鉄くずを拾え!/昭和少年奮戦記
「僕の昭和スケッチ」60枚目
<画/もりおゆう 原画/水彩 サイズF5>
今回は、お小遣いのとても少なかった…いや、まだまだ生活の苦しい家庭も多く、そもそもお小遣いなんて貰えない子もいた昭和少年達の奮戦記です。
もちろん、実際にあったお話です。
昭和30年の初め頃の事…
或る日曜日の朝、町内の誰かが
「鉄くずを拾って小遣いにしよう!」と言い出したことがあります。
(😅💦とても信じられない話しでしょう)
「学校の廃品回収の時に知った近隣の鉄くず回収業のオッサンの所に鉄くずを集めて持っていって売る…、どうや、いい小遣い稼ぎになるぞ…!」
という浅はか窮まりない目論見なのです。何しろ、下は幼稚園、上は小二…、多分それくらいでしたから、まぁ浅知恵の極みです。こんな事を今時の子は決して思いつかないでしょう。そこが、昭和少年達のたくましいと言うか何と言うか…ある意味凄い?時代です😅💦
僕は家の引き出しにあった磁石を引っ張り出して来て、それをヒモで結んでガラガラと道を引いて歩きました。
「砂鉄がくっつくのだ、引いて歩いているだけで小遣いになるぞ」
と年上(と言っても小二)の仲間に言われて真に受けたのです。
皆で道ばたの釘を拾う、空き缶などももちろん拾う。
まぁ、一種の遊び(ゲーム)だったのかもしれません。
だが、すぐにみんな不安になりました。
「こんなもん、本当に買ってくれるんやろか…」
「こんなもん持ってってオッサンに怒られへんかな…」
と皆、口々にそんな事を言いながら…
それでも半日鉄くずを拾い歩いたものです。
その日の午後、鉄くずを少しばかり集めた私たちは、鉄くず回収業のオジさんの作業場の前にいました。
「オジさん、鉄くず買ってくれんか?」
年長の者(小二)が、おずおずとそう言った記憶があります。
案の定、出て来たオジさんは呆れて少し黙り込み…、
私たちにこう諭したのです。
「もうこんな事をしてはイカン、どこの子じゃ!」と。
それでも20円か30円を私たちに小遣いとしてくれたのを憶えています。
私たちの相手をしてくれてありがとうございました、回収業のオジさん。
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