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安心で安全な日本製のカバーを、これからも。/ (有)小林縫製 代表取締役 小林 守


(有)小林縫製 代表取締役 小林 守さん

江戸時代から続く湖東麻織物の産地であり、縫製業の一大拠点、滋賀県愛知川(えちがわ)。


最盛期には大小合わせて50社を超える縫製業社や多くの内職者が縫製業に従事していましたが、安価な海外製品の取り扱いが増えた今では数えるほどしか残りません。
そんな中、ベビー向けの縫製をメインとする(有)小林縫製さんに産地で取り組むことや縫製品への想いを聞いてきました。


布団用カバーから医療用予防衣やマスクまで、時代に即した縫製業を営む。


西崎:いつも丁寧に縫製していただき、ありがとうございます。もう何十年も仕事をお願いしているわけですが、改めて、御社のことを教えてもらえますか。


小林:父が縫製業を始め、もうすぐ50年です。私は幼少期からよく来ていたので縫製工場は身近な存在でした。
大学卒業後、他社にて営業等に従事し、その後30歳で帰ってきました。

早いもので私が代を継いでもう10年。布団カバーの縫製がメインで、昔は量販店向けに月産2万枚も縫製していたそうです。今では考えられない枚数ですよね。
今はベビー向けの縫製がメインで、最近では医療用の予防衣とか、マスクの縫製もしています。

西崎:マスク!コロナの影響でしょうね。しかし、月に2万枚も縫製していたってことは、人もかなり雇われていたのでしょうか。


小林:そうですね。数十年前は縫製業で働く人も多く、内職さんもたくさんいましたから。ウチもこの場所以外にも拠点があって、総勢30人ほど働いてもらっていました。

西崎:そんなに?すごい人数ですね。

小林:今は10人ほどです。昔からのベテランが多いけど、中堅や若手も育てていかないと。
あと、ベトナムからの研修生が3名。異国の地で大変だろうけどみんな仲良く頑張ってくれてます。

ベトナムからの研修生。丁寧に作業する姿は見ていてとても頼もしいです。


西崎:はい、職場の雰囲気の良さは伝わってきます。
大変と言えば、社長が家業に従事するようになって、苦労されたことはありますか?

小林:そうですね、今までの会社員の立場から雇用する側へ180度入れ替わったわけで、雇用を維持する大変さは感じています。
生産拠点の海外移転やリーマンショック、2020年ごろからの新型コロナウイルス蔓延など、やはり日本経済の低迷の影響はありますね。


繊維業界、共通の課題。高齢化と担い手不足。

この業界は逆風が多い。しかも若年層が非常に少なく、40歳過ぎでもまだまだ若手で、50~60歳になってやっと中堅くらいだそう。

小林:店頭やネット上に自分たちが携わったものが並ぶので、それなりにやりがいはあると思うんですが。その良さをうまく伝えきれていないというか。
縫製業だけでなく、繊維業界全体で自己実現の可能性や社会貢献など時代に即した何かを提供できるようにしたいですね。


悩みの種である高齢化と担い手不足。一企業だけではなく、業界全体で考えていかなければいけない問題ですね。

西崎:近隣の彦根市も女性用下着の縫製が盛んな地域ですね。
御社も「ひこね繊維協同組合」に加盟されていて、横のつながりもあるかと思いますが、どのような活動をされているのでしょう?

小林:昔は小中学校の家庭科の出前授業に呼ばれたりしましたよ。
今は地場産業としてのブース出展をしたり、海外からの研修生の受け入れ機関としての役割も担ってます。
あと、忙しい時には縫製をお願いしたり。


西崎:なるほど!採用や縫製にしても困った時に助け合える理想的な関係なんですね。羨ましい…!


当たり前になっている海外製に抗う、日本製へのこだわり。

今や海外製の商品があふれる世の中。「日本製」という一種のブランドを掲げる限り、クオリティには妥協できません。
縫製という職人仕事を続けていくための「こだわり」を教えてもらいました。

小林:いつも皆に言うのは、ミスをなくす、クレームをなくす、返品をなくすことの徹底かな。シンプルに基本の徹底。
検品作業で不良箇所を見つけてやり直しってこともあります。

海外製の商品が圧倒的に多い昨今だけど、やっぱり体に触れるものだし、日本製の安心感を求めている人は多いでしょう。
そこの期待を裏切らないようにしたいですよ。

西崎:それは依頼する立場としては心強い限りです!


小林:あと、縫製って結構奥が深いというか、ややこしいというか。例えば生地の種類によって裁断や縫製しやすさとかが変わってくるし。

会社ごとに得手不得手もあって、ウチでは昔から大人用の布団カバーを縫製してるから慣れているけど、2mの長さのファスナー付けを苦手としているところもありますから。

逆にウチは伸縮性のある生地の縫製は苦手だったり。もちろんそのような生地の縫製を得意とされているところもあります。


西崎:わかります。布団も一緒で、この種類のわたは加工できても、こっちは難しい、みたいな。

小林:けど、縫製の仕事だし本当はNOと言わずに要望に応えないといけないわけで。そこをクリアすることで、また頼ってもらえるから。

私としてもどんどん新しいものを縫製していきたいし、小ロットや短納期にも出来るだけ対応して、ウチに任せてもらえれば安心と思ってもらいたい。

せっかく産地で仕事が出来るのだから、産地の名に恥じないようにこれからも技術を磨いて、日本製縫製品の素晴らしさを守りますよ。


編集後記

チームワークの良さが際立つ、小林縫製さん。
やはり勤続年数が長く、お互いの仕事内容が把握できているからであろう。しかしベテラン勢にばかり頼っているわけにもいかない。中堅・若手の定着や海外からの研修生の技術の底上げなど課題もある。
そして何より既存の仕事は大事にしつつ、新しい取り組みを常に模索していくことが必要で、近年新しく始めた医療用の予防衣やマスクの加工はその好例。
新規の引き合いは結構あるが、単価やロットが合わず断念することも多いので、そこの折り合いをいかにつけて、仕事に結びつけるか。

「やったことないから」「忙しくて無理」など断る理由を考える保守的な会社が多い中、日本での縫製にこだわりを持ち、様々な課題をクリアしていく小林社長。これからも頼りにしています。

株式会社ニシザキ 西崎匠


■会社情報
有限会社小林縫製
〒529-1208 滋賀県愛知郡愛荘町竹原967
TEL/0749-37-2134
FAX/0749-37-2680
MAIL/kobayashihousei@titan.ocn.ne.jp

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