モロッコ旅④フェズ:方向音痴撃沈…リアル迷路の古都はガイドと共に
2024年2月15~24日のモロッコ一人旅の記録です。マラケシュから2泊3日のサハラ砂漠ツアーを終え、到着したのは白い古都フェズ。迷路のような旧市街を散策した2月21日の模様をお送りします。
▼ サハラツアー(2月18~20日)の模様はこちら
▼ 初日(2月15~16日)から読まれる方はこちら
モロッコ名物のリヤドに泊まる
3泊したフェズの宿はリヤド。リヤドはモロッコの古い邸宅を改装した宿泊施設で、90年代から増え始め、今ではリヤド選びがこの国を訪れる旅行客の楽しみの一つになっているらしい。
私が泊まったRiad Le Petit Patrimoine De Fesは特別シックでもゴージャスでもなかったけれど(失礼!)、カーペットもベッドカバーもベッドサイドの照明もアラビア風でかわいらしく、「モロッコの宿」感を満喫できた。大きな窓からは戸外ではなく、吹き抜けになっているロビーを見下ろせるのも面白かった。
フェズ観光は宿のオーナーのお勧めに従って、ガイドさんをお願いした。20日夜に宿に着き、宿泊手続きをしながら滞在中の予定を聞かれ、翌朝のガイドさんを手配してくれる、というスピーディーな流れ。帰国前日のシェフシャウエン観光もツアーをお勧めされたけれど、こちらは国営バス(CTM)を使うことにした。
フェズでガイドさんを頼むなどという初めての贅沢(?)をしたのは、思いのほかリーズナブルだった(半日で確か400ディルハム)こともあるけれど、何より宿にたどり着くまでに旧市街の道の複雑さを実感していたから。マラケシュの旧市街は迷いながらも何とか一人で回れたけれど(一人旅の私を心配した母からは、マラケシュもガイドさんと回るよう言われていた)、フェズはまた一段、難易度が上がりそうだな、と予測ができた。
地元育ちのガイドさんが語るフェズ
朝食を頂いた屋上のテラスは絶景だった。宿自体が旧市街の中心部に位置しているので360度の白い街並みが広がり、遠くに緑の丘も見える。屋内の螺旋階段を上り切り、このテラスに出た瞬間の爽快感は今も忘れられない。
10時に宿のロビーでガイドさんと落ち合う。どんな人かと少し不安に思っていたけれど、押しの強さは全くなく、落ち着きと自然な親しみやすさのある男性だった。職業的なガイドさんというより(実際はプロなのだけれど)、街に詳しいオーナーの友達が案内を買って出てくれた、といった雰囲気。通称「ザキ」さん、正式な名前は私には発音できそうにない音だった。
ザキさんはあちこちで知り合いにあいさつしながら、私には迷路としか思えない道をスイスイ進んでいく。「旧市街で育った人は、全部の道が頭に入ってるから」と当たり前のように言っていたが、後で宿のオーナーと話したときは「ここで育った自分でも、いまだに道を間違えることがある」ということだったから、やっぱり人によるのだろう(私なら100%後者)。
英文科卒というザキさんの案内はとても分かりやすく、全く予習をしていかなかった私にもスルスルと頭に入る。控えめな態度ながら、フェズの歴史や文化に誇りを持っていることが伝わってくるのも気持ちがよかった。モロッコ観光5日目で、そろそろ質問したいことが溜まっていた私があれこれ思い付くままに聞いても、即座に説明してくれる。今回の旅では、私はどうも先生タイプの人に縁があるらしい。
年齢の話になったとき、ザキさんに「当ててみて」と言われ、かなり若めに見積もって「30歳くらい?」と答えたところ、「27歳」とのこと。ひ、人の歳って分からないですよね……。私は彼の親世代に近かったのだが、立ち位置はすっかり逆転していて、
「アラビア語の『ありがとう』をもう覚えてるでしょう? 彼(お店の人)に言ってごらん」
「シュクラン!」
「そうそう!」
などとやられていた(笑)。でも、迷子になったり、ぼったくりガイドに付きまとわれたりせず、子どもになりきって歩けるのは安心で楽しかった。
ちなみに、シェフシャウエンでの街歩きを翌日に控えたこの日、ザキさんに会えたのは本当にラッキーだった。モロッコ初日からの「アクティベートしてもらったはずのSIMが使えない」問題を彼が解決してくれたのだ。やはりアクティベートのステップが未完になっていたらしい。
スマホの表示言語を日本語から英語に変更するだけでつまづいていた私としては(日本語は読めないはずのザキさんが「どの国の英語にするかも選ぶんじゃない?」と推測して教えてくれた)、ザキさん&協力してくれたザキさんの友達に感謝するばかり。ウェブ検索もグーグルマップも、到着6日目にしてようやく自由に使えるようになった。
ディープな街を一人で「復習」
14時頃にザキさんと別れ、遅いお昼を食べた後、早速グーグルマップを駆使して一人で散策。といっても、フェズの旧市街はマラケシュより小さく、主な観光名所はすでに回っていたので、一人になってからは名所たちの位置関係を確かめ、頭の整理をしたくらいだ。でも、この時間がなかったら、私にとってのフェズは「どこをどう歩いたかは分からないけれど、あれもこれも見た」という、夢のような印象で終わっていただろう。最後にサファリ―ン広場でテイクアウトのコーヒーを買い、宿まで迷わず戻れたときは、ちょっとした達成感があった。
狭い道を人、動物、荷物が行き交うフェズの旧市街は、歩くだけで疲れもしたけれど、車が通らないだけに、アラビアンナイトの世界に迷い込んだかのようなタイムスリップ感も味わえた。出発前、モロッコ各都市をどちらから回るかで迷い、ある本に「いきなりフェズに向かうと異世界感が強すぎるので、反時計回りがお勧め」と書かれていたのに従ったのだが、実際訪れてみると、その意味がよく分かる。新市街はマラケシュよりだいぶ広い大都会のようだけれど、旧市街はどこまでもディープなワンダーランドだった。
▼ 明日はフォトジェニックな青い町、シェフシャウエンを散策します
この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?