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モロッコ旅①羽田→マラケシュ:駅で2時間待ち!人情が沁みる夜の電車旅

2024年2月に行ってきたモロッコ一人旅、7泊10日の記録です。初めにマラケシュを観光した後、2泊3日のサハラ砂漠ツアーに参加してフェズに抜け、フェズから日帰りで青い街のシェフシャウエンも訪れました。

今までの海外旅行はヨーロッパ中心だった私にとって、モロッコ旅は少々難易度高め。ちょいちょい失敗し、ボラれもしましたが、街並みの色彩の豊かさ、イスラム建築の精緻さ、初めて目にした砂漠の美しさは、今も目に焼き付いています。

事前に宿を取り、電車・バスの時間も調べておくきっちり旅と、気の向くままのフラっと旅、どちらも好きな私ですが、今回はかなりフラっと寄り。最初の宿だけ、それも出発当日に取り、ガイドブックすら(買えなかったので)持たずに出る危ない橋を渡ってしまいました。

もし今「モロッコ旅の準備してない、ヤバい!」と焦っている方がいらしたら、「こんな人もいたよ~」ということで、少しでもご参考になれば幸いです(オンシーズンはこうは行かないかもですが……)。

マラケシュからサハラ砂漠へ向かう途中に立ち寄ったトドラ渓谷

リフレッシュは初めてのアフリカで

2024年1月末で5年勤めた会社を退職し、ライターとして独立。このタイミングで海外一人旅をしたいとずっと考えていた。初めてアフリカに足を踏み入れるモロッコ旅か、いろいろな人から「絶景」と勧められるクロアチア旅か――節目の旅行だけに、今の自分にしっくり来そうな場所で、思い切りリフレッシュしたかった。

「やっぱり未体験のアフリカにしよう!」と決めたのが2月に入ってから。そこからはバタバタだった。フライトはまさに2月中が安いと分かり、ドーハ乗り継ぎのカタール航空便を勢いで予約。片道22時間半、20時間以上かかるフライトは初めてだ。

旅行好き&旅行前の情報収集も大好きな私が、今回は過去イチ準備不足な状態で出発日を迎えることになった。まず、モロッコ旅行の情報自体が手に入りづらい。「地球の歩き方」もモロッコ編はちょうど増刷中でもあったのか、どこの書店にもなかった。結局、図書館にあったモロッコ本を拾い読みし、行きたい街と回る順番だけはほぼ決めた。

もう一つ、旅行準備が手薄になった理由は、出発当日に取材の仕事が入ったこと。飛行機を予約したのとちょうど同じ日に依頼を頂き、事情を伝えると、原稿提出は帰国後で構わないとのありがたいお言葉。これでもともとグータラな私の頭に、「荷づくりは取材後にすればいい」という悪魔のささやきが生まれてしまった。危険ですね……。

■旅のざっくりプラン

2月15~16日:深夜便でドーハ経由カサブランカへ→マラケシュへ移動
2月17日:マラケシュ観光
2月18~20日:サハラ砂漠ツアー
2月21~22日:フェズ&シェフシャウエン観光
2月23~24日:帰国

ローズピンクの街、マラケシュ

怒涛の初日はトラブルのフルコース

2月15日夜、秋葉原で変換プラグを調達してから羽田空港へ。モノレール車内で、「モロッコ一人旅は危ない」と心配しきりの母に、マラケシュのホテル名を連絡する。

母の溜め息が聞こえてきそうなLINE。この脳天気さの報いを、娘はこの後バッチリ受けることに

LINEしているうちにモノレールを乗り過ごし、空港にはギリギリの到着。カタール航空の係員さんに出発検査場まで案内(連行?)してもらい、23:55発の便に無事乗り込めた。コロナ後初、5年ぶりの海外旅行についに出発!

羽田→ドーハの13時間は、結局眠らずに音楽を聴いていた。この日は15時半から座談会の取材をした後、いったん帰宅して初日のホテルの予約、荷づくり、必要書類のプリントアウト……脳が興奮状態だったのだろう。

ドーハ空港着陸後、アラビア文字のサインが目に入ってきて、中東に来たのだと実感。私には完全にアートに見える文字がこんな実用第一の場所で使われているとは、不思議な気がしてしまう。日本の漢字や仮名も、きっと海外の人にはそう思われているんだろうな。

ドーハ→カサブランカのフライトも順調だったが、カサブランカ到着後は大変だった。準備不足&想定外のフルコース――母に送ったLINEのおバカスタンプが何度も頭をちらつくことになる。

ホントにOK?

