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「新米ライターにオススメしたい本」Vol.1 ──文書読本として異例のロングセラー

こんにちは、myProductライターの河合です。

これまで新米ライター・原より、“新米ライターが選ぶ「読んでよかった本」”をnoteにて掲載(Part1 / Part2)してきました。

そこで今回は趣を変えて、中堅ライター・河合が「新米ライターにオススメしたい本」を紹介してみたいと思います!

初回は、文章読本として異例のロングセラーとなっている、知る人ぞ知る名著です。


『悪文 伝わる文章の作法』(角川ソフィア文庫) 岩淵悦太郎 編著

「正しい文章って何だろう?」
「読みやすい日本語って、どうやって書けばいい?」
本書はそんな悩みを抱える新米ライターにとっては打って付けの1冊です。

かくいう私も、30代に入ってから未経験で雑誌編集者を始めたころ、「いいから黙って読め!」と先輩に薦められたことが、本書との出会いでした。

内容に関しては極めてシンプル。“悪文”の具体例を紹介しながら、それらがなぜ“悪文”なのかということを、ひたすら丁寧に解説しています。そのため、しっかりと理屈を理解した上で、正しい文章とは何なのかを学ぶことができるんです。

仕事柄、私は文章を読むことが日常の一部に。すると、何気なく読んでいる文章に違和感を覚えることは珍しくありません。そんなときに本書で書かれていることを思い出すことで、なぜ違和感があるのかを理解する手助けをしてくれます。

紹介される具体例の数々が、世に出た文章を引用して取り上げられているのも面白いところ。書くことを生業とした方々が記した文章を“悪文”の例として紹介するという、いろいろなところに配慮が求められる現代においては、挑戦的な内容と言えるかも。

『悪文』の初版(日本評論社発行)はなんと1960年! まさに、半世紀以上にわたって読み継がれている、ライター / 編集者にとってのバイブル。 2016年には念願の文庫化が果たされ、今なお注目度が高いことをうかがい知ることができます。

例で挙げられている“悪文”たちは時代を感じさせますし、今では使われないような言葉や表現が時折登場し、最初は違和感を覚えることも。ただ、本書をしっかりと読みこむと、それは些細なことだと痛感しました。読みやすい、美しい日本語の根幹は時代が移り変わっても不変なのだと、教えられたような気がします。

「古い本だから」と敬遠せず、言葉に関わる仕事をしている人には手に取ってもらいたい。そう心から思える名著だと、私は思っています。

もし、このnoteをきっかけに『悪文』をお読みいただいた結果、ここで書かれている文章の“悪文”が浮き彫りになったとしても、それはお許しいただければと思います(涙)。

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