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【俳句10句】かはたれ:夏目友人帳「とおかんや」に寄せて

かはたれ

柏柳明子

穭(ひつぢ)田(だ)を行く甘党の妖(あやかし)と
たそがれの勝負へ誘ふ案山子かな
鎌の刃によぎる光は秋冷の
蛇穴に入る結界の森へ入る
宵闇の潜んでゐたる左腕
弱音吐く声の色なき風に消ゆ
追ひ追はれ真夜の案山子は沸々と
月に雲祓ひの陣へ吸ひ込まれ
足音の連なりかはたれの山へ
解放はいつ金色の林檎の餡

(『夏目友人帳』第二十巻/第八十話「とおかんや」(原作・緑川ゆき氏)に寄せて)




【おことわりと御礼】
お読み頂き、どうもありがとうございます。

これまでnoteで2作ほど『夏目友人帳』の世界にインスパイアされた俳句および物語る句を掲載しましたが(ラストのURL参照)、今回、初めて原作の作品を基に詠みました。

原作の中で好きな作品はたくさんありますが、まだ映像化されておらず特に思い入れの強い「とおかんや」を最初の俳句作品として選びました。
その理由として、物語の佳さはもちろん、主要なキャラクターである案山子が秋の季語であること、そして作品中での案山子の描かれ方に心動かされたことなどが挙げられます。
そして当然ながら、ニャンコ先生はもちろん、夏目くんと名取さんのコンビネーション、依島さんのミステリアスな存在感などの魅力もあります。

本作はあくまでもインスパイアによるものなので、原作どおりではないところもあります。
季節は案山子以外にも秋らしい様子が見られるので、無季の句もありますが全体的に「秋の季語」で詠みました。
以上、ご了承願えれば幸いです。

原作を生み出してくださった緑川ゆき先生に感謝いたします。

☆夏目友人帳・インスパイア句
https://note.com/nag1aky/n/ne4acf864d5f0

https://note.com/nag1aky/n/ne541f08a72fb

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