① 光瀬龍の周縁性とフェミニズムSF論光瀬龍は日本SF界の巨匠であり、日本SFに詳しい読者なら知らない人はいない人気作家である。特に、1967年出版の代表作『百億の昼と千億の夜』はSFマガジン2006年オールタイムベストランキングにて国内長編部門1位、同2014年のランキングでは3位に輝いている。 しかし、残念ながら世界的な知名度を獲得しているとは言い難い。日本人作家であ
① 4種類の触覚言語ジョン・ヴァーリイ「残像」に登場するケラーと呼ばれる視聴覚障害者たちのコミューンには触覚のみを前提とした特殊な言語使用法が存在する。本作のSF的なアイデアは、4種類の触覚言語(ハンドトーク、ショートハンド、ボディトーク、タッチ)の中でも「ネイティブな」触覚言語話者しか精髄を体得できない「タッチ」により、音声言語の類型から脱却し認知システムを再構築する、と