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脳卒中者の運動機能評価-下肢Fugl Meyer Assessmentの評価法

こんにちは!
理学療法士のyukiです。
今回は、脳卒中の運動機能評価で脳卒中ガイドラインでも紹介されている評価方法の1つ、”Fugl Meyer Assessment(以下、FMA)"についてまとめていきます!


臨床的には、脳卒中者の運動機能評価として、”Brunnstrom Recovery Stage(以下、Brs)”がよく用いられているのではないでしょうか?

個人的には、簡易的に運動麻痺を評価する場合にBrsを使用しますが、より詳細に評価する場合、FMAを用いて評価をしています。

なぜなら、その妥当性・信頼性として高く評価されているのはFMAの方が高いため、データに信頼性があるものになります。

その根拠に添付している先行研究ではICCの評価がされています。

ICCとは・・・
ICC = Intraclass Correlation Coefficients

これは複数の検者により測定されたデータの信頼性(精度や再現性)を意味する。つまり、複数の検者が測定を行ったときに値がどれくらい一致するかを示す
0.7以上で高い信頼性と評価される。


下記に添付している論文では、FMAのICCは0.95と高い評価がされています。

つまり、これらの数値の高さは、評価者間信頼性が高く誰が行っても同じ結果になりやすい、という事です。

ここは評価において非常に重要な点だと思います。評価者によって結果が変わるとなったら臨床で話はしづらいですね。

是非、この記事で評価が出来るようになって、臨床で活用頂ければと思います!

では、早速、評価について、画像も含めて確認していきましょう!



まずは下記をご覧ください。

この画像に示しているのが、主なFMAの評価項目になります。

スクリーンショット 2021-05-30 10.39.46

主な項目は、
1. 伸張反射
2. 運動麻痺
3. 協調性

の3つを総合的に評価した内容で、下肢のFMA合計スコアは34点満点になります。

反射スコア以外を除き全てで0、1、2点で点数がつけられます。高い方が運動機能が高く、低い点数だと運動機能が低いと評価されます。

ご覧頂ければわかる通り、基本的には学生時代に行ってきたような、反射検査、協調性検査、運動検査で構成されているため、難しいことはほとんどしていないということに気づけると思います。

項目ごとに確認していきましょう!


評価方法の実際


1.伸張反射

ここで評価する項目は”2つだけ”です‼︎

膝蓋腱反射(大腿四頭筋)とアキレス腱反射(下腿三頭筋)になります。

上記ともに、反射があれば2点、反射がなければ0点です。繰り返しますが、この項目だけは1点の不十分という判断はありません。 

検査測定肢位は、座位にて両方ともに反射を誘発します。
十分な座位保持能力がなければ背臥位での検査でも可能かと思われますが、”運動麻痺のⅤの項目に正常反射”という項目があり、ここでは座位での実施を基本としているため、臨床的には座位で行い、上記の検査に加えて膝屈筋の検査も同時に行えれば対象者負担も減るかと思います!

この伸張反射の検査でも、反射はあるが、やや亢進や亢進状態かどうかも合わせて評価すると、”項目Ⅴの正常反射”の評価も同時に実施できることになります!


2. 運動麻痺

屈曲共同運動について

この検査で対象者は”背臥位”とします。

”股関節を曲げながら、膝を曲げて、つま先も曲げてください”という声かけで運動を誘導します。

その際に、各関節が十分に屈曲肢位を取れているかどうかで十分か不十分、不可を判断していくことになります。

例えば、股関節や膝関節は十分に屈曲できているが、背屈運動が全く起こってなければ、股関節2点、膝関節2点、足関節は0点になります。

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伸展共同運動について

この検査で対象者は”側臥位”、徒手的に股関節や膝関節、足関節は屈曲位からスタートします。

同肢位から”股関節と膝関節を後ろに伸ばして、つま先は下の方を向けます”などの声かけをしながら一度運動方向を他動的に誘導して説明をしましょう。

その後、自動運動にて実施してもらい、各関節が十分な伸展運動が見られるかどうかを判断します。なお、その際に側臥位であるため、内転方向にも力が入りかつ関節運動が見られるかどうかも合わせて評価し、内転の評価を行ってください。

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共同運動を伴った分離運動について

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