の通例らしく、自分もキッチンをやることになった。

研修でマニュアルをたたきこまれ、丁寧にオペレーションをやることが正義と教わってきたが、実際の店舗はそれどろじゃなかった。とにかくスピード。キッチン2人で焼き場・コンロ・刺場・サラダ場・揚場をこなすため、いちいち計ってる暇はなく、大学生アルバイトたちから、ひどく叱られた。

噂には聞いていたが、この店は、アルバイト>社員みたいな店舗で、アルバイトの仕事の意識は高かったが、チェーン店ではなく、個店主義が非常に強かった。紐解くと、だらしない社員が過去に多く、自分たちがやらないとという意識からだんだんと店のルールまで変え、チェーンルールよりも自分たちのやりやすさが正義となっていたようだ。

当然、店長や私への風当たりも強く、男女かかわらず、最初の一か月はかなり罵詈雑言を食らった。ただし、前述したように、この店の悪くなった理由がわかってきたので、3つ決意した。

1,誰よりも早くくる。(シフトは17時でも12時にはくる)

2,彼のスキル基準を達成する。(彼らのやり方を真似てみる)

3,貸しをつくりまくる(急な欠員が出た場合、休み返上。早くあがりたい、遅くきたい人には自分が代わりに残る。)

効果は2か月たたないくらいで現れる。

1をすることで周りから「この人はスキル不足をなんとか準備で補おうとしている」と気づいてもらえた。

2はほかの人よりも準備することで1品あたりのスピードが格段にあがり認められ始めた。

3,誰よりも働いている、助けてくれたという意識が芽生えて、心配されたり、感謝されるようになった。

私を指示していたキッチンメンバーが、相談するようになり、また指示を仰ぐように変わっていった。毎日最初から最後までお店にいるので、ホールメンバーも一人、また一人と声かけてくれたり、相談してくれたり、さらに相談にのってほしいなどというように、みんなが自分に懐いてくるのが、日に日にわかっていった。

こうなるともう強い。当初は仕事おわりの飲み会やプライベートな雑談で盛り上がっていたが、少しずつ、仕事終わりにお店の話ができるようになり、いいお店にするためにどうするかや会社として追われてる数字をよくするにはどうするか、と仕事の話ができるようになっていった。

私は全員のスキルを認めていること、大学生なのにお店のことを考え、意識高く働いていることを尊敬していると伝えつつ、このメンバーなら事業部で1位になれると断言して、何で目立とうか、みんなで話し合うことにした。

当時はお客様からのアンケートの数や事業部で決められたおすすめの出数の1位を狙おうとか、衛生検査結果が最悪のお店を最高レベルのSランクにしようと決めたことを覚えている。

当時はラインがなかったので、毎日の実績やアンケート、おすすめの出数、どこを清掃したかなどを全員にメール配信して朝礼でも共有する仕組みをつくった。清掃チェック表とアルバイトさんにも責任者になってもらい、各ポジションの清掃係をつくった。アンケート係やおすすめ係もつくって、お店全員が係に参加する仕組みをつくった。

その結果、業績はあがり、アンケートやおすすめも上位ランカー、衛生結果も1か月でSランクに変貌を遂げた。

何より効果があったのは、全員の当事者意識。

お店のシフトに穴が開かなくなり、紹介で入ってくるアルバイトさんも増えた。これはいいお店の共通点。人が集まることだ。

あの荒くれものぞろいの歌舞伎町を変貌させた新入社員として、ちょっと事業部に名前が知れたのを覚えている。

配属3か月が終わるころ、当時のエリアマネージャーから、店長としての異動を言い渡される、「お前を必要としているお店がある」と言われ、その3日後に歌舞伎メンバーに別れを惜しみつつ、新しい店へ異動した。

ここでの成功の秘訣。

配属された店舗や部署で、すぐに改善点を見つけたとしても、すぐに提案せず、なぜそうなってしまったのかの原因をしっかりと見つけること。

郷に入っては郷に従えではないが、まずやり方を覚え、できるようになることが先決。

そして一番大事なのはコミュニケーション。

信用を得るための近道は、そこで困っている人の役に立つこと。

相手への尊敬を忘れないこと。

失敗したら素直に謝ること。

何かしてもらったら感謝をすること。

約束、納期は守ること。

罵詈雑言は受け流すこと。辛かったら身近な人に相談すること。

歌舞伎町の自分がしてきた経験は身を削るので、覚悟がない人にはおすすめはできない(もっとも今は労働時間、休みもしっかりとるようにいわれる)が、成功の秘訣はだれにでもできることだ。

特にコミュニケーションは避けては通れない。コツは演じること。仕事の自分とプライベートの自分をわけることができれば、演じることはできるだろう。この辺りは後日書きたいと思う。

次回は歌舞伎町から一転して住宅街のお店へ異動になり、初めて店長として経験したことをつづる。

赤字店舗、社員ーアルバイトのコミュニケーション崩壊店舗なので課題店舗への挑戦。


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