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エッセイ&コラム(あっさり)

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その日、もしくは前日に感じたことを「あっさり」短めに、 まとめた文章です。 推敲した最終稿をここに載せます。 <これまで【note】に綴った日記をカテゴリー分けしました。 その… もっと読む
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2017年10月の記事一覧

ハロウィンに想う

ハロウィンに想う

今日は、ハロウィン🎃。10月31日。
個人的には怒涛のように過ぎた、10月のひと月だった。
名古屋帰省から始まり、伊東で誕生日を祝い、50歳を迎えた感慨にふける間もなく熊本で不幸があり、鹿児島での再会もあった。様々な出来事がいっぺんに押し寄せて、そのうえ毎日書くと決めていたものだから、日々のトピックには困らなかったけれど、ほんとうに我ながらよく書いたな、と思う。

1日の『10月の朝顔』から31

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Anything possible.

Anything possible.

羽田空港から京急で品川に着いた途端、東京は人混みにあふれていた。
疲れたからだと重い荷物を引きずりながらエスカレーターに立ち、ホームにひしめく黒だかりの人たちをぼんやり眺めていたら、昼に火葬場で聞いた英語のフレーズが、ふいに浮かんだ。

Anything possible.なんだってできる。

熊本の女子高に掲げられているという、この言葉には続きがある。

You can make your ow

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雲の上はいつも澄んでいる

雲の上はいつも澄んでいる

今日は義父を見舞うために、熊本へ。
夫は一足先に帰熊しており、
わたしはひとり窓際に座り、機上から空を眺めた。

どこまでも澄んだ青が、
たなびく雲の上に、限りなく広がっていた。
なんて綺麗なんだろうと見とれたのもつかの間、
思わず、目を伏せてしまった。

朝から東京は暗く、冷たい雨が振り続いていた。
雲のしたの、どんよりした鈍色の世界を思うと、
まるで真逆の、美しすぎる鮮烈な青が怖かった。

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記憶の色

記憶の色

先日、誕生日を迎えて以来、期せずして様々なできごとが起き、これまでの日々を振り返る機会が増えた。生と死や命を意識するようになり、なんとなく過ごしていた「いま」を見つめている。

今日は単純に、昨日を重ねただけじゃない。

上書きされて消えたはずの過去も、じつは消えていなかったり、憶えておこうと心に決めたできごとも、忘却の彼方に置き去りにされて、自分の意志とは関係ないところで「なにか」が作用する。結

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「ゆ」

「ゆ」

この連休は、久しぶりに夫婦で一泊の温泉旅行へ出かけた。

旅館に着くなり、通された部屋でお茶菓子を頂くのも後にして、いそいそと大浴場を目指す。旅の目的は「ゆ」である。なにより「ゆ」が先決だ。さあ、のれんの「ゆ」を潜ろうという段になって、ちょっと足を止める。

「ゆ」の文字を品定めしなければ。

下の名前の本名は「有生子」というので、わたしは物心ついたときから「ゆ」の文字に愛着がある。それもひらがな

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10月8日の汗

10月8日の汗

1967年10月8日も、日曜日でした。
この日の名古屋は、今日の東京と同じような、
陽射しの強い夏日だったそうです。
母は半袖のゆるいワンピースで、
汗をかきながら近くの橋を渡り、
坂道を登り始めたところで陣痛が来たと、
いつか話してくれたことがありました。

誕生日を迎えると、
わたしはこの光景を思い浮かべます。

母の額の汗と同じように、
母のからだから生まれた不思議を感じます。

生まれ落ち

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