10月8日の汗
1967年10月8日も、日曜日でした。
この日の名古屋は、今日の東京と同じような、
陽射しの強い夏日だったそうです。
母は半袖のゆるいワンピースで、
汗をかきながら近くの橋を渡り、
坂道を登り始めたところで陣痛が来たと、
いつか話してくれたことがありました。
誕生日を迎えると、
わたしはこの光景を思い浮かべます。
母の額の汗と同じように、
母のからだから生まれた不思議を感じます。
生まれ落ちた瞬間から、一度も途絶えたことのない呼吸の往復を。
今日は夫と、海沿いの道を歩きました。
暑くて暑くて、汗をかきました。
半袖のワンピースで。
50年前の、あの日と同じ汗なのかな。
なんだかずっと、母の汗が、今もわたしから流れているような、そんな気がしたのです。
この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?