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【取材記事】年間2700億円存在する商品ロスを減らすためのサステナブルサービスを実現!〜商品開発・買い物体験をアップデートする〜


株式会社リアコネは、商品の廃棄を無くしつつ売上を創る仕組みを推進するため、2つのサービスを展開しています。
ドラックストアなど小売店に出荷後、売れずに返品されてしまいそうな商品の購買を一般消費者に促す「リアコネ」と、メーカー倉庫に眠っている未出荷の商品を需要のある事業者へ配送する「リアコネBOX」。

代表の服部さんに、事業の沿革や展望についてインタビューしました。

お話を伺った方

株式会社リアコネ 代表取締役:服部昂(はっとりたかし)様
・2012年千葉大学大学院工学研究科修了、
2021年慶應義塾大学大学院システムデザイン・マネジメント研究科修了 
・2012年日用品大手メーカーに入社。
R&Dにて浴室用洗剤、食器用洗剤等の製品開発・研究に従事。 
その後製品開発に従事する際に「商品ロス」に問題意識を持ち、商品ロスを発生させないサプライチェーン構築を目指し 2021年に株式会社リアコネを創業。 
・経産省主催イノベーター育成プログラム「始動Next Innovator」6期生 / 中小企業診断士 


■大手消費財メーカーで目の当たりにした「商品ロス」問題

株式会社bajji代表・小林(以下小林):創業経緯、サービス開始の経緯について教えて下さい。

服部さん:私は新卒で日用品大手メーカー研究開発職として就職し、台所洗剤やお風呂の洗剤など日用消費財の開発をしていました。
作った商品が売り切れず廃棄されていく現実を目の当たりにし、その課題をなんとかしたいと感じ新規事業部に移りました。
その後、出向起業という形でリアコネ社を立ち上げました。
メーカー業界が抱える日用品廃棄問題を何とかしようと考えております。

小林:出向起業というのはどういうものなんでしょうか?

服部さん:大手企業の社員が外部で事業開発経験を積む取り組みです。経産省も補助金等を出してサポートしています。
出向元の企業とリアコネ社の資本関係はなく、経営は経産省の補助金やVCの出資で賄っており、ほとんど一般的なベンチャー起業と変わらないです。

小林:昔から、何かしらの形で起業したいと思っていたのですか?

服部さん:ライオンに9年ほど在籍し、研究開発で商品ロスに課題を感じ、新規事業部で社外の方とのやり取りなどしていくうちに社外からのアプローチに可能性も視野に入ってきました。起業してから、世の中のベンチャー本当にすごいな・・・と身をもって感じています笑

小林:そうなんですね。現在社内の体制はどのような状況ですか?

服部さん:VCからの社外取締役、業務委託10数名で運営しております。
複数ののメーカー出身者も副業として参加してもらっており、うまく業界を巻き込んでいけたらなと思っています。


■年間2700億円以上規模の製品が廃棄されている現状

小林:商品ロスについて、カテゴリーによって特徴があるのでしょうか?

服部さん:洗剤やはみがきなどのトイレタリーやペット用品、加工食品、化粧品などドラッグストアさんに置かれてる商品の多くは大体同じ状況です。これらは共通して、「たくさん作って一個あたりのコストを下げ、多くの人に買ってもらう」というビジネスモデルですね。売れ残った商品は、社内販売等メーカー様も尽力されていますが、どうしようもなくなってしまったものは燃やされてしまいます。

小林:なるほど。歯ブラシやシャンプーなどの商品は、食品と違って長く使えそうと感じたのですがこちらも廃棄があるんですか?

服部さん:歯ブラシなども、品質保証期限が設けられており期限が過ぎたものは販売しないと定められているんです。食品とは違って期限は長いのですが、競合が多い業界なので商品を盛んにリニューアルしてフレッシュな状態に保つ必要があるのでどうしてもこのような状況になります。

小林:そうなると、品質保証期限を待たずして廃棄されてしまうこともあるのですか?

