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「他人に正しく報告(報連相)する」ということ(2)~どのように報告すべきか~

1回目(№6)は、報告を行う際には「己の性格を自覚すること」というテーマで紹介しました。

今回2回目は、基本的に「どのようなことを報告すべきか」ということを紹介します。既に、いろいろな形で紹介されているテーマですが、ここでは特に「留意して欲しい点」に焦点を当てて紹介したいと思います。

報告は、「日報、週報、月報」というタイミングが一般的かと思います。当然のことながら、作業進行上の状況や発生事象に合わせ「随時」求められるということもあります。その際でも、報告すべき事項は変わらないと考えて良いと思いますが、決められた定期的な報告と異なる点は、「スピード感」ということになるでしょうか。


■報告(報連相)にあたって

報告は、割り振られた「仕事」に基づいて行われるということは、言うまでもありません。そこで報告にあたっては、以下の観点を意識して取り組んで下さい。

・取り組むべき仕事の「全体像」を把握すること
システム開発は、多くの場合「チーム」で仕事をすることになり、「分担」することになりますが、必ず取り組む仕事の「全体」を確認するように努めること。(上司、リーダーに、プロジェクト全体像を示すことを求めて下さい)

・その上で、割り振られた仕事の「全体像」を理解すること
割り振られた仕事が、「取り組むべき仕事のどの部分、位置づけ、役割等を担うものであるのか」を、最低限把握するように努めること。

・スケジュール(計画)は、「全体と個々」を必ず併記すること
プロジェクト全体スケジュールと、割り振られた個々の作業スケジュールとを併記し、常に比較検証(全体と個々)を可能にすること。

・一作業期間は、最長でも「原則2~3日程度」 *1 で設定すること
割り振られた仕事の作業項目を検討する際は、一作業項目あたり「2~3日程度」で完了する作業項目に、分割するようにすること。(出来る限り)

・全体の体制を把握し、自身の立場、役割を明確化すること
どのような体制で進められているか、上司・リーダー・メンバーの位置づけ、役割を理解しておくこと。顧客、外部要員がいる場合は、同様に役割の把握に努めること。

・盛り込むべき基本事項
担当範囲(全体との関係を含め)、現在の工程、作業スケジュール、作業項目・発生事象、進捗(実績・課題付)、課題への対処案  *2 、連絡・相談事項、留意事項(懸念事項など)を基本とし、報告主旨などに合わせ変更作成すること。特に実績については、出来るだけ「定量表記と現物」を意識すること。

*1:一作業期間(作業項目の最小単位)として、「1週間」という考え方は「長い」と考えること。「一夜漬け」発想に(週の後半になりがちに)陥る可能性を排除すること。

*2:余談だが、課題に対処案が書かれていると、「俺が決めることだ」と怒る上司やリーダーがいるので、記載時には十分留意すること。

■日報について

日報は、文字通り、その日の1日の実績、状況を報告するためのモノです。 ここで、意識して欲しいことは、「時間」という単位での表現です。ベストは、「何時から何時、何を・・・」という表現が望ましいと考えます。
「時間という単位で」と記しましたが、勤務時間(基本8時間)の使い方をきちんと表現できているのかで、その「報告者」が作業内容を理解し、進めることが出来ているかを判断することが容易になります。要は、作業内容をしっかり把握し、どういう時間を費やして、何を、どこまで進め、何がどれだけ残っているのかなどを、出来るだけ具体的かつ定量的に記すことが大切だということです。
ただ、日報では日々の作業を報告するということから、あまり進捗に変化が無い場合など、往々にして一行で済そうとする傾向が生まれます。例えば、プログラミング工程などで「1日、プログラミングしていました」といった表現です。過去に、なんとこの内容の羅列で1週間続けたという例もありました。(上司・リーダーがノーアクションだと、この傾向が増す)

ex. 週で見たら、 ○○日 月曜日 プログラミング 問題なし
                          ○○日 火曜日 プログラミング 問題なし
                 :
                 :

こうしたは表現は、「論外(報告ではない)」と考えて下さい。 
たとえ同じプログラミング作業でも、昨日までと今日の作業内容、進捗は異なるハズです。その状況の違いを伝えるのが、「報告」であるということです。もちろん、進捗無しというのも報告であることは言うまでもありません。 
また、日報で提示された「課題」は、翌日には解決する(方向性を出す)スピード感で対応しましょう。

■週報について

週報は、日報を「週単位」にしたものと考えて下さい。日報で報告してきた内容を振り返り、週としての「計画、実績と進捗、課題、対策案、その他留意事項、懸念事項など」について、取りまとめ、記載して下さい。
週報では、日報で解消し得なかった課題を「中心」に報告することが良いでしょう。
また、実績は、必ず「現物(生産物)」をいつでも提示できるようにして下さい。

■月報について

月報は、週報を「月単位」にしたものと考えて下さい。週報で報告してきた内容を集大成し、月としての「計画、実績と進捗、課題、対策案、その他留意事項等々」に対し取りまとめ、記載して下さい。
月報では、週報で解消し得なかった課題を「中心」に報告することに加え、その月の振り返りを行うようにすることが重要です(進捗、課題対応関連)。
週報と同様、必ず実績「現物(生産物)」を、いつでも提示できるようにして下さい。

■随時報告について

トラブル発生時や突発事態発生時など、緊急対応時に行われる報告は、急ぐあまり「口頭だけ」で済まそうとする気持ちが沸いてしまいがちです。発生時には口頭で報告することはやむ負えないことだとは思いますが、それだけで済まさないようにすることが重要です。
事後でも、出来るだけ速やかにドキュメント化する癖をつけて下さい。 
「喉元過ぎれば熱さを忘れる」という格言があるように、口頭でも報告さえすれば「安心」してしまいがちであり、その場限りになる傾向があるからです。また、口頭で報告する際も、出来るだけ発生事象だけではなく、必ず対処素案を考えて報告するようにしましょう。

以上、各報告書を作成する際に留意して欲しい観点について紹介しましたが、共通観点として、もう一点、付け加えておきたいと思います。
それは、週報、月報上で記載した「中心に」という意味です。「中心に」とは、そのことだけを記載(報告)すればよいという意味では無く、報告する相手に対して、常に「初めて聞くことかも」といった想定で対応することが重要であるということです。
報告は、「第三者」に対して行われるものですので、第三者に自身の正確な進捗内容を知らせること、知ってもらうことが基本です。上司やリーダーは「報告の背景を分かっているハズ」という思い込みは、捨てて下さい。「自分の常識は、他人の常識ではない」ということを、常に意識して下さい。

次回は、報告書を作成、報告する際の「心掛けるべき観点」について紹介したいと思います。

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