見出し画像

『プロティアン・キャリア』の時代

田中研之輔先生(法政大学キャリアデザイン学部教授)と初めてお会いしたのは、2年半ほど前の2019年3月。

『本音で語る、新時代の就活と採用 』をテーマとするパネルディスカッションの会場(GINZA SIXオフィス棟にあるコワーキングスペース「WeWork」)でした。

登壇者は、田中研之輔先生ほか、BEYOND CAFE 代表取締役社長Akinobu Carlos Ito さん、BUSINESS INSIDER 記者・副編集長 の滝川麻衣子さんのお二人。

その後、翌年開催の「日本産業カウンセリング学会」、「キャリコンフェス」(塚田亜弓代表のキャリコンサロン主催)でもお話をうかがう機会がありました。

2019年8月、田中先生が『プロティアン』を日経BP社から出版されたときには、「Amazon カスタマーレビュー」にコメントも。

なんと、2年前に書いた『プロティアン』のレビュー、今もコメント欄の一番上に掲載されていました。

『よみがえったプロティアン・キャリア論』

法政大学キャリアデザイン学部、田中研之輔先生の新刊「プロティアン」。一気に読了。

40年以上前に、ダグラス・T・ホール先生が提唱された「プロティアン・キャリア」。田中先生の感性と研究でよみがえりました。

キャリア教育やキャリア支援に携わる方は、ほぼ必ず学ぶ「プロティアン・キャリア」。

しかし、「プロティアン・キャリア:変幻自在のキャリア」って、いつでも職を変えられるフリーター的な生き方?と誤解している人もいます。

今回の田中先生の著作でとても興味深いのは、ダグラス・T・ホール先生が提唱したプロティアン・キャリアの特徴、

①組織に依存しない、②個人の心理的な成功を重視するいう観点に加え、「キャリア資本」というコンセプトを導入したこと。

キャリア資本:
◯ビジネス資本(知識・スキル)」
◯社会関係資本(人的ネットワーク、コミニュティ)」
◯経済資本(いわゆる経済力)

「ビジネス資本」と「社会関係資本」の蓄積は、結果的に「経済資本」に転換される可能性が高く、プロティアン・キャリア実践の要諦であることに踏み込んだところがすごいです。

キャリアは、ワークキャリアだけにとどまりません。

自分はどのように生きて、どのように終焉を迎えたいのか?

変化をどのように取り込むのか?

これまでを振り返り、そしてこれからの生涯キャリア(life career)を構想するにあたって、ぜひ読んでいただきたい一冊です。


すでに懐かしい、ブックレビューとなりました。

田中先生はその後、企業等での「プロティアン・キャリア研修」「プロティアン組織開発研修」などにも踏み込み、理論だけでなく、実践にも力を注がれてます。

100年近い生涯キャリアの時代を迎えるにあたって、誰にとっても『キャリア自律(Career ownership)』は喫緊の課題。

新卒や転職で企業等を選んだり、起業・独立したり、眼前の仕事をする中で、「プロティアン・キャリア」の方法論をぜひ座右に置いて欲しいと思います。


ここまでお読みいただき、ありがとうございました!!

(続く)

写真:ノルウェーの「ミュルダール駅」。オスロ〜ベルゲンを結ぶベルゲン鉄道とフロム鉄道(山岳鉄道)の接続駅。駅の標高は866m 。2014.7.15

📕 ‎『プロティアン -70歳まで第一線で
         働き続ける最強のキャリア資本術』

        田中研之輔先生
        日経BP (2019/8/8)

📚 『ダグラス・T・ホール先生の研究論文』
  Google Scalar(クリック)


この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?