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小学校で足が速い男子はモテるって……本当? 小学校や中学校で人気だったのは、どんな生徒? 

こんばんは!みゅーなです!
今回は小・中学校でどんな子がモテたのか、小・中学校でどんな子が人気だったのかについてお話をしていきたいと思います。

参考にするデータは、2022年にあたしが主に成人を対象として実施したアンケートと、昭和末から平成初期に小学生や中学生を対象として実施されたアンケートの二つです。*1

世間では「小学校で足の速い男子はモテる」とよく言われますが、それは本当なのでしょうか?


これまでのロリコン研究のまとめはこちら👇

ロリコンになる原因について掘り下げたのはこちら👇


2022年の調査からみてみる

まずは昨年2022年にインターネットで回答を募集したアンケートの結果を見ていきましょう。
今回の分析に用いる設問は、『Q28.あなたは小学校時代、運動はできた方でしたか?』と『Q29.あなたは小学校時代、勉強はできた方でしたか?』そして『Q30.あなたは小学校時代、女子からモテた方でしたか?』の三問です。回答は「かなりそう思う」~「かなりそう思わない」の七段階から選択してもらう形式でした。
この三問がどのように関係しているのか、まずは表1をご覧ください。

表1 小学生時代における男性の運動と勉強とモテの相関 (錐洲2022)
n=1164
「運動とモテ」と「勉強とモテ」の無相関検定はp<0.00001

運動とモテが相関係数0.4で、勉強とモテが0.2となっています。
相関係数は目安として「0.2~0.4は、やや相関関係がある」、「0.4~0.7は、かなり相関関係がある」とされています。
つまり、勉強ができるのとモテ度はやや相関関係があるかな?という感じで、運動ができるのとモテ度はかなり相関関係があると言えそうです。
一方で、運動と勉強は相関係数が0.2以下ですから、この二つには相関関係は認められませんでした。*2

ただし、この結果には一定の留意が必要です。
留意が必要な理由の一つは、アンケート回答者に小学校時代のことを聞いている設問のため、振り返った記憶を頼りにしていることです。ただ同時に、振り返った記憶を基にしたものであっても、ここまで高い相関係数が出ているのは見過ごせませんが。

もう一つは標本の偏りです。下の表2に示しましたが、今回のアンケート回答者の傾向として、勉強が得意で運動が苦手である様子が伺えます。
(どちらでもないが4なので、それ以上は得意、それ以下は苦手)

表2 男性について、小学校時代の自認(錐洲2022)
回答を1~7に数値化して置き換え。真ん中は4となる。
n=1164

この理由としては、Twitterという文字中心のサイトゆえに比較的勉強が得意な人が多いこと、もしくはアンケートの長さが勉強が苦手な人へのフィルタリングとして働いた、研究に興味を持ってくださる人に勉強が得意な傾向があった、あたりが挙げられるでしょうか。
ちなみに、ロリコンと非ロリコンに運動と勉強の得意さ、そしてモテ度に有意差はありませんでした

勉強と運動の出来は学校生活の中で相対的に把握しやすいですが、モテは完全に主観的なものなので、今回の標本がモテなかった傾向があるとは判断していません。
母集団の全員が、自分はモテなかったと思っている可能性がありますからね。なんなら、もしかしたらこの2.82……という数字も、母集団平均よりも高い可能性すらあります。

はてさて、結論から言うと記憶頼りの回答で標本の偏りがあるものの、相関係数の大きさと無相関検定のp値から、運動とモテ度はかなりの相関関係がありそうです。
つまり、運動ができるとモテるのは、本当である可能性が高いと言えるでしょう。


昭和末から平成初期の、小中学生を対象としたアンケートからみてみる。どんな子が人気だったのか

さて、先程の調査結果には記憶頼りで、標本の偏りがあるという問題がありました。
そこで、リアルタイムのデータとして、今から3,40年ほど前の小中学生を対象にしたアンケートの結果を見ていきましょう。
ただし、元データは公開されていないので、統計的検定は行えていません。


小学4~6年生を対象とした平成三年の調査

まずは東京・千葉・埼玉の小学4~6年生を調査対象としたアンケートから。調査日時は1991年の3月です。

「あなたは、どんな男の子の友だちがすきですか。」
「あなたは、どんな女の子の友だちがすきですか。」
についての回答結果を表3にまとめてみました。

表3 (深谷1991)より作成。n=1490
赤色と緑色は上位5項目に着色したもの。青色はプラスになった数字に着色。
男子から女子への回答を、男子→女子のように表記している。
「引き算」は異性に対する回答率から、同性に対する回答率を引き算した結果を表す。
回答は4段階。最上位がとても好き。二番目がわりと好き。
「とて+割と」は「とても好き」と「わりと好き」を合算したもの。

女子から男子の評価基準を見てみると、どの指標でもトップ5の中に、『スポーツが得意』が含まれています。
なかでも「とても好き」の割合では『親切』に次いで二番目となっています。
そして異性に対する回答率から、同性に対する回答率を引き算した結果を表す「引き算」を見てみると、これも上位にランクインしています。
この「引き算」という項目は、『おもしろい』や『話が合う』といった、男女問わずに評価が高い基準を排除するために用意しました。
この男子のみを評価する基準でも『スポーツが得意』は高評価であることがわかります。
結論から言うと総合的に見て、小学生女子の回答からは『スポーツが得意』な男子は人気があるということが伺えました。
一方で、『頭がいい』男子はあまり人気が高くない様子が伺えます。先程の2022年のアンケートとは相反する内容となりました。

ただし、このアンケートは「あなたは、どんな男の子の友だちがすきですか。」という友達についての評価を聞いたものであることには留意です。
しかしながら、実際的には異性の好みを聞いた要素も含んでいるとは思われます。おそらく、具体的に同じクラスや学校の子をイメージしたはずですしね。

しかし『親切』の項目において「男子→男子」「女子→男子」「女子→女子」では90%以上の回答が「とても好き+割と好き」となっていますが「男子→女子」に関してだけは、75%に留まっているのが興味深いですね。
小学生男子には、親切な女子のことが好きでない子がちょこちょこいたようです。

『背が高い』の「とても好き」において「女子→女子」に比べて「女子→男子」が25ポイントも人気というのも興味深いところです。
そして『話が合う』の「女子→女子」において「とても好き+割と好き」が99%というのもすごい!


中学1~3年生を対象にした昭和60年の調査

次に宮城・栃木・東京・神奈川・愛知の中学1~3年生を調査対象としたアンケート結果を見ていきましょう。調査日時は1985年の3月です。
表作成が煩雑なので、男子の集計は省略しました。(もし気になる方が多ければまた用意します。)

「あなたは、次にあげるような異性 (女子なら男子)の子と、親しくなりたいと思いますか。」
「それでは、次のような同性 (男子なら男子)の子と親しくなりたいと思いますか。」
の回答をまとめたものが表4です。

表4 (深谷1985)より作成。n=1071(女子のみ)
赤色と緑色は上位5項目に着色したもの。青色はプラスになった数字に着色。
女子から男子への回答を、女子→男子のように表記している。
「引き算」は異性に対する回答率から、同性に対する回答率を引き算した結果を表す。
回答は5段階。*3
最上位がとても好き。二番目がかなり好き。三番目が少し好き。
「とて+かな」は「とても好き」と「かなり好き」を合算したもの。
「少し以上」は三番目までの合算。

ここでもやはり『スポーツが得意な人』は、ほぼすべての項目で上位に位置しました
また、男女問わずに評価する基準を排除する「引き算」でプラスになっている項目が二つしかない中で、『スポーツが得意な人』はプラスとなっています。
そして、「中学ではヤンキーがモテる」と言われがちですが、ヤンキーにあたるであろう『ちょっとツッパった人』は不人気な様子が伺えます。*4
また、ここでも『成績のよい人』はあまり人気が高くないようです。
『おとなしい人』が「女子→男子」と「引き算」で伸び悩んでいるのも興味深いところです。

ただ、勉強の得意・不得意がどうみられるかは、『ハマータウンの野郎ども ─学校への反抗・労働への順応』やブルデューによって示されている通り、学校制度へのコミット度合いに左右されそうです。
もしかすると、今回の標本である回答者は学校制度へのコミット度合いが高い地域の人間が比較的多いのかもしれません。
よって勉強ができることがポジティブに評価されやすい環境ゆえに、勉強ができるとモテたという可能性はありそうです。
裏返してみると逆に学校制度へのコミットメントが低い地域では、ヤンキーがポジティブに評価されやすく、モテるという可能性もありますね。
運動の出来は環境によらず人気でモテに相関し、勉強の出来やヤンキー度合いは環境によって評価が違う、というのが一番ありそうです。
これについては、自分では手が回らないですが、誰か研究してくれると嬉しいなあ!


まとめ

これまで見てきた結果をまとめると、小学校では運動のできる男子がモテる傾向がみられました。
そして同じ研究者による2000年度の小学校における調査で、「かけっこが得意」と「運動が得意」の相関係数が0.71とかなり強い相関がみられ、また実際の50メートル走のタイムと「運動が得意」かどうかがリンクしていることから、「運動が得意な男子」イコール「足が速い男子」と言えるでしょう。

そして、小学校だけでなく中学校においても運動のできる男子がモテる傾向があるのかもしれません。

結論!
「小学校で足が速い男子はモテる!!」

今回扱ったのは過去のデータなので、今の小学校では足が速い男子はモテないという可能性もありますけどね!
現在の小学生の間だと、フォートナイトとかスプラが得意な男子がモテるのかもしれない!?

(深谷2000)より図を引用 n=1983
(深谷2000)より図を引用 n=1983


次回は同じく昭和末平成初期のアンケートから、小学生や中学生の恋愛観や、交際状況について、および小中学生は異性についてどのように思っているのか、についてまとめようかなと思っています。
もしくはロリコンの中の多様性について掘り下げる記事かな?
お楽しみに!



*1 
この昭和末から平成初期のアンケートはすごいんですよ!
教育関係の大学の先生が学校に協力のもとに実施した調査なんですが、なかなか規模が大きくて、毎回2000人くらい回答者がいるんです。しかも二十年くらい色々調査をしてくれていて、大変参考になります。
この過去のアンケートですが、内容がけっこうたっぷりあるので、まとめ記事は何回かに分けて投稿したいと思います。
クラスで交際しているカップルはどれくらいいる?とか、バレンタインでチョコを渡した?チョコを貰った?のような気になる質問が沢山あって非常に参考になる!
現在ではもうやっていないみたいですが、リアルタイムの小学生、中学生、高校生にアンケートを取って発表するということは、人間の思考や発達の理解に寄与し大変に意義があることだと思います。先達に感謝です。

しかしながら、この過去のアンケートは質問紙設計に不十分さが見受けられます。
ただこれは時代の限界によるものであり、仕方ないことです。
あたしがこれまで実施したアンケートも細心の注意を払って作成していますが、後世の人たちから「なぜこんな問いにしたのだろう」と思われることもあるでしょう。
さておき、その質問紙設計の不十分さを補うために、元データを区切りなおしたり、ちょこちょこ注釈を入れたりしています。ご了承ください。

ちなみに質問紙設計の不十分さについて具体例を挙げると、例えば「ダブルバレル設問」や「設問の選択肢が間隔尺度や順序尺度として扱いにくい形になっている」そして「聞いていることと捉えたい概念が一致していない」でしょうか。
選択肢が扱いにくい点については下記の*3で、ダブルバレル設問については*4の後半で具体的に述べています。

*2
正確には|α|<0.2ですね。絶対値記号とか久しぶりに使いました!たぶん高校以来なんじゃないかな……あたしはインターネット女子小学生です!

*3
程度用語の強さとして「かなり」は「とても」よりも一般的に上位であることが『日本語の程度用語と頻度用語の高さに関する調査』長野(2016)によって示されているが、このアンケートでは逆の順番で使われている。
また同様に長野の調査を鑑みると、程度用語の間隔的な選択が非常に不適切なため、5段階評価に混乱が見られた可能性が高い。
私見では混乱の影響が最も少なく、一番信用できる項目は「とて+かな」であろう。
この長野(2016)はアンケート調査などでの語の選択において、かなり参考になる研究となっている。
日本人の一般的な感覚を知れるという意味では、アンケート調査実施者だけでなく、文章を書く人全般におすすめである。

*4 
同じアンケートの「(女子)あなたは、どういう男の子が女子にもてると思いますか。」で『ちょっと不良っぽくツッパっている感じ。服装も髪型もツッパった感じで決めてる子』について43.6%の回答者が「まあモテる」以上の回答をしていました。
ただ、『 服装などのセンスはやぼったいが、 ずばぬけてスポーツができ、 何をやらせてもスポーツのうまい子』の方が55.3%と高かったですね。ヤンキーよりもやぼったくてもスポーツが得意な男子の方がいいという。

この「(女子)あなたは、どういう男の子が女子にもてると思いますか。」という設問項目は先述のダブルバレル設問だらけだったので、本文には採用しませんでした。
例を挙げると『とてもきれいな顔をして、背もすらっとしてかっこいい。 服装や髪形のセンスがよいが、少し冷たくて、わがままな感じもする子』です。


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