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サッカーにおけるシステム(4-4-2 (2ボランチ))について

みなさんこんにちわ!

今回は『サッカーにおけるシステム(4-4-2 (2ボランチ))について』というお話です。
サッカーをテレビやネット配信で観ていると
解説の方が「システムを変えた方がいいですね」とか「システムがはまってますね!」とか、よく聞くけど素人目には、ちょっとむずかしい。。
というわけで、ちょっとシステムについて整理してみようかと思います。

①システムってそもそもなに?
②4-4-2システムの守備時のメリット
③4-4-2システムの守備時のデメリット
④4-4-2システムの攻撃時のメリット
⑤4-4-2システムの攻撃時のデメリット
⑥まとめ


①システムってそもそもなに?

サッカーにおける『システム』は、選手の初期配置なんです。
『システム』は『フォーメーション』とも言ったりしますよね。
サッカーは11人対11人の複雑系スポーツなので、
試合が始まったら、ボールとか敵や味方の移動に応じてシステムである“初期配置”が変化します。テレビで観ていても、われわれ素人にはわかりずらい理由はそこにありますよね。

ちょっとわかりずらいことも、結局1つずつ理解していくしかないので
1つずつ理解してみましょうか。(知ってる人は飛ばして読んでくださいね)

システムの4-4-2の中の4とか2の数字は、ゴールキーパー(GK)を除いた後ろのポジションから順番に配置している人数を表しています。ゴールキーパー(GK)は必ず1人で、2人になったりしないので、略されているわけです。

ということで4-4-2であれば、

・ディフェンダー(DF)が4人  ※ディフェンスする人(defender)
・ミッドフィルダー(MF)が4人 ※ミッドフィールド(フィールド中央)の人(mid-filder)
・フォワード(FW)が2人 ※フォワード(foward)→前方の人

という意味になります。

図1 サッカーのシステムの表現(1)


最近では、ミッドフィルダー(MF)の人数を2種類に分けて
4-2-2-2みたいに表現する場合もあります。

図2 サッカーのシステムの表現(2)

これはミッドフィルダー(MF)の中のボランチというポジションが重要だからです。
ちなみにボランチは4-2-2-2の最初の2の部分です。(上の図2の6、7番にあたります)
ボランチはポルトガル語で“舵取り”、“ハンドル”の意味です。

文字通りチームの“舵取り”=コントロールをしているポジションなんです。
日本代表で言うと遠藤選手とか守田選手、田中碧選手とかのポジションですね。

では、初期配置の4-4-2のメリット、デメリットをみてみましょう。
※今回はボランチは2人として整理してみます


②4-4-2システムの守備時のメリット

では、まず守備時のメリットから確認してみましょう。
次の図3をみてください。これが一般的に言われる4-4-2のシステムです。
イギリスのサッカー雑誌「4-4-2(フォーフォーツー)」という雑誌があるくらいメジャーでオーソドックスなフォーメーション、システムになります。


図3 4-4-2システム


メリットですが、以下の3点が挙げられます。

(1)選手の立ち位置がわかりやすいシステム
→4-4-2の守備では、前後左右いずれかに、隣り合う選手がいるので、選手としてはどこにポジションを取ればいいのかわかりやすいんです。

図4  守備時の選手の立ち位置例


(2)そのため選手間のポジションをコンパクトにしやすい
→立ち位置がわかりやすいと、ポジションがずれた時に気づきやすく、修正しやすいので、ポジションを"キュッ"とコンパクトに保つことができますよね。

図5  コンパクトにしやすい


(3)そのためチャレンジ&カバーがしやすい。連携して守りやすい。
→コンパクトにできると選手間の距離がいいので、前の選手がチャレンジして抜かれたとしても、後ろの選手がすぐカバーできる。だからチャレンジ&カバーがしやすいですよね。(下の図は9番がチャレンジして抜かれたが5番がカバーしたケース)

図6  チャレンジ&カバーがしやすい

つまり「4-4-2はすごくわかりやすいシステム」と言えます。

いい例があります。
4-4-2で一つの時代を築いたアトレチコマドリードのレアルマドリード戦です。シメオネ監督のアトレチコは守備が固く、メッシのいたバルセロナもなかなか勝てない様な時期がありました。
26.35あたりから観ると4-4-2の陣形でコンパクトに守備していることがわかります。


③4-4-2システムの守備時のデメリット

どのシステムにもメリットがあればデメリットもあります。
もちろん敵チームはそこを突いてくるんですよね〜
ではみてみましょう!

(1)敵が最終ラインを3人にしたときに人数の差が生じて前線のプレスが効かなくなる
→バランスが崩れてサイド、ボランチにクサビを入れられやすくなりズレが生じる。
次の図7、8をみてください。青が4-4-2で守備、白がボールを持って攻撃をしている状況です。

青のフォワード(FW)2人に対して、最初は白の敵がディフェンダー(DF)は4人(センターバック(CB)相当が2人)だと、図7のように白の3番、4番にもプレッシャーがかかるし、パスの出し先にもプレッシャーがかかる状況になりやすいんです。そうすると白はパスを出しても取られやすいし、ボールキープしても取られやすい。
これがいわゆる青の守備側として「システムがはまってる」という状態なんです。

図7 敵が同じディフェンダー(4人)の場合



ところが、図8のように白の敵がディフェンダー(DF)を3人に変えてきた場合(正確にはディフェンダー(DF)のセンターバック(CB)相当を3人に変えてきた場合)、青のフォワード(FW)2人対白のディフェンダー(DF)3人で人数の差が出ます。
そこを起点に、

