感想 家康江戸を建てる 門井慶喜 江戸のインフラを整備した男たちの物語。
ブラタモリというNHKの番組で、河の流れを変え
湿地帯の江戸を住みやすくした話しを見た記憶がある。
江戸は無名の男たちの努力で作られた町だ。
本書に出てくる男たちは、あまり有名ではないが、彼ら無くしては江戸のインフラは整備できなかったのだと思います。
江戸開発、河川工事(治水)の話
江戸開発、貨幣の鋳造(金融)の話
江戸開発、上水(水道)の話
江戸開発、石垣(築城)の話
江戸開発、漆喰壁の天守と白い街並み(築城+街づくり)の話
江戸は荒涼とした湿地帯だった。
まず、人が快適に住める土地に変える必要があった。
河川工事がそれである。
「伊奈忠次」という人が、利根川や荒川の付け替えをした。
利根川は江戸湾に流れてて、それを東に移し、鬼怒川に接続させて、銚子に流れるようにしたのだった。
これは当時の技術では不可能と言われた大土木工事である
これを伊奈家三代の男たちがやってのけた。
これが一話の話しです。
二話目は、貨幣の話しで、豊臣秀吉は京都の後藤家に天正の大判のような
装飾的かつ褒美に利用する貨幣を作らせていたが
家康は、実務的な一両小判を作らせた。
つまり、これは貨幣戦争なのだ。
今までは、秤で測量し金の価値を決めていたが
徳川の出した貨幣によって、何枚という数で貨幣の価値を決めることができるようになった。
貨幣改革の物語です。
三話目の飲料水インフラの整備の話しは
大工事でした。
暗渠の水道を作り、土地の高低に関係なく水を運ぶという形を作り上げました。
これもブラタモリでやってたのを思い出しました。
四話目は、石垣の話し。
最終章は、家康はどうして天守閣の色を白漆喰にさせたのかということでした。
これは一つの仮説だとは思うのですが、白は平和の色。
これからは平和だという思いの反映だったのかもしれません。
白装束は死人が着る。つまり、徳川政権を作った死者たちへのレクイエムということなのかもしれないということでした。
当たり前のように、僕たちは生きているが
インフラ整備をした名も知れぬ男たちがいた事実や情熱は知っておいていいものだと感じました。とても面白かったです。
2023 10 30
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