マガジンのカバー画像

大アジア思想活劇ーー仏教が結んだ、もうひとつの近代史

44
教談師・野口復堂、神智学協会・オルコット大佐、スリランカ人仏教徒ダルマパーラ、そして田中智学などなど、十九世紀から二十世紀の正史、秘史を彩る人物たちがアジアを股にかけ疾駆する近代…
運営しているクリエイター

2023年4月の記事一覧

23 オルコット来日がもたらしたもの 称賛と警戒|第Ⅱ部 オルコット大菩薩の日本ツアー|大アジア思想活劇

23 オルコット来日がもたらしたもの 称賛と警戒|第Ⅱ部 オルコット大菩薩の日本ツアー|大アジア思想活劇

オルコット帰国と日本人留学僧渡印

さて、病もようやく癒えたダルマパーラは、大阪で四天王寺を拝観し数カ所で懇話会に出席して、ひと足早く五月十四日に神戸からコロンボへの帰国の途に就いた。セイロンへの仏教留学僧として徳沢智恵藏(浄土真宗西本願寺派)が同行している。「十九世紀の菩薩」オルコットはこの後さらに二週間、備前岡山・四国・九州などで大いに獅子吼し、同月二十八日に帰国した。結局、「十九世紀の菩薩」

もっとみる
24 ブッダガヤ復興運動の開始 世界仏教徒の共同事業|第Ⅱ部 オルコット大菩薩の日本ツアー|大アジア思想活劇

24 ブッダガヤ復興運動の開始 世界仏教徒の共同事業|第Ⅱ部 オルコット大菩薩の日本ツアー|大アジア思想活劇


この地に留まれ、そしてこの聖地に奉仕せよ

最初の来日から一年後の一八九〇(明治二十三)年末、二十九歳のダルマパーラは釈興然(グナラタナ)・徳沢智恵蔵の二人の日本人を伴って、南インド・アディヤールで開かれた神智学協会の年次総会に出席した。ここでの徳沢智恵蔵の演説が日本で物議を醸したのは前述したとおり。翌年一月十二日、ダルマパーラ・興然・徳沢の三人は、インド北部の仏蹟を視察する旅に赴いた。釈興然に

もっとみる