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【取材記事】ザ・サステナブルショップ「Sustainable Think.」持続可能な未来を残したい想いからスタート。目標はSDGsを若者に広めること。

Sustainable Think.(サステナブルシンク)は、サステナブルな商品を通じて、SDGsや地球環境について考え学ぶことのできるコンセプトストアです。社会や地球環境に配慮した商品の販売のみならず、コンセプト作成や商品開発、店頭販売までを一括で行えるラボショップの機能も合わせ持ちます。新しいカタチのショップを展開するきっかけや、課題、将来への展望などを、株式会社Internsection(インターセクション)代表の高田様に伺いました。

お話を伺った方

高田寛人(たかだ ひろと)様
株式会社Intersection 代表取締役
新卒で繊維専門商社に入社し、アパレル生産を経験。幅広い業務に従事。
2016年、株式会社Intersectionを創業し、代表取締役に就任。
OEM生産だけでなく、新しい事業へのチャレンジを続けている。


18年続けたOEM事業から、新たにサスティナブルな店「Sustainable Think.」を始めた理由は「SDGs」に取り組みたかったから

mySDG編集部:今回、「Sustainable Think.」オープンのニュースを拝見しました。まずは御社のメイン事業についてお聞かせください。

高田さん:メイン事業としてアパレル製品のOEMを行なっています。具体的には、各取引先ブランド様から、指定の色・サイズ・形でブランド製品の製造受託を受け、製品を生産しています。弊社の場合、海外の工場で生産を行い、原産国は主に中国です。

mySDG編集部:高田様は、OEM事業に精通していらっしゃるようですね。今回「Sustainable Think.」を始めるきっかけについて、教えていただけますか?

高田さん:以前から、アパレル業界の環境負荷が気になっておりました。弊社は、OEMの受注・生産がメイン事業なので、依頼される生産数が多ければ収益が上がります。また、安価な製品を作れば、お客様は喜んでくださいます。我々の収益と、アパレル業界の環境負荷がリンクしている部分があり、もやもやする思いは以前からありました。
現在の持続可能な社会をつくる流れとして、今の事業とは別に、新しい事業を立ち上げる必要性を強く感じておりました。
「Sustainable Think.」は、以前から仕事でお付き合いがあった佐々木春樹さんからお声がけいただき、「サステナブル」をテーマにスタートした事業です。

mySDG編集部:「Sustainable Think.」はファッションデザイナーの佐々木春樹さんのほか、デザイン会社「ペーパーパレード」さんとも一緒に立ち上げられたとお聞きしています。

高田さん:そうですね。実は「Sustainable Think.」は、去年から今年の3月まで、有楽町マルイのポップアップショップとして、1年間営業しておりました。有楽町マルイでの出店時は、商品の仕入れには関わってなかったのですが、今回の新宿のミロード店では、私たちが商品を見つけ、仕入れと販売をしています。

商品開発から販売まで。新商品を発表できる展示会場のようなエコシステム。サステナブルな「かわいい」商品が並ぶポップアップショップ。

mySDG編集部:ラボショップの機能もあるとのことですが、どのような形で商品開発から販売までを行なっているのでしょうか?

高田さん:現在は、今ある商品を仕入れることが多いですが、ラボショップ機能としては、サステナブルな技術を持っている企業様や製品を、佐々木春樹さんがコンサルをしながら一緒に商品として作り上げていき、「Sustainable Think.」を発表の場にするという形をとっています。商品開発から販売ローンチまでのエコシステムを体現することができます。

mySDG編集部:現在お店には、どういった商品が並んでいるんですか?

プラスチックフリータンブラー

高田さん:例えば、紙と植物成分からできたプラスチックフリータンブラー「PAPLUS(パプラス)」は植物成分なのですが、耐熱素材なのです。熱いコーヒーも入れられます。今まで植物成分だと難しかった耐熱を実現した商品です。
それから、Origami Mask(折り紙マスク)。和紙で作ったマスクです。見た目も個性的で、まさに折り紙のように折ってマスクの形になっているのですよ。

「折り紙マスク」

高田さん:それと、今の売れ筋は、「すけるバック」ですね。一番の売れ筋商品です。ファブリックメーカーの「小松マテーレ」さんが出している商品で、芝生の養生シートから作られています。
サッカースタジアムなどの芝を育てるときに、シートを上からかぶせるのですが、そのシートの余りから作られているのです。
「マテモノ(mate-mono)」で検索したら出てきます。

※マテモノ:小松マテーレが展開するブランド。アップサイクル素材を使ったデザイン性の高いアイテムを展開。

すけるバッグ

mySDG編集部:興味深い商品ラインナップですね。使い心地などは、やはり実際手に取ってみないとわかりにくいかもしれませんね。「すけるバック」はどの部分が人気で、お客様の購入につながっていると思いますか?

高田さん:見た目がかわいいところですね。低価格で、買いやすい商品だと思います。
私たちの意図としては、「サステナブル」という軸で商品を販売していますが、購入されているお客様は、サステナブルの部分が購入の決め手になっているというよりは、「安くてかわいい」かつ「環境に良いならなお良い」という順番ですね。
そういったお客様でも、見た目で気に入っていただいた商品を通し、実は環境に配慮した商品であることを具体的に知る機会が増えると、いずれ判断基準の順番も変わってくるのではないかと思います。

未来を担う若者にSDGsを考えて欲しい。始めたばかりのサステナブル事業で、商品を通して、できることを模索中。

mySDG編集部:弊社もサステナブルな商品を企画・製造し、展開していますが、課題だったのは、お客様に価値をご理解いただくことでした。「Sustainable Think.」では、学ぶきっかけや、商品を通して考える機会を提供できているようですが、どのようにして実現しているのですか?

高田さん:店舗のスペースが広いこともあって、来店された方が商品をじっくり見て回れるように、一つひとつの商品に説明文をつけています。商品のSDGsポイント、サステナブルな部分の説明をしっかり書いて、商品の特徴を伝えています。また、商品知識のある販売員もおりますので、丁寧に商品説明をしています。

mySDG編集部:「新感覚のコンセプトストア」ということですが、どの部分が「新感覚」なのでしょうか?

高田さん:「Sustainable Think.」はSDGsに関して学べるという機会を、商品をきっかけに得ることができます。そのあたりが今までにはない「新感覚」なショップだと思います。
商品開発から販売ローンチまでのエコシステムがあることも新しいかと思います。「Sustainable Think.」は、全部で17文字あります。SDGsのカラーに合わせた17色を、バックなどの染色に使っています。ビジュアル的にもSDGsとからめた表現をしています。今までは環境配慮などのテーマは真面目なイメージだったと思うのですが、それをポップでかわいくすることで、明るくて、入りやすいお店になる工夫をしています。

SDGs「17の目標」の色に染めたペーパーバッグのディスプレイ

mySDG編集部:お客様の方からサステナブルな商品を求めるというのは全体的にはまだまだ少ない現状もあるので、真正面からサステナブルな商品に特化したお店を経営するには、勇気がいりますね。

高田さん:そうですね、本当にその通りです。しかし、これからも力を入れていくべき事業の1つだと考えています。

mySDG編集部:お客様に選んでいただくために、課題だと思っていらっしゃる部分などはありますか?

高田さん:若い世代の買い物の基準の中に、サステナブルな意識を取り入れて欲しいと思っています。今回SDGsを伝える場として、若者のお客様が多い新宿ミロードさんに出店したのですが、実際に購入されるお客様はもう少し年齢層が高く、経済的に余裕のあるお客様でした。若い層に届けるためにはどうしたらいいのかが、今の課題です。

mySDG編集部:「Sustainable Think.」では、価格帯が豊富で商品ラインナップが多くあるので、「かわいい・買いやすい」という部分はクリアしていると思います。とはいえ、若い層のアプローチへの課題があるのですね。

高田さん:価格帯でいうと、一般商品では安価で買えるものが、高額になるものがあります。一見、驚くと思うのですが、価格の理由を説明すると納得をしていただけます。しかし簡単に購入までは至りません。その部分が難しい課題ですね。

mySDG編集部:なるほど。「Sustainable Think.」という名前の通り、サステナブルな理由を考えるお店ですから、商品の価格の理由や生産過程、環境に優しい部分などは知ることができますよね。

高田さん:そうですね。知って学べるショップですね。

mySDG編集部:実店舗であることでのメリットや、意義などありますか? また、お客様からはどんなお声などいただくことがありますか?

高田さん:ネットで物が買える時代だからこそ、あえてお店があることにも価値があると私は考えています。サステナブルな商品を実際に手に取って見ることができ、その製品の作りの良さや質感、色や雰囲気、匂いなども実際に感じることができます。さらに環境に配慮した製造工程も同時に理解できるのも大きなメリットです。訪れるたび、驚きや発見があるので、実店舗であることの意義はあると思います。お客様からも共感を得られることは多くありますよ。

mySDG編集部:ますポップアップショップとしてスタートされたのでしょうか? それともオンラインショップが先ですか?

高田さん:ポップアップが先ですね。

mySDG編集部:今後は、ポップアップショップという形で展開されるご予定ですか? それとも常設店舗を持たれるのですか?

高田さん:ポップアップショップを中心に展開していきたいです。始めたばかりの事業ですので、さまざまな場所でポップアップを展開して、客層や出店場所などを学んでいきたいですね。

mySDG編集部:なるほど。顧客層と出店場所の研究は必要ですね。

子供たちの見学でやりがいを実感。今後の目標はサステイナブルなBtoBビジネス。

「Sustainable Think.」ロゴ

mySDG編集部:「Sustainable Think.」という店舗の運営によって、SDGsの観点で成果や影響などありましたか?

高田さん:先週、川崎市のある中学校が、課外学習の一環としてお店に来てくれました。担当の先生から問い合わせをいただき、中学生がサステナブルを勉強するために、店舗に見学に来てくれたのです。その時子どもたちには、最新の技術を使い、環境に配慮した製品をメーカーさんが作っていることをお伝えしました。
中学生の子どもたちが、学びに来てくれたことがとてもうれしく、「Sustainable Think.」をやって良かったことのひとつです。

mySDG編集部:それは素晴らしいですね。「Sustainable Think.」のコンセプトが、そのまま実現したということですね!

高田さん:そうですね。将来の日本を担う子供たちが、少しでもSDGsについて勉強してくれたらうれしいですね。

mySDG編集部:「Sustainable Think.」が全国で展開すれば、その土地、その場所で、学びの機会が得られます。是非多くの方に来店して、商品を手に取って学んでいただきたいですね。最後に、御社の今後の展望や目標を教えてください。

高田さん:私には子どもがいるのですが、自分の子ども達が大きくなった時、どんな世界があるのかと考えると、アパレル業界だけではなく、さまざまな社会問題があると想像しています。
会社として、将来懸念される課題に、少しずつでも取り組んでいくことが大切だと考えています。それを継続できるビジネスにすることが課題ではありますが、実現させたいです。
御社もSDGsに取り組まれているので実感されている部分がありますよね。

mySDG編集部:そうですね。お客様に理解をいただく部分で、難しさを感じることはあります。御社は、SDGs事業の継続に対してお考えなどありますか?

高田さん:目指すところでいえば、例えば「Sustainable Think.」がプロデュースをして、技術を持っているメーカー様と、サステナブルなノベルティや商品が欲しい企業様を繋げ、ユニフォームやバッグ・雑貨などを提供するという、BtoBでの新しい試みができたらと考えています。
環境に配慮した商材を作りたいという方がいらしたら是非ご連絡いただけるとうれしいです。

mySDG編集部:確かにSDGsに関する取材をしていますと、企業様同士でパートナーを組んで、事業を進めているケースも多く見受けられますね。「Sustainable Think.」でも、近い将来、コラボ製品が実現しそうですね。
本日は貴重なお話をありがとうございました。


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