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【物語る句】『別れを告げて』の巻〜「夏目友人帳 肆」を基に

【お読みいただく前に】
本ページにお越しいただき、ありがとうございます。
本作はアニメ「夏目友人帳  肆」全13話のタイトル(とらわれた夏目、東方の森、小さきもの……以下同)を入れ込んだ13句+ラストはオリジナルの1句で構成し、肆の世界にインスパイアされて詠んだ全14句(5・7・5と7・7の繰り返し)による創作物(物語る句)です。


『別れを告げて』の巻

とらわれた夏目は因果の闇を駆け
 冬満月の東方の森
冴ゆる夜の小さきものの恩返し
 白息残す代答の恋
過ぎし日の君に「元気でやってるよ」
 硝子のむこう まんぷく先生
人と妖(あやかし)の間(はざま)で揺れながら
 惑いし頃に別れを告げて
共闘の月分祭の華やかに
 祀られた神様は旅立つ
一枚の写真を皆で探す春
 記憶の扉暗く疼いて
さようなら 遠き家路と僕の孤独
 桜の包む新たな家族


【おことわりと御礼】
お読み頂き、どうもありがとうございます。
本作はインスパイアに基づく作品です。そのため、物語どおりの描写ではない部分もあると思います。また季語(季節)も順不同の部分があったり、無季の句もあります。
形式は「5/7/5」「7/7」を繰り返す「連句」を基に独自にアレンジし、「物語る句」と命名して創作しています(実際には585、87など音数が多い句もあり)。
あらかじめご了承願えれば幸いです。
(ファンの方で不快に思われた方がいらしたら、申し訳ありません)

いよいよ2024年秋より「夏目友人帳 7期」の放送が決定!
「勝手に前夜祭!」と詠んだ第四弾。
7期の放送までに何とか物語る句として続けて詠んでいければと思います。

★  ☆  ★  ☆  ★  ☆  ★  ☆  ★  ☆  ★  ☆

【「肆」を詠んでみた感想】
肆(4期)は、この長い物語(と夏目君の人生)の一つのクライマックスと思います。
特にラストの3話「一枚の写真」「記憶の扉」「遠き家路」は夏目君の過去の悲しいエピソードが主軸で、今回詠むにあたり観直していて辛かった。
でも、彼がこれまでの日々と自分に決別するくだりは何度観ても悲しいながら胸が震えます。わけても「行ってきます」と今は亡き両親と暮らした家へ言いながら、胸の裡で呟く「さようなら、僕の家」。
このシーンを目にするたびに原作者・緑川さんの芯の強さ、また人間と生きようとする命を信じる力に頭を垂れる思いです。
そして、彼が新しい家族と友人たち(人間と妖)を自らの意思で選び、今いる場所へ帰り、桜散る中で新しい家族写真を撮るラストシーンには深い感動と余韻を覚えずにはいられません。

一個の俳句つくりとしては、4期の物語の季節の進行が「冬(過去の日々と苦しみ、悲しさ)」→「春(新しい季節と再生、始まり)」となっている点が凄いなあ、考え抜かれているなあ、と思いました。
冬から春への季節は、夏目君の心の成長過程でもあるんですね。
制作スタッフの皆様が如何に夏目友人帳の物語と世界を尊重しているかが伝わってきて、嬉しく有難く思いました。



本作をこの世に生み出し、送り出してくださった原作者・緑川ゆき氏、
アニメ「夏目友人帳」の制作スタッフの皆様に感謝申し上げます。

※ちなみに、アニメ「夏目友人帳」1~3期の物語る句、そして「夏目友人情」の俳句連作を下記ページに掲載しています。ご高覧いただければ幸いです。
また「物語る句の定義」と「なぜ、連句形式で詠もうと思ったか」についてご興味のある方はコチラをご覧くださいませ。

【物語る句:アニメ「夏目友人帳」1~3期】

【オリジナル俳句作品:2作】


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