【料理エッセイ】ぷらっと入った喫茶店でアイスコーヒーを頼んだら、ピッチャーが出てきてビックリ! その後、焼鳥屋さんで80代のマダムからステキな話を聞いたよ。
先日、祖母が入院した話について投稿した。
検査の結果、祖母が感じていた脚の痛みは腰に原因があるとわかった。ただ、それだけでは説明のつかない症状もあったらしく、さらに詳しく調べたところ、首の骨に問題があると発覚した。
主治医の先生からの説明を一緒に聞きながら、ひたすら驚きの連続だった。なんでも、首の骨の異常は先天性のものだという。これまで大丈夫だったのは偶然。老化で周囲の骨が弱ってきたことで、80代にして、とうとう障害が出てしまったという。
普通、脚が痛くて、神経を調べようとは思わない。そのため、原因不明の痛みとして我慢しちゃう人も多いみたい。病院に行っても、専門医じゃなければ見つけるのは困難だとか。
つくづく、人間の身体って複雑なんだなぁと思い知らされた。医療が発達したとは言っても、教科書に載っているような一般化された患者さんなんて、現実には一人も存在しない。みんながみんな例外なので、マジで? の連続なのだろう。
ちなみに祖母はそのまま首の緊急手術を受けた。無事、成功。いまは腰の手術も必要か様子を見ている。
そんなわけで入院生活は長引きそう。着の身着のまま、病院に入ってしまったので、自宅はけっこう放ったらかし。
で、先日、片付きに行ってきた。
冷蔵庫の中身を整理して、植物に水をやり、ゴミを出してあげた。支払わなきゃいけないものも支払って、一息つくため、近くの喫茶店にぷらっと入った。
すっかり暑くなってきたから、よく冷えたアイスコーヒーが飲みたくなった。ごく普通な感覚で注文したところ、運ばれてきたものを眺めて、目が点になってしまった。
なんとピッチャーで出てきたのだ。
いや、一人じゃ飲みきれんって!笑
後に調べたところ、ここは珈琲屋OBという埼玉を中心にしたチェーン店で飲み物のデカ盛りが有名みたい。アイスティーは金魚鉢で提供されるという。規格外にもほどがある。
おかげさまでたっぷり滞在することができて、読みかけだった文庫本の世界にじっくりと浸れた。
お腹が空いてきたので駅前へ向かった。ちなみに年始の記事でちょっと触れたのだけど、祖母の家があるのは足立区。
竹ノ塚の駅前に綺麗な焼鳥屋さんがあった。広々としたカウンター席で老若男女が独り呑みをしていた。
威勢のいい呼びかけにつかまり、中へと吸い寄せられてしまった。聞けば、数日前にオープンしたばかりの新店みたいで、いろいろ安くなっていた。
レバーとつくね、梅ささみをつまみに生ビールを飲んだ。完璧だった。冷やしトマトも美味しい。まだ5月だけどいかにも夏って感じだった。
ホッピー注文しようとしたら、隣に座っていた80代のマダムが、
「焼酎わけてあげるから、あんた、グラスと外だけ注文しなさいよ」
と、キンミヤのボトルを見せつけてきた。お言葉に甘えてお裾分けしてもらった。
自然、会話が始まった。グレイヘアーが素敵な彼女はテニスウェアを着ていた。友だちとスポーツを楽しみ、打ち上げをした後、ここで一人二次会を開催しているんだとか。
「なにはともあれ、酒が飲めるっていいことよね。こうやって知らない人とも仲良くなれるし」
まったくもって同感だった。
雑談の中で、わたしが大学時代フランス文学を専攻していたと言ったら、彼女、高校生の頃にサルトルやボーヴォワールを授業中にこっそり読んでいたと教えてくれた!
半世紀以上、歳は離れているけれど、「実存主義」や「人は女に生まれるのではない、女になるのだ」の話で盛り上がれるって、すっごくいい。
当時、フェミニズムは思想というより、めちゃくちゃ面白い娯楽だったと彼女は言っていた。
ヒーローが悪役を倒すように、ボーヴォワールが日常の不満をバッタバッタと代わりに倒してくれているように感じ、それが爽快だったんだって。
これが一般的な需要の仕方なのか、それとも例外なのかはわからないけれど、60年前、そういう女の子が確実に存在したと知って、堪らなく嬉しくなった。
結局、二人でキンミヤ1本空けてしまった。オープン記念で500円だった。「もう1本いく?」と聞かれたけれど、すでに二日酔いが始まりかけていたので、お先に失礼させてもらった。
文学の話で盛り上がっていたから忘れていたけど、この人は足立区の女なんだった。危ない、危ない笑
お互い、名前も知らないままだったけど、
「じゃ、またね!」
と、手を振り別れた。
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