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家事は続くよ、どこまでも。

あ、始まった。

2021年、7月23日のこと。

東京オリンピックの開会式を横目に、私は本を読んでいた。

この歴史的瞬間(らしいけれど、実はほとんど興味がない)に読んでいた本を、きっと忘れることはないだろう。

私たちの日常の中にある、葛藤が、「想い」が詰まっていたからだ。

「対岸の家事」
朱野帰子(講談社文庫)

私は、俺は、「大丈夫」?

朱野帰子(あけのかえるこ)さんは、2019年にドラマ化された「わたし、定時で帰ります」の著者でもある。

「対岸の家事」は家事をテーマに、

・専業主婦で子育て中の詩穂
・自分が熱を出しても休めないワーママ礼子
・不妊のプレッシャーを抱える医者の嫁、晶子
・実母との関係に苦しむ育休中のエリートパパ中谷

それぞれの葛藤や、日常が描かれた小説だ。

登場人物たちは「人生これでいいのだろうか」と思いながら、毎日過ごしている。

でも。自分が選んだ道は間違っていないと思いたいのだろう。

やればできるんだ。

私は、俺は、大丈夫。

できないはずがない。

本当は、大丈夫ではないのだ。

「何か」に引っかかっている。

人は、そうやって本音を隠して、平気なふりをしているだろうか。

そもそも、本音にも気付いていないのかもしれない。

きっと、どの立場でも悩みはあるのだろう。

登場人物たちが関わりあっていくうちに、これがわたしの、家族の「形」だ、とそれぞれが自信を得ていく。

そんな姿に、胸がじんわりと熱くなったような気がした。

ワーママ礼子が、専業主婦の詩穂にかけたこの言葉を紹介したい。

「詩穂ちゃんがしたい仕事をしなきゃだめだよ」


今の立場は、なんだっていい。

人は、自分の当たり前の中で生きているのだろう。

それを、他人に押し付けてはいけないと思う。

頭ではダメだとわかっていながら、「こっちの道はもっと幸せだよ」と笑顔でマウントし合っているような世界に生きているような気がする。

ああ、ゾッとする。

今、専業主婦だっていいんだ。

今、共働きだっていいんだ。

今、独身だっていいんだ。

私たちは、人から評価されるために生きてるわけではないのだから。

自分の当たり前に誇りを持っていい。

他人の当たり前にも「そんな道もあるよね」と言い合える人がいたら、どんなにいいだろう。


終わるもの、終わらないもの。

生きている限り、家事は続きます。

料理、洗濯、掃除。

子どもがいる人には育児もある。

育児は「いつか終わる」かもしれません。

でも、家事は続く。終わらない。

だからと言って、家事が「したい仕事」ではないなら、誰かに頼っていい時もあるはずです。

いつか子供たちが巣立った時、あんなに大変だったのに、なんて静かなんだろう、こんなにも寂しいのか、と、振り返るときがくるのでしょう。

もちろん、未来のことは分かりません。

じゃあ、今は。

人に、電化製品に、サービスに、頼ったり、頼られながら暮らしてもいい。

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そうだ。

今日は夏休み中の小4の娘と外食しよう。

昼ごはんの用意という仕事を、頼ろう。


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