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nagaya.のオープンまで 1

来年にホームページのリニューアルを考えていて、
その中で書いておきたい記事を先にこちらに書き留めておきます。
まずnagaya.がオープンするまで。


東京ではないどこか
東京のインテリアショップの買い付けの仕事をしていた
私・nagaya.の店主が徳島に帰ってきたのが2011年。
あの大きな震災があった年だ。覚えているだろうか、
震災直後の東京では"計画停電"で、急に人々の暮らしの灯りが
消えた日々があったことを。私も省エネを意識し、
自宅ではエアコンを切って布団に包まりながら
最低限の灯りのなかを心細く過ごした。
大きな災害の前では、
東京という町の完璧とも思えたシステムは
容易にストップしてしまうこと、
普通の小さい暮らしは足元が実はグラグラだったことが、
震災でみえたことだった。
仕事や趣味を通して全国各地のもの作りの現場を訪れ、
その面白さを肌で感じ、東京ではなくても面白いな、
と思い始めたタイミングでもあった。
そんな中、約13年振りに故郷の徳島県に帰ることに。

各地に小さい灯りをともす場をつくりたい
最初は、徳島県三好市という所縁はない場所で、
地域おこし協力隊という大層な冠のついた仕事についた。
三好市の魅力を発信することも業務の一環で、
私が魅力的に感じた三好市は、古い古民家が残る
懐かしい町並みだった。(池田のうだつの町)
その中の空き家を一軒借りることができ、
地域の方と「うだつマルシェ」というイベントも立ち上げた。
その仕事で出会ったのはたくさんの四国の作り手たち。
うつわや布小物、食べ物、なんでも力強く作り出す人たちが
そこここにいた。その作り手の暮らしの場を訪ねると、
山奥などの過疎地域も多かった。
それぞれの地域でものを作り出しながら、
日々の暮らしを家族と重ねている姿が、
地域おこし、なんていう言葉よりずっしりとした重みを感じた。
各地で独立してものを作っている方たちのものを売る場をつくる、
そうすることで、各地で暮らしの灯りがともる。
そんなイメージが湧いた。

いちばん身近な足元に灯りをともす
三好市で「うだつマルシェ」が大きくなるにつれて、
他の空き家も使ってみないかという声がかかるようになった。
清掃をしてイベントで使うことで、
古い建物が呼吸をし始め、皆がその価値に気づき、
建物に命が吹き込まれるようになることがわかった。
(イベントがきっかけで使うようになった空き家は
 サテライトオフィスやMINDEという複合施設になっている。
 私が借りていた空き家は4S STAYという宿になった。)
地域おこし協力隊の任期の終わりが見えてきた頃、
各地の小さい作り手のものを売る場をつくりたいとは思っていたけれど、
それをどこで?どういう風に?というのは決めきれていなかった。
ふと思いついた。
実家のある徳島市で、
亡くなった祖父母が建てた築50年以上が経つ二軒長屋。
住む人がいなくなって10年弱が経っている。
オンボロで真っ暗になった長屋の細道の奥に実家があるのだが、
その細道はなんとなく怖くて小走りして通っていた。
実は昔からずっと目の前にあった、
灯りをともしたい場所だった。

店のオープンに向けて
場所が決まってからは早かった。
三好市での活動で知り合いになった建築士さんに、
長屋の状態を見てもらい改装計画を立て、
長屋の賃貸業のための会社も親から引き継いで
小売業も法人登記に追加した。
小売の仕事は東京でしていたものの、
会社では沢山いた同僚たちは誰もおらず、
自分だけでなんでもしないといけない。
店の内装、資金調達、
作り手さんとのやり取り、
告知、掃除、事務作業、、、
山のように仕事があった。

続く

徳島県徳島市でnagaya.という雑貨店を営んでいます。ナガヤプロジェクトオーナー。