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感想 この本を盗む者は  深緑 野分  本の中に入り旅する物語。でも、その本は呪われていたのです。

呪われた本。本の中を旅する物語。
ホラーファンタジーを期待していたのですが、ミステリー色が強いファンタジーでした。
ひるね という変わった私設図書館に住んでいる叔母の出生の謎と、その意味。
どうして本たちは呪われたのか、その方法は?。
作中に出てくる本の意味は?
最後に一気に伏線を回収してくれてすっきりでした。

ミステリーだと思います。

印象に残った言葉を紹介します。

「失くしたものは、簡単には返ってこないんだよ」


これは父が本を売ろうかと、呪いが解けた時に言った時の主人公の少女の言葉です。
本嫌いで、本に固着する祖母や家が嫌いで、自分の代になったら全部売ると言っていた彼女が
この冒険で到達した心境が込められています。

旅の途中で出会った真昼や、消えてなくなってしまった 叔母の ひるね
ふたりのことが念頭にあったのは言うまでもありません。

目次
第一話 魔術的現実主義の旗に追われる
第二話 固ゆで玉子に閉じ込められる
第三話 幻想と蒸気の靄に包まれる
第四話 寂しい街に取り残される
第五話 真実を知る羽目になる
1つずつ、本が違います。
最初は、童話みたいな話しで
二話目は、固茹で卵つまりバードボイルド
四話目では、街の人がいなくなり
最後で真実を知るという展開。

本の中に入った人は少しずつ兎化していくというのが楽しい。
この兎というのがKeyになります。

ファンタジー小説の場合、ベタな悪役がいないといけないし
キャラが濃厚なキャストを配しないといけないのですが
本作には、それがなかった。
だから、楽しいのだけれど中途半端感が出てたのかなと思ったりします。

ファンタジー小説は好きなので、僕は楽しめました。
好き嫌いが出る作品だと思います。

2022 7 20 
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