(2) 2トップの横のスペースが弱点になる
→敵(白)は相手陣地に攻め込むために、人数の優位性を活かして
左右にパスをまわして揺さぶりをかけるんです。

図8 敵がセンターバック(CB)相当を3人に変えてきたの場合



そうすると、図9の様に後ろに敵(白)の方が人数が多いわけなので、
ズレを活かされてフリーでエリアに侵入されてしまうわけです。

「敵より人数を増やすエリアをつくって敵の守備を崩していく」

これは4−4−2に限らず全てのシステムを攻略していく方法なんです。
これについては2022年カタールワールドカップの日本対ドイツ戦が非常にわかりやすいです。ドイツ代表は日本の出方を見て、巧みに3人の使い分けをしていました。
そう言う意味でも、Abemaさんには無料再放送をお願いしたいですね。
本当に勉強になりますから。

図9  2トップの横のスペースが弱点


(3) さらに2トップの背後のスペースが弱点になる
→これは敵(白)が3枚にしなくても、味方の連携が取れず、ずれやすいところがあります。
選手は自分の立ち位置を前後左右の味方、敵の位置から把握しています。
ですが、フォワード(FW)は前に味方がいないので、フォワード(FW)だけボールを取りに行ってしまい、後ろのミッドフィルダー(MF)、ディフェンダー(DF)とポジションが離れてしまうことがあります。
その時、フォワード(FW)の背後のスペースを使われてしまうんです。
そこを使われると、敵(白)のミッドフィルダー(MF)にいいパスを出される原因になります。
ちなみにこれは全てのシステムに当てはまります。

図10  2トップの背後のスペースが弱点



その場合、外回りさせて取るか、中にクサビが入った時にキュッと縮めてボールを取るのが解決策です。
さらにプレスをかけるラインを少し自陣側に設定して、2トップの裏をケアする。
とにかく「コンパクト」にして敵(白)をゴールから遠ざける。
中でボールとるか、外で取るかはチームの強み次第ですね。
すべてをカバーできないコートの広さがサッカーなので、何かをを捨てて、何かを選択しないといけないんです。


④4-4-2システムの攻撃時のメリット

攻撃時のメリットは、縦に速い速攻型の攻撃チームには良いシステムであることです。

→ボールをまわして敵の守備を崩していくポゼッションではなく、カウンター攻撃を仕掛けるチームにはメリットがあるシステムです。
それには球際の強さや空中戦で勝つような個人の強さが必要なんですが、日本代表が苦手としている中東のサッカー、フォワード(FW)にスペシャルな選手がいるヨーロッパのチームはこういった堅守速攻のチームが多いです。
フォワード(FW)、ミッドフィルダー(MF)に速い選手、強い選手がいるチームはこのシステムを使ったりします。

図11  堅守速攻型  6、10番で7番に挟み撃ちプレス
図12 堅守速攻型  足の速い8番が速攻を仕掛ける

⑤4-4-2システムの攻撃時のデメリット

コンパクトにしてる分、攻撃時に自分たちの攻撃スペースを広げるのに時間がかかる
→コンパクトな攻撃は相手にボールを取られやすくなりますからね。
そのままだとパスがまわしづらいんです。パスをまわしポゼッションをするチームにとっては、切り替え時にコートの幅を取りづらいので、向いていないんですね。
なので4-4-2をからポゼッションするチームは攻撃時はシステムを可変して、ビルドアップすることが多いです。

図13    ポゼッション型には向かない


具体的に言うとこんな感じです。
図でみてみましょうか。まず、4-4-2でキュッとプレスしてボールを奪います。

図14    プレスでボールを奪う


10番がボールキープしてドリブル。その間に他の青の選手はボールをもらえるようにポジションを取る。こんな感じですね。2-3-2-3のようなハーフレーンを意識してパスコースが生まれやすいポジションをとったりします。これに時間がかかるので、広がろうとしている間にボールを取られてしまったり、敵に守備を固められてしまったりするんです。

図15    パスコースを増やすポジション

※ハーフレーンやポジションについては、こちらでも触れています。


パスを回してゴールに迫るには、ある程度味方同士で広がって敵にボールを取られないでパスを回す必要があります。このポジションに移動するのに4-4-2は時間が必要なんですよね。そう考えると守備に利点があるシステムとも言えるかもしれません。


⑥まとめ

よく「サッカーのシステム」なる本が出版されますが、システムを切り取っても具体例と関心のある試合がリンクしないをわかりずらいと思うんですよね。。
しつこいですが、ワールドカップの日本代表対ドイツ代表は本当にシステムの駆け引きがわかりやすい試合でした。さらに日本代表が勝った大興奮の試合なのでシステムの勉強にはもってこいですよ。

ぜひ、たくさん試合を観て、「このチーム守備の時4-4-2でいい守備するな~」とか感じれるようになってください。その時はボールに注目しないで、人の配置を俯瞰するように観ることが大事ですよ。そうするとチームがやろうとしていること、準備してきたことが、見えてくるはずです。
これはサッカー観戦術にもつながりますし、よりサッカーを楽しめる方法です。今回はサッカーにおけるシステム(4-4-2)について、お話ししました。


■PS

いまのサッカーは各システムの攻略法がかなり整理されてきていて、
相手の立ち位置やシステムを感じながらピッチの選手たちはシステム変更しています。
これは一昔前まではあまりなかったことですが、
今や海外の一流のチームではあたりまえとなっています。
日本代表もその領域に入りつつありますよね。
だからこそ、サッカー選手を目指す人、コーチをする人は必要な知識といえます。
そういうことで、また他のシステムの整理もしてみようかと思います。

では、また!!


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