服部さん:ありえます。メーカー倉庫のスペースや、小売店の販売スペースも限りがあるので、販売が見込めない場合、廃棄という選択がでてきます。

小林さん:そうなんですね。フードロスなど残飯問題は身近で気になっていましたが、商品ロスについてこのような現状ということは知らなかったです。ちなみに、2700億円規模が商品ロスとなっているとのことですが、市場全体、つまり日用品、トイレタリーなどこのカテゴリーでの全体の市場規模はどのくらいなのでしょうか?

服部さん:築地業界全体では、約3兆円規模だと考えた場合、業界・アイテムにより差は当然ありますが数%が、商品ロスとして廃棄されるイメージです。

小林さん:全体からすると数%。とはいえ、2700億円規模はとても大きいですね。ターゲットとして、非常に意義深いものだと思います。

■toBとtoCの双方で「商品ロス」 問題解決へアプローチ

小林さん:続いて、サービスについて聞かせてください。

服部さん:はい。未使用製品には、物流倉庫から出荷されていない未出荷品、小売店に出荷された後に返品された商品の2種類があります。当社はそれぞれに対してソリューションを提供しています。
未出荷品については、商品を買取して別のマーケットへ販売する「リアコネBOX」を先月ローンチしました。
後者については小売店の在庫商品の購買をLINEを利用して一般消費者に促し、該当商品を購入いただいたらポイントを付与する「リアコネ」を提供しています。
toB、toCそれぞれサービスの拡大を目指しています。

小林:「リアコネ」のLINEのサービス、早速登録しました。こちらは対象商品が決まってるんですよね。どのような基準で商品が掲載されてるんでしょうか?

服部さん:ありがとうございます。契約しているメーカーの商品で、リニューアル商品が出る前の、既存の商品を売り切りたいタイミングで該当商品を掲載しています。

小林:在庫一斉処分みたいなイメージですね。

服部さん:そうです。ワゴンセールと似ています。その動きをワゴンセールのように安売り感を全面に出さずブランド棄損を抑え、デジタル化しているイメージです。

小林:toBの「リアコネBOX」についてはどのように運営されているんですか?

服部さん:こちらはメーカーから在庫を買い取り、一旦リアコネの倉庫に納品いただき、ユーザー登録を頂いた各事業者様に販売しています。まだ販売ルートは開拓段階ですが、例えば洗濯洗剤をスポーツチームやガソリンスタンドなど需要の高い業界で利用いただくことが多いです。ハンドソープやアルコール消毒など幅広い需要がある商品についても、小規模事業者様から中規模事業者様まで幅広く購入していただいています。夏限定の香りなど期間が限られているものや変わった商品は売り切ることが難しいのですが、このルートだと購入いただくことが出来ます。
メーカー様視点でも、ユーザー登録をしている事業社様のみに販売するクローズドな環境であることから、一般の生活者に価格が広く知れわたってしまうリスクが少なく、ブランド棄損を抑えられる点に魅力を感じて頂いています。

小林:アウトレットや業務用スーパーとイメージが近いですね。

服部さん:おっしゃるとおりです。メーカーやブランドにこだわりもなく、旧パッケージでも問題ないというお客様が中心です。値段も通常商品より安価で、まとめて購入ができるため発注業務の負担軽減もできるということで利用いただけているのかなと思います。

小林:そうなんですね。創業から1年ほど経ってサービスへの反応はいかがですか?

服部さん:「リアコネBOX」については始めたばかりなのでまだこれからです。「リアコネ」については、まだまだ認知度が足りないなと感じています。皆さんにとって身近なLINEを使ったサービスなので、知っていただければ気軽に利用していただきやすいのかなと考えています。

小林:「リアコネBOX」の送り先は海外も可能なんですか?

服部さん:現状は国内に限っていますが、今後は可能性があると思います。日本製の良さを広めるためにも、メーカーさんが直接展開していない国へのルートも検討しています。実際に中国の商社の方から日本製品を輸入したいという話も上がっています。

小林:素敵なサービスですね。これからが楽しみです。本日はありがとうございました。

〈mySDG記事〉
https://www.mysdg.info/top/179


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