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「難民」と「日本人」、みんな地球人でした!

初めまして、MUUTインターン生のあいすです🍦私はこの夏、MUUT代表の大橋希さんが現地コーディネターを務めた、タイガーモブ主催の「難民と共に生きる社会を創る、チェンジメーカープログラムinヨルダン」に参加しました。

ガザ地区問題で再び注目を集めている中東問題。このプログラムでは、難民問題に興味がある高校生、大学生、社会人が、一週間かけてヨルダンに難民として逃れてきた方々にお話を直接お伺いしました。「日本人としてできることとは何か?」という問いに答えるべく、難民と方々と対話を繰り返しました。

ここで、ちょっと私の自己紹介。
現在大学3年生。将来のビジョン模索中。
趣味は、自然に触れること。山に登ったり、海を泳いだり、美味しいものをたくさん食べたり、友達と過ごすそんな時間がたまらなく好きです。ネイチャーパワー恐るべし。

私が学ぶ、平和学とは?

私は大学で国際関係学、特に平和学について勉強しています。ここで少しこの平和学についてご説明しますね。

みなさんが想像する平和とはどのような世界でしょう?

戦争がない世界、人々が愛し愛される世界、笑顔で溢れる世界、そんな世界でしょうか。

「平和」と一言で表してもそれに対する思いは人によって異なるはずです。またそれと同時に平和は理想的なものである、ファンタジーの世界だという方もいらっしゃるでしょう。

みなさんもご存知の通り、現代には様々な深刻な問題が世界中に存在しています。人が人を殺し合う世界、家族や家を失い悲しみに暮れている人がいるということ、私には到底想像のつかない経験をしている人が同じ時代に生きています。

彼らが「平和な世界」で幸せに暮らせるのは夢の話なのでしょうか。

平和学では「平和」という言葉を現実的にどう定義すれば、我々はより良い社会を構築することができるのかについて問う学問です。つまり、平和学は平和のための条件を探究する学問なのです。

恵まれた「私」と「難民」が対等で居られる場所

私は、人々が幸せを感じる時がどんな時か、そのために私に何ができるのかに興味がありました。

しかしその反面、日本人であるということ、その中でも家族や友人に恵まれ自分でも幸せな人生であると胸を張って言える私が「難民支援」をするのは逆に失礼なのではないか、という葛藤もありました。

平和学を学んでいると、負の連鎖を断ち切ることの大切さ、対話の重要性などがキーワードとして挙げられます。つまり、辛い経験を持っても、前を向き続けることが平和を築くための第一歩だということです。

もちろん、将来に希望を持ち、人を許す心が必要だということは理解できますし、そういう人で溢れたらいいなとも思います。ただ、もしも私が大切な人や場所を奪われたとか、将来に希望を持てるわけがないと思う状況に生きている当事者だったら、この言葉はあまりにも他人事のように聞こえるはずです。自分の気持ちは理解されない、されるはずがないと孤独感を抱くかもしれません。

「平和」という言葉は人々のそばにあるもので、決して、強要するものではありません。だからこそバックグラウンドがあまりに違いすぎる「私」と「難民」の間にはきっと大きな壁があるのではないかと思っていました。

そのため、「難民」の人々と「対等」に仕事をしている希さん(MUUTの代表)の姿に驚き、このプログラムに参加することを決めました。

MUUT工房で働くメンバー

私が会った難民の人たちは、ひたすらにかっこよかった

私がこのプログラムに参加して思ったことは、「困難があってもその環境の中で自分ができることを探して生きている人たちはものすごくかっこいい」ということです。それは国籍や性別、境遇、年齢を問いません。

今回のプログラムでは難民の方々と直接お話をする機会が何度もありました。最初は辛いバックグラウンドを持っている方々だからどのように接すれば良いか分からず、緊張していました。

でも実際にお話を伺うとその力強さに毎回圧倒されまししました。自分だったら逃げてしまいたくなる、投げ出したくなる状況になったとしても前を向いて生活している姿は、ニュースなどでは報道されない素晴らしい一面でした。

以下、私が特に印象に残っている言葉をいくつかご紹介します。

初めて難民家庭に訪れて手料理を振る舞ってくれた時の様子

「国籍は関係ない、友達になれるよ。」

この言葉は、パレスチナ出身のローラさん、彼女の旦那さんでイラク出身のシュワンさんから言われたものです。

パレスチナとイスラエル、長く複雑な歴史を持ち、敵対意識は潜在的なものになりかけている中、私が聞いたことは「もしも私がイスラエル出身だったら、あなたは今のように友達になってくれますか?」という質問です。

冒頭にもお話した通り平和を築くためには対話は必須条件です。ただ実際はどうなのでしょう。もしも目の前に自分の家を壊した人が現れたら、どういう感情になるのか、私には全く想像がつきません。

ローラさんとシュワンさんとの記念撮影

彼女たちからは思いも寄らない「もちろん!」という答えが返ってきました。私はすごく驚きました。なぜならさっきまでいかにイスラエルがパレスチナに酷いことをしているか、それに国際社会がどういう対応をとっているかに怒りをあらわにしていたからです。

そのままお話を伺うと「私たちが憤りを感じているのは人ではなく政府だ。だから国籍など関係なく私はあなたと友達になれる。」とおっしゃっていました。もちろん彼女たちはこの現状を外に発信することを仕事にしている方々なのでリベラルに偏っている可能性もあります。

ただそれでもこの言葉は簡単に出てくる言葉ではないはずです。この言葉は私に改めて相手を一個人として尊重する大切さに気付かせてくれました。

「大変なのはみんな一緒」 

この言葉はMUUTで働いているシリア出身のミリアムさんの言葉です。

私は海外旅行が好きで今まで長期休みになると気になる国に旅行してきました。でもその度に異文化理解の難しさを感じています。

異国の地で生活する大変さをほんのわずかですが知っているからこそ、私は彼女にここでの生活について質問しました。生きていくためには、ヨルダンに来るしか選択肢がなかった彼女にとってここでの生活は窮屈でつまらないものなのではないかなと思っていました。

MUUTの上のカフェでお話し会

彼女は「もちろん大変だよ。」と少し寂しそうな表情で言いました。ただそれに加えて「でもそれはのぞみ(MUUTの代表)も一緒だと思う。彼女だって異国の地で一生懸命働いている。だから大変なのはみんな一緒。」とおっしゃっていました。

私はハッとしました。今まで、どうやったら自分は安全に安定した生活と『困っている人』を助ける仕事を両立できるか考え、悩んでいました。でもそんなものはないと、そういう仕事に私はつきたくないと思いました。

私は希さんとここで働かれている方々の関係性がすごく素敵なものでこういう人間関係を築きたいなと思いました。彼女の言葉は一緒に頑張っている希さんに対するリスペクトと支え合っているという自信からきた言葉だと感じました。自己犠牲による人助けではなく、お互いに支え合っている信頼関係はとても素晴らしいものです。

MUUT工房にもお邪魔しました

「あなたのその心が嬉しい。」

これはガザ地区出身のホールドさんが言ってくれた言葉です。

私は日本人として自分にできることはどれくらいあるのだろう、と自分の無力さを痛感していました。問題の根本的解決をできるほどの力も、同じくらいの悲しみを味わった経験もないため、悲しいという感情はもちろんあるけれど、寄り添うことはできないのではないかと思っていました。

そんな思いを持ちながら私は彼女に「中東問題は長く複雑な歴史を持っている。その一方で国際社会の関心はどんどん更新されていく。この状況にあなたは世界から置いてかれている、見放されているというふうに感じますか?」と質問しました。

これは彼女にとって話しづらい、辛い過去を思い出さなくてはいけないものだったと思います。それにもかかわらず真摯に答えてくれた彼女に私は大変感謝をしています。

様々な考えを伝えてくれた中で、彼女は気に掛けることの大切さを強調していました。家族や友人と電話をする、最近の調子を聞く、これらをすることで彼女たちの孤独は和らいでいくとおっしゃっていました。

そしてどうしたら私があなたたちを幸せにできるのかと聞きました。日本人として私に何ができるのか、一番お聞きたかったことです。

彼女は「この状況をあなたの周りの人に伝えてくれると嬉しい。そして何よりあなたのその心が嬉しい。」と言ってくれました。何もできないと思っていた私はこの言葉に救われたことを覚えています。彼女の話全てを理解することはできなかったけれど、彼女のまっすぐな生き様にとても感動しました。

支援者と被支援者以上の関係を築く

MUUT代表の希さんをはじめ、現地で様々な活動をされている日本人女性にもお会いしました。彼女たちは難民の雇用創出や、難民キャンプの教育支援、ユニセフなどの支援をされている方々です。

しかしお話を聞くと、支援者と被支援者の立場以上の信頼関係がありました。同僚として、友人として築かれた関係性はまさに国境は関係ない、人と人とのつながりそのものでした。

私が今まで“日本人”であることに抱いていた難しさを紐解いてくれたような気がします。国際問題も結局は人です。それに対してできることは私次第であるということを彼女たちのお話を聞いて一貫して感じたことです。

最後に...

今回このプログラムを通して出会えた全ての人たちのおかげでまた一つ大切な場所ができました。どんなに上手くできたドキュメンタリーにも教科書にも載っていない現地の人たちの声を聞けたことは私にとって貴重な経験でした。

同じ参加者のみんなと感情を共有して私たちなりの考えを話し合った時間はとてもかけがえのないものになりました。また、自分がやりたい、なりたいと思っていた大人の方々にお会いできたことは私の未来をパッと明るくしてくれました。

そして何より、辛い過去や大変な状況の中、その胸の内を丁寧に話してくださった全ての方々に感謝しています。彼女たちの笑顔がこれからもキラキラと輝き続けますように。


▼株式会社タイガーモブとは
タイガーモブ は、一歩を踏み出す全ての人へ、地球規模のチャレンジと出会いを提供し、共に未来を創るパートナーです。オンライン/オフラインに関わらず、知ること(INSPIRE)から世界に貢献すること(IMPACT)まで、誰もが好きや得意、興味関心を追求したり、現場に飛び込む機会が揃っています。そして世界を舞台に挑戦する仲間が集まり、互いに切磋琢磨することで、挑戦が加速するコミュニティです。人生のターニングポイントを生み出し、生きる軸を磨き上げることで、個人の人生と1万年後の未来にとってよりよい機会と繋がりを創ることが私たちの役割です。

▼MUUTとは
中東ヨルダンに住む難民に仕事を届けることを目的とした、オリーブの木製食器ブランド。ヨルダンの首都アンマンに自社工房を持ち、全てハンドメイドで製作。オリーブウッドは、個性のある木目と硬さが特徴。

▼株式会社qaraqとは
2021年コロナ禍をきっかけに、代表大橋がヨルダンに渡航。生きるために国から逃れた、何万人といる難民に雇用を生むため、起業を決意。現地で大量に余っているオリーブの木で木製食器をつくるブランド「MUUT」を運営。立ち上げのストーリーはこちらから。

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