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「イチジクは秋からの贈り物」昭和の暮し

 「僕の昭和スケッチ」99枚目

99無花果
<「イチジクの収穫」画/© 2021 もりおゆう 水彩/ガッシュ>

イチジクは秋になると甘い実をつけ、戦後の貧しい暮しに一時の潤いを与える大事な果実だった。僕の実家でも裏庭にイチジクがあり、秋になると木に登って実を収穫するのが家族の楽しみだったものだ。

イチジクは熟れてくると本当に甘く、今時のスーパーで売っている固いものとは全く違う。スーパーで完熟した美味しいイチジク売られていないのは、完熟したものは余りにも実が柔らかく出荷に向かない事と、かといって完熟前に収穫したものは追熟しないためだ。

そんな訳で、秋になると僕はあのザクロの様に弾けたトロトロに熟れたイチジクが何とも懐かしい。イチジクは、まさに秋からの昭和庶民への贈り物だったのだ。


ちなみに、普段は木に登ったりすると危ないとばかりに叱られるのだったが、この収穫の季節だけは「登れ登れ」と大いに母親に囃されたものだ😋


*イチジクはクワ科の落葉広葉樹の小高木.花を咲かせずに実をつけるように見える事から無花果と表記する.この事が不妊を連想させイチジクが縁起の悪い木だと称する向きもあった、無論全くの迷信.
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