【取材記事】CO2排出量を「オンラインで見える化」する仕組みを開発。まずは出張予約でカーボンオフセットを実現。環境に配慮した「商品・サービス選び」ができる社会を目指す。
お話を伺った方
インタビュアー
■企業向け環境対策のコンサルティングファームを退職し、課題解決のために起業。カーボンオフセットに取り組む。
小林:サービス・創業経緯からまずお伺いさせてください。
針生さん:会社を立ち上げたのは、ちょうど1年前になります。それ以前は15年ほど、企業に対して気候変動対策・温室効果ガスの算定のご支援、サステナビリティに関する情報開示支援、ESG投資対策支援などのコンサルティングの仕事をしておりました。
その中で気候変動に関しては、世の中の関心も高まってきていたのですが、効率的ではないと感じていました。
海外では2〜3年ほど前から、テクノロジーを使って気候変動を効率的に解決していこうというサービスが出てきていたのですが、当時の日本にはありませんでした。これから気候変動対策に本格的に取り組んでいく際には、テクノロジーを活用していくことが重要だと感じ、このサービスを立ち上げました。
小林:15年やってきた仕事を辞めて、起業したことは勇気が必要だったのではないですか?
針生さん:そこはすごく思い切ってというよりは、自然な流れでしたね。
起業をしたいと思い始めてから、行動に移すまでは3〜4年ありました。元々監査法人のサステナビリティ部門に在籍していたのですが、監査法人内でIPO支援をしている部がありました。その部が主催するスタートアップ関連のイベントで、スタートアップの創業者のお話を伺う機会もあり、スタートアップに対して抵抗がそれほどありませんでした。
小林:専門性を活かしながら、自ら課題だと感じていたことをサービスにして、起業したということなんですね。今回の業務提携により出張する方をターゲットに、温室効果ガス排出量を自動計算したり、カーボンオフセットをすることができるようになるんですね。
私もマイルが貯まっているので、そのマイル分のCO2を排出したんだと思うと計算したくなくなりますね。
なぜ、この移動によるカーボンオフセットで、飛行機に着目したのですか?
針生さん:まず「CO2排出の多い分野」は何かと考えますと、移動分野の「飛行機」がCO2排出量が多かったんです。飛行機のCO2排出量をまずは「見える化」して、削減していくサービスがいいと思いました。
私も旅行によく行きましたので、飛行機に乗ると罪悪感がありました。CO2排出量を見える化して手軽にカーボンオフセットができたらいいのにと感じていたことから、今回、事業として取り組んだ経緯があります。
企業は今、出張で排出するCO2を削減しようという動きがありますので、そこを狙ったサービス連携になっています。今回業務提携をした「AI Travel」さんは、弊社と同じく、スタートアップ企業になります。
小林:出張に行く際に、どのような流れでカーボンオフセットまでたどり着くサービスなのですか?
針生さん:予約する際に、出張効率化クラウド「AI Travel」で行先を入力すると、飛行機の移動の距離がわかり、CO2排出量も見える化されます。その場でカーボンオフセットもできるようになります。
さらに「AI Travel」では、飛行機、新幹線、ホテル、レンタカーの予約ができます。
小林:東京から福岡まで飛行機で出張するとどれくらいのCO2排出量なのですか?
針生さん:およそ110キロくらいです。オフセットする費用は森林で吸収する場合、1,000円弱くらいですね。
小林:では、15,000円の飛行機代に1,000円プラスするくらいで良いんですね。
針生さん:そうですね。そのくらいでカーボンフリーなフライトができます。
小林:飛行機や新幹線はCO2排出量の計算しやすいですね。どの会社の飛行機に乗っても排出量は同じなのですか?
針生さん:今は計算式が同じになっているので一緒なのですが、将来的には航空会社ごとや、ルート別に算出をしていこうと考えています。
小林:「AI Travel」で、トータルのオフセット量を見ることはできるのですか? また、オフセットはどこから購入するのでしょうか。
針生さん:利用していただいた企業様はオフセット量を見ることができます。オフセットは弊社が代行しています。
小林:サービス全体でのオフセット量の開示はできるのですか?
針生さん:それはこれからの課題ですね。いずれできるようにしたいと思っています。
■ターゲットを「出張」から「あらゆる購買行動」へ。一般消費者への認知を目指す。
小林:今のサービスを進めていく中での一番の課題は何ですか?
針生さん:現在、eコマースに導入を進めていこうと思っています。企業側の関心は強い分野なのですが、一般消費者の関心があまり高まっていないのが現状です。カーボンオフセットの仕組みも日本にはほとんどないので、環境を良くしていくには消費者に対して、環境配慮や還元の認知度を上げ、意識を高めていくというのが必要であり、課題だと思っています。
小林:企業であれば出張の際に、会社がカーボンオフセットしても良いと言えばやるのですが、個人の旅行でもカーボンオフセットをしてくれたらというのが願いですね。
針生さん:そうですね。海外ですと、飛行機移動でのカーボンオフセットの認知度は高くなっていますが、日本はこれからという印象です。
小林:今後の展望をお聞かせください。
針生さん:なかなか、日常生活でCO2排出を意識する機会はないと思うのですが、あらゆるサービスでCO2排出を意識できる仕組みができて、一般消費者の意識が高まるような社会にしていきたいと思います。
商品選択やサービス選択をする際に、より環境負荷が低いものを選ぶことができる世の中になればいいなと思っています。
小林:本当にそうですね。本日は貴重なお話ありがとうございました。
■サービス紹介動画
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