畑中修介

音楽好き(特にインディーロック/エモ)

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スウェーデンの伝説的ロックバンドKentの歴史を知るための名曲20選

 かつてスウェーデンで国民的人気を誇り、2016年に惜しまれつつも解散した伝説的ロックバンド、Kentをご存知だろうか。今回は、私が敬愛してやまないKentの数々の名曲の中から、特に優れていると思う20曲について語っていきたい。  20曲を選出するにあたって、私の主観だけではなく、ある程度客観的な視点も入れたいと思い、明確な選出条件を設けることにした。  下記3点のうち、いずれかに該当していることを選出の条件とする。  1. シングル化している  2. ベストアルバム『B

    • グラスゴーのベテラン、TRAVISの音楽を聴き直す

       先日10枚目となる新作『L.A.Times』をリリースしたばかりのTRAVIS。  個人的に、このバンドへの思い入れは強い。  高1の頃にベスト盤をレンタルして聴いてみたが全く良さが分からず、その後暫くはポップパンクなど分かり易い刺激をくれるファストな音楽ばかり聴いていたのだが、1年ほど経過し何気なく聴き直してみると、雷に打たれたように良さが分かり、急いで5th『The Boy With No Name』のCDを買いに行き、そこからハマったという思い出がある。「良さが分

      • Winnie "Nostalgic Evolution" (2014)

         00年代の国内インディーシーン、とりわけ90'sのEMOから影響を受けているバンド達が好きだった。  EMO+ブリットポップなOCEANLANEを筆頭に、 MineralやGloria Recordを彷彿とさせる柏のBuddhistson、 ゲットアップキッズの熱烈フォロワーである青森のLocal Sound Style、 Pizza of Deathでは異色のパワーポップサウンドを鳴らしていたComeback My Daughtersや、Weezerからの影響が色濃い福

        • Sondre Lerche "Two Way Monologue" (2004)

           Sondre Lerche (ソンドレ・ラルケ)は、地元ノルウェーにおいて絶大な人気を誇るシンガーソングライターである。  2022年には、ノルウェーのグラミー賞である"Spellemannprisen"において、Alternative Pop/Rock Albumの最優秀賞を受賞している。  レコーディング当時19歳の若さでリリースしたデビュー作、"Faces Down"でノルウェーグラミー新人賞を獲得したのが2001年。  そこから現在までに10枚ものオリジナル

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        • Elliott Smith関連
          3本
        • EMO関連
          14本
        • 全アルバム聴いてみた
          10本

        記事

          2024上半期 新譜レビュー

           今年も早いもので半分が経過した。  良かったものから期待外れだったものまで、気になったものをランダムにレビューしていく。 ◾️ヘッドライナー級の大物  ビッグネームでまず名前を挙げたいのはThe Smileの2nd『Wall of Eyes』。'22年の前作『A Light For Attracting Attention』は、思い切りギターロックサウンドを掻き鳴らしているように見えて、その中身は難解で取っ付きづらかった。それに対して本作は、難解なエレクトロ・アンビ

          2024上半期 新譜レビュー

          Kings Of Leon全アルバム聴いてみた

           The Nationalなどもそうだが、キングス・オブ・レオンもまた、海外での人気と日本での知名度が最も大きく乖離しているバンドの代表格だろう。  かく言う私も、その乖離を作り出すのにしっかりと貢献しており、アルバム単位はおろか、曲単位でさえ彼らの音楽を聴いたことが全くなかった。  先日リリースされたばかりの新作『Can We Please Have Fun』を機に、全作をレビューしてみようと思う。 1st『Youth and Young Manhood』(2003)

          Kings Of Leon全アルバム聴いてみた