■初日のトラブル&失敗集

  • 入国審査に長蛇の列。通過まで1時間以上かかる(カサブランカ空港ではこれが普通なのか…? ちなみに審査官には宿泊先を聞かれたので、ホテルの予約確認メールをプリントしておいて正解だった)

  • ターンテーブル付近に便の表示が見当たらず、全部の荷物がここに出てくるのかと待ち続けたら、部屋の奥に別のターンテーブルがあり、私の荷物はそっちで待っていた

  • 空港直結の鉄道駅(地下)に行くはずがうっかり空港ビルを出てしまい、またまた荷物検査に並んで再入場する

  • 空港で購入し、アクティベートしてもらったはずのSIMが機能しない! 空港からの電車に乗ってから気づき、Wi-Fi頼みのネット環境に陥る

  • カサブランカからマラケシュに向かう電車は予約でいっぱい。20時台の便にしか空きがなく、駅で2時間待ちぼうけ

  • 電車の切符売り場で紙に「2」と書いて見せられ、「2nd Class? Yes!」と答えたら、2席分発券されていた。売り場を離れてから気づき、また列に並ぶのも面倒であきらめる

マラケシュまで無事来いよ~

アナウンスが分からない!電車ガチャの恐怖

人でいっぱいのカサブランカの駅のホームで電車を待ち始めたときが一番心細かった。電車は軒並み遅れているらしく、アラビア語とフランス語のアナウンスがしょっちゅう入る。ヨーロッパを旅行するたびに英語アナウンスのありがたみを感じていたけれど、それが「ない」ときの置いてきぼり感は想像以上だった。

今回は言葉が分からないうえに、ネットも自由に使えない(駅にはWi-Fiがあった)、どこに行っても行列(これは結局カサブランカだけだった)。私、本当に9日間、一人で回れるのかな……。

本来マラケシュ行きが入線するはずの時間に電車が入ってきたが、行き先が車体のどこに書かれているのか分からない。キョロキョロしていると、若い女性が遠くから「これはマラケシュには行きませんよ!」と英語で叫んでくれた。彼女は私と話をしていたわけでもなく、瞬間的に私の状況を察知してくれたのだ。「ありがとうございます!!」。驚くほど勘のいい、親切な人だった。

コンパートメントの天使に出会う

15分ほど遅れて到着した電車はコンパートメントタイプで、たまたま同室の人が全員女性。自然に会話が始まり、私にも英語で話しかけてくれる。暖房の効いた車内で、温かい人たちに囲まれて気も緩んだのか、気が付くと私は船を漕いでいた。

隣の人に半分寄りかかっていたので慌てて謝ると、「全然構わないのに。ここに頭を乗せていいですよ」とにっこり。美人&いい人オーラあふれる若い人で、寝ぼけ眼には天使のようだった。そんな家族のような言葉を会ったばかりの人、しかも外国人にかける人がいることに、私は驚いた。

帰国後にこの話をすると「何か盗られたんじゃない?」などと言われるが、そんなことはない。モロッコ滞在中、観光客をカモにしている人にも随分お目にかかったが、こういう善意のかたまりのような人にもたびたび出会った。「親身」とか「お互い様」といった言葉がぴったり来る感じで、都会の若い人たちもその感覚を当たり前に身に付けている印象。あれがイスラム教のパワーなのだろうか?

23時頃マラケシュに着いてタクシーでホテルに向かい、旅の初めの長い一日が終了。10代の頃初めて一人旅をしたときのような心細さを味わった後、人情に癒され、元気をもらった日になった。捨てる神あれば拾う神あり(?)。おかげで忘れかけていた「海外一人旅モード」にも、ようやくスイッチが入った。

■初日のトラブル&失敗集・おまけ

  • マラケシュのホテルはクラシックですてきなインテリアだったのに、シャワーが水しか出なかった。深夜だからか?と思いつつ、気合いで浴びる(翌日は早めの時間にシャワーを使ったが、やっぱりお湯は出ず。もう部屋を替わりたくなかったので、またまた気合いで浴びる)

パティオ(中庭)も付いていたマラケシュのホテル

▼ 翌17日はいよいよマラケシュの旧市街を巡ります

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