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箱庭の詩 3 《Kisikaの日記 33》


   H16/04/13


 3.

箱の中に
砂があって
いのちがある
わたしが生まれる
遥か昔から
ずっと
ずっと
ずっと未来まで
続いて行く
小さいけれど 
あたたかくて
まあるくて
コロコロと
動いている
水晶よりも
透きとおった
いのちがある
冷たい風に
吹かれても
固い石に
ぶつかっても
明るい昼も
暗黒の夜も
自分の色で
精いっぱい
輝くことを
忘れない
海と空の青さを
足したより深くて 
暴風と岩山を
足したより勁くて
初夏の風に揺れる
若草よりも
しなやかな
いのちがある
砂の上に置かれた
可愛い椰子の木の
涼やかな葉陰に
ちょこんと座って
みんなに
笑いかけている
ナメクジラの
小さないのちに
そおっと
そっと
ありがとうと
ささやく



 (了)



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