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英語が上達したければ洋画を観ろとは言いますけども


英語のリスニング力を向上させるには洋画や洋ドラを見ろ!みたいな話がある。

そんなものは嘘だ。

そんなことを言っている人はディズニー映画しか観てこなかったに違いない。

映画が好きだ。特に洋画が好きだ。

映画を観続けて、テンションが高い時も低い時も大抵の場合映画を観ればなんとか立ち止まることができた。

じゃあ英語が話せるようになったのか?

それが怖いことに中途半端に話すことができるし、中途半端に聞き取れることができる。

ただ、問題がある。

観てきた映画によって形成される言語が明らかに綺麗ではないというそれだ。

もちろんディズニーとかユニバーサルとかの作品は好きだ。

ピクサー作品もたまに観る。逆に公開当時ではないタイミングで観るピクサーの方が泣けてしまうのはなぜなのか。ココとかもうボロ泣きですよえぇ。

それでも自分が好きなのはマッドマックスFRだし、セッションとかも大好きだ。

ファッキンテンポ!!!が散々怒鳴られるのを聞き続けた中学生時代。マイケルベイの爆発を言語として扱われる映画を観てブチあがった少年時代。バトルシップを観ながらブリトーとビールを流し込むことに憧れ続けている今日この頃。

そんな映画に出てくる言葉ぶっちぎりの第一位が「Fuck」だろう。

実際のアメリカの日常で「F**k」なんて言葉が出てくることはまずないらしいけれども、やっぱりこれまでに聞いてきた映画に出てくる言葉で印象に残っている言葉はこれしかない。

そして怖いことに、洋画ってきっちりとした文法が使われていないことがしばしばある。

短い時間にどれだけのことが詰め込まれているかを重要視されるのか、それともそれがネイティブイングリッシュなのか。それはわからないけれども、どこか聞いていて心地がいいのは美しい文法としての言葉ではない場合が多い気がする。

Disney+でこの前に配信が始まったドラマがある。

『一流シェフのファミリーレストラン(本題:The Bear)』というドラマで、嬉しいことに大体1話が30分、そして8話で1シーズンが終わる優良設計。

韓ドラが苦手なんですよ。毎回1時間とか1時間半とかのボリュームになってて区切れないし、話は面白いらしいのに手が出ないジレンマに毎回悩まされる。

で、この『一流シェフの〜』のあらすじはこんな感じ。

高級レストランでシェフをしていた天才のカーニーは、突然自殺した兄が経営していたシカゴのレストランを受け継ぐことになる。

そこで働き始めるも、元からいたスタッフや突然やってきた新しいスタッフによってもうしっちゃかめっちゃかの状況に1話開始数十秒後からぶちこまれていくというもの。

もうこの時点で面白く、さらに胃が痛くなるのが見えていてたまらん。

話を聞かない古参スタッフに、常にキレてる兄の親友、さしてやる気のないスタッフ、やる気だけはあるけど空回りしかしない新参スタッフ…キャラが大渋滞しているのに、それが苦にならないのが面白いところ。

何が面白いか。多分セリフ回しが怒涛の勢いで流れ続けるところが自分にとっては面白かったのかもしれない。

コントかと思うくらいの詰め込みに怒涛の罵声、さらにその罵倒が語彙力のかたまりみたいなレベルで突っ込まれる気持ちよさ。

Twitterで見た通りの引用だけど、こんなセリフがあった。

「お前らクソオタク」と翻訳されていた言葉、そのままのセリフだとこうなる。

「Snyder Cut Motherfuckers」

スナイダーカットとは、映画『ジャスティスリーグ』の監督をしていたザックスナイダーという監督が、あることで降板し、代わりに入った監督によって作られた映画が絶妙にその…なんというかアレだったことに不満を持ったファンによって熱望されたスナイダー版の『ジャスティスリーグ』のことを指す。

言ってみれば声のデカいオタクのことを指すのだけれど、まさか待機列でイキリ散らかすクソオタクに対してブチ切れながら使われる言葉とは知らなんだ。

これで今日からあなたもクソオタクに対して使えますね、「Snyder Cut Motherfuckers」と。

「Fuckin’ nerd」と言うよりも、なんというか洗練されているきがしなくもない。

そんなことを考えたりする余裕もなく、あっという間に1シーズン8話を完走した。ドラマを一気見したのなんて何年ぶりになるのだろうか。

天才であるが故の苦悩、とかではなく、どんな人だって平等に苦しいし、抱えている苦しみは違う。でもシェフなら今日も調理場にいなければいけないし、美味いご飯を作らないといけない。

それでも、シェフであってもただ料理を作ることに長けていたらいいというわけでもない。

経営やコミュニケーションに板挟みにされながら忙殺されていく主役のやつれていく顔がもうね、最高でした。

戦場のキッチンの中で繰り広げられ、嵐が去ったキッチンで締められる毎話。

鳴り止まない銃声に止まない大雨、それでも時折やってくるささやかな優しさが胸を詰まらせる。

それはそれとして、やっぱり料理人ってどっか狂ってるよ…としみじみ感じさせられてしまうドラマでした。

終盤にかけてレストランに絆が生まれ…と思うじゃん?そうじゃないんだなぁ〜ふへへ。なんてことが起こり続ける、飲食店に関わったことがある人間なら間違いなく楽しめると同時にあの日あの時の苦しかったこと、あるいは今苦しいことが頭を駆け巡るセルフPTSD再生ドラマかもしれません。

とりあえず日本語字幕は完走したので、今度は日本語吹き替えがあればそれを流しつつ、英語字幕で見直そうと思います。

それよりもやることしかないのでとりあえずまた作業に戻ります。

では。

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