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2分で読める子育てエッセイ№916『このベンチ、あの時の!』

ある土曜日の午後。中1の娘と薬局で順番待ちをしていたときのこと。
「小さい頃は、しょっちゅうここに来てたけど覚えてる?」
娘に訊くとぼんやりと覚えている程度。本当に久々だった。

でもワタクシなぜだかすぐに、目の前のベンチが気になりはじめた。それは何の変哲もない、背もたれもない3人用のベンチのはず。足元には仕切りもなくスッキリとしているのがとても印象的。

「なんでかな~」

その時ワタクシ、ハタと気がついた。
「あ! このベンチ、あの時の!」



今は小4の息子イチがまだ5歳ごろのこと。
隣にいたはずの息子が消えた。焦りながらあたりを見まわすワタクシ。
「あれ? イチ? イチ?」

すると、しばらくして息子の楽しそうな声が聞こえてきた。
「お母さん! ここだよ~」
それはワタクシの足元。息子はワタクシの座ったベンチの下から「ほふく前進」して姿を現した。
ギャーっ!

そう。あの時のベンチ! 懐かしい~!

そんなことがあるわけはないと分かってはいるけれど、念のため中1の娘がキチンと椅子に座っているかどうかをソーッと確認した。

・・・失礼しました。

きっとこの先、この薬局に来るたびにヒャッとしたことを思い出す。
とほほ。




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