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【取材記事】地方創生で日本経済の活性化を試みる。「中小企業」と「挑戦したい人」をマッチングし、新規事業を立ち上げるコミュニティサービスを創出。

GrowHack株式会社は企画、システム開発、広告、教育といった一貫した事業実行力を持ち、自社内だけでなく他社への新規事業の伴走支援が可能な会社です。昨年会社設立前に実証実験として設立した会社は現在、自治体・民間幅広く2,000社を超える取引先に導入され、2億円を超える金額の資金調達に成功。現在、若手経営者・起業家育成コミュニティ「ウケツグネットワーク」の運営、新規事業立案・経営コンサルティングサービスを行っています。今回は、コミュニティ会員1万人を突破した「ウケツグネットワーク」について、サービスを始めるきっかけや課題、今後の展望について代表の原様に伺いました。

【お話を伺った方】

原 和義(はら かずよし)様
GrowHack株式会社  代表取締役社長
大学在学中からWEBサービスを提供する会社の起業をする。その後大手企業・スタートアップ企業で経営企画を経験。また経営コンサルティング企業にて地方の中小企業の新規事業企画・運用を実施。2022年、GrowHack株式会社を設立。より多くの新規事業を作り出すために教育・コンサルティング事業を提供する。自社サービス「GrowHackSchool」の講師も担う。
自己紹介note


創業の経緯は地方中小企業の課題解決をしたいとの想いから。

mySDG編集部:創業経緯からお伺いしてもよろしいでしょうか。

原さん:創業のきっかけは、僕が前職で地方の企業様に”新規事業づくり”をご支援していた頃からの話になります。ご支援していた地方企業に対して、感じていたビジネス上の課題がありました。それは「新規事業を作ること」と「IT化を推進する」ということです。

なぜ、そう感じたかというと、東京の企業はIT化が進んだ上で、収益を上げていますが、地方の企業はIT化が遅れているのにも関わらず、売上が立っています。その上で、IT化を進め、新規事業を作れば、さらに売上が伸びるのではないかと感じ、”システムづくり”や”広告”のご提案をすることが多かったんです。
しかし、話を伺っていくなかで、徐々に本質の課題が見えてきました。それは、社内に「新規事業」などの挑戦的なことを任せられる人材がいないことです。各部署の現場の方々にも、役員の方にも、新規事業の仕事を任せることが難しい現状でした。

mySDG編集部:なぜ新規事業を任せることが難しかったのでしょうか。

原さん:採用の方法に問題があるのではないかと考えました。当時行っていた採用方法は大きく2種類あり、ひとつは、周辺地域の住人や、Uターンで地元に戻ってきた人など、企業が所在する地域に関わりが深い人を採用するパターン。もうひとつは社長さん同士のつながりでする”リファラル採用”(社員紹介採用)です。この2パターンが採用方法のほとんどを占めていました。この採用方法では、”挑戦的な意識のある人材”が採用できる可能性が低いのではないかと感じました。

現在、日本の経済は中小企業が支えていて、その多くが地方に存在しています。雇用面で見ても、6〜7割は中小企業への就職ですので、中小企業が元気になると、日本全体が元気になると考えました。

「採用方法」の部分をより良い方向へ変えることができれば、中小企業が地方から元気になり、そこから波及して日本全体が元気になると思いました。その採用事業をするために、Grow Hackを設立し、現在の「ウケツグネットワーク」を立ち上げることにしました。

ウケツグネットワークは「目的を達成するためにあるプラットフォーム」。良いマッチングが本質の価値。


mySDG編集部:Grow Hackが運営する「ウケツグネットワーク」はどういったサービスなのですか?

原さん:「地方の中小企業」と「挑戦したい求職者」をマッチングするプラットフォームです。採用マッチングができた時に料金が発生する完全成果報酬型で、「マッチング」「求職者登録条件が意欲的」「マッチング後のサポートがある」という3点が大きな特徴ですね。

求人を掲載する中小企業は「これから挑戦できる要素」があることが必須条件になります。挑戦要素には3パターンありまして「未経験歓迎」「新規事業立ち上げのマネージャー同等ポジション」「将来の社長と見据えた年計画での採用」です。

登録する求職者は「挑戦したい気持ちを持っている」ことが必須条件です。
収入面を考えると都心への就職を希望する求職者もいます。しかし、目の前の高収入よりも、長期的に実績や実力を付けたいと思っている人は、挑戦できる求人の情報収集ができます。「ウケツグネットワーク」は、参加する人の属性を絞っているんです。

さらに、企業と求職者のマッチング後には、特徴的なサービスがあり、マッチング後、我々がサポートをさせていただいています。
例としては、システム作りの初期段階の構築や、マーケティング戦略を確立し、実践するなどをします。その後、自社にて自走できる方向に修正し、企業と求職者でさらに調整を加えながら、新しい軸の事業で売上を立て、拡大していくという流れです。

mySDG編集部:サポート内容を詳しく教えてください。

原さん:我々の新規事業サポートは、いわゆる「PDCA(Plan/計画・ Do/実行・ Check/評価・ Action/改善)」の評価と改善に力を入れています。
計画、実行まではどの企業も力を入れます。しかし、新規事業は弊害なく成功することはまずありません。失敗をしたときに、我々のサポートでどのように施策を取り直すかが腕の見せ所になります。スタートした事業を軌道に乗せることが、我々の一番のバリュー(価値)です。
直近では、置き薬や和菓子屋さん、お花屋さん、鉄道会社さんなどの新規事業サポートに入りました。業種の知見ではなく「事業の形作り」をサポートしますので、多くの業種への対応が可能になります。

mySDG編集部:「ウケツグネットワーク」のコンセプトは何を掲げられていますか?

原さん:「目的を達成するためにあるプラットフォーム」です。
そのために重要なのは企業側のアプローチです。求人を出す地方企業がどうすれば「魅力的に見える」のか、学生さんや求職者がどうすれば「地方の企業に行きたくなる」のか。両者の目的のためにどうすれば「良いマッチング」になるのか。
良いマッチングができることが「ウケツグネットワーク」の「本質の価値」だと思います。

良いマッチングを目指すためには、求職者と企業の双方がやるべきことがあると感じているので、求職者側にはスクールを用意し、事業をする時の心構えなどの知っておくべきことを学んでいただいています。企業側には「大学生から見る魅力的な企業」の研究を大学と連携して行い、データに基づく”企業が魅力的になる採用ブランディング”をさせていただいています。

mySDG編集部:良いマッチングのために多くの試みをしているのですね。それは一般の求人情報にはない部分ですね。地方には伝統的な技術職やその土地に根ざした職種などもあるので、「目的」があることもわかりやすくていいですね。

原さん:近年、事業承継問題も持ち上がっているので、タイミング的にもちょうどいいと感じています。40代くらいの社長は体力面などで、ふと不安がよぎるときなどがあっても、まだ現実的には事業承継を考えないと思います。しかし、少し長い目で考えていただくには「ウケツグネットワーク」にいる意欲的な求職者を見ていただければ、後継者として興味を持っていただけると思っています。

「GrowHackSchool」で学ぶ現実的な実務手順が、起業第一歩の後押しになる。

mySDG編集部:先ほども少しお話に出た「ウケツグネットワーク」のスクール、GrowHackSchoolなのですが、具体的にはどういったことを教えているのですか?

原さん:自分が起業したいと考えた時に、「起業するプロセスはそんなに大変ではない」ということから学べます。「起業」は、”会社を作る手続きをする”ということで、大変なのは開業後。まずはここを理解してもらいたい。学生さんなどに多いのですが「3年後に起業します」と。それだと3年後から大変になるということなんです。
3年間待つ必要はありません。会社設立には所定の書類が必要ですが、その書類もWebからクリックひとつで手に入ります。
それから、やりたい事業のバックキャスティングや資金調達方法の考え方など、会社設立に関して現実的な手順をレクチャーすると、今までの思い込みが取り払われ、起業へのハードルが低くなり、早く第一歩が踏み出せる人が増えます。

ビジネスが続けられるかどうかは「売上が立つかどうか」と同じ意味だと考えますので、営業経験者を講師に迎えた営業スクールもあり、営業も学べます。

mySDG編集部:より実践的な部分を学べるスクールですね。起業を考えている人には是非授業を受けてほしいですね。

2ヶ月で登録者数1万人を超えた。驚きのスピードを実現。


mySDG編集部:登録者数が1万人を超えたというプレスリリースを拝見したのですが、どれくらいの期間で1万人達成されたのですか?

原さん:GrowHackの創立が今年(2022年)の5月なので、7月に「ウケツグネットワーク」のサイトをつくり、人材の部分は学生団体さんにご協力頂いて、人が集まってきました。その上で自治体さん、企業さんなどと掲載のお話を進めています。さらに大学と連携して引き続き人材と掲載企業さんを集めています。

mySDG編集部:そうしますと、ご協力いただきながら、ほぼ2ヶ月で1万人の登録を実現したんですね。

原さん:そうですね。

mySDG編集部:さらに、TeenWorker(合同会社Self every)と業務提携をしたということで、高校生のコミュニティとの連携もしたのですね。

原さん:TeenWorkerは中高生のハローワークと掲げていて、柔軟な方針に関心がありました。企業側はZ世代など若い世代に商品を売りたいという希望がありながら、企業内の若い世代に元気がないことが気になっていました。中高生と「ウケツグネットワーク」の主な登録者の大学生と、実際できる実務内容を上手く住み分けをしてマッチングを図れば、お互いに相乗効果があり、元気な若者の雇用が実現して、企業も元気になるのではないかと思いました。


代表のロジックが地方創生に貢献。さらに持続可能なプラットフォームになるための新しい試みに挑む。


ウケツグネットワークを活用した地方活性化の仕組み

mySDG編集部:地方の中小企業にフォーカスしたのは、SDGsに取り組む意図もあったのでしょうか。

原さん:心情的な話をすると、高校の時にビジネスコンテストに出たことがありまして、当時「住んでいた地域の商店街を活性化する事業」をテーマにしたんです。そういったノスタルジーな印象の場所が好きなのかもしれません。僕はそうした場所が元気になったら嬉しいと思っているんです。

それから、僕の行動原理として「知的好奇心」があります。日本を元気にするロジックを考えつき、それを実行してみたい。
「地方企業が元気になれば、雇用が生まれ、お給料が配られ、税収が増え、住む人が増え、税収増で福祉サービスが良くなり、さらにその地域に住む人が増える」というループが日本中に起こると日本中が元気になるのではないかという僕なりのロジックが正しいのかどうか、実験してみたいんですね。

mySDG編集部:原さんのロジックと「知的好奇心」が、結果的に地方創生につながっているんですね。事業を続ける上で困難なことなどはあるんでしょうか?

原さん:人材マッチングの事業は、広告費との戦いでもあるんですね。マッチングするために”人材”と”企業”を集め続けないといけないんです。現状ですとWeb上で広告競争が激しい。そこは避けたいところなので、戦略として大学などと連携しています。学生の将来を考えたよいマッチングを提案すると、大学側から人材を供給していただける。

大学と連携するのは一筋縄ではいきませんが、学生さん個人の趣味思考を考慮した上で、個人にとって魅力のある企業とマッチングさせたい旨を伝えます。それが都心ではなく、地方企業であっても知ることができれば、選択肢の中に入ります。そうすると地方創生にもなり、学生さんにとっても満足度の高いライフスタイルとなる。

企業側としては、自治体さんと連携して、その地域にある企業様を一気に紹介していただくことをしようとしています。
これができると、永遠に広告費をかける必要がなくなります。大学と地域が持っているものをつなぐ持続可能なプラットフォームになれます。

mySDG編集部:自治体と企業の連携で新しい「マッチング」を生み出すんですね。

原さん:今のところ、新しい試みですね。

将来の展望は「DAO型コミュニティサービス」目標は「日本経済の活性化」

mySDG編集部:プレスリリースには、「ウケツグネットワーク」は、DAO型コミュニティサービスと記載があったのですが、こちらに関してご解説いただいてもよろしいですか?

原さん:既存の形である「コミュニケーター」を毎回介する状態ですと、成長スピードが遅いと感じているんです。現状はまだできていないのですが、今後は独立自走して大きくなっていくことを一番目指したいところなんです。究極的には、僕らが全く関わらなくても、新規事業を作りたい人がいたら「ウケツグネットワーク」のコミュニティに人材、新規事業のためのサービスも揃っていて、アイディアもポストされる仕組みもあり、コミュニティの中で新規事業立ち上げの仕組みが全て完結することを目標にしているんです。そうした意味で「DAO型コミュニティサービス」と記載しました。

mySDG編集部:NFTも作るんですか?

原さん:それも考えの中に入れています。現状、事業の中の仕事は、誰が何をしたかが不明瞭で還元につながりにくい。それに対してNFTでしたら、事業発想者やデザインなど、参加している人が作ったものがトラッキングできて、最終的に企業で使われた場合などに、発想者やデザインを誰がしたのかがわかるのでNFTで還元されます。長期的に考えるとこうした構想も面白いと思っています。

mySDG編集部:長期的には、DAOになることと伺いましたが、直近での目標はございますか?

原さん:直近の目標は事例を作っていくことですね。事例をもとに日本中の自治体さんに波及していくといいと思っています。最終的に僕のやりたいことは日本経済の活性化なので、「ウケツグネットワーク」はそのための手段だと思っています。

mySDG編集部:求職者の方にメッセージをお願いします。

原さん:今、働き方が見直されてきている時代ですよね。ウェルビーイングという言葉があるとおり、トータルで人生を楽しくするための一手段が仕事となっていると思います。
今の就職市場を見たときに、エコシステムとして東京一極集中になってしまっている。僕は別の選択肢や視野があってもいいのかなと思っています。学生さんや求職者の方が、少しでも、今のエコシステムに疑問を抱いたり、もっと違う視野がないのかと思った時に、「ウケツグネットワーク」を活用してください。

将来不安だと皆さんおっしゃることもありますが、一番の安定は、大企業に入るよりも、自分のやりたいことで自分に力をつけることが大事だと思います。本当の意味での安心感を持つこととは、どこへ行っても自分にはできることがあるという自信を持つことではないかと思います。

ウェルビーイングを実現する方法として、今一番適しているサービスが「ウケツグネットワーク」なのではないかなと思いますので、挑戦したい時には「ウケツグネットワーク」を思い出してください。

mySDG編集部:挑戦したい人の背中を押す、とても力になるメッセージですね。本日は貴重なお話をいただきありがとうございました。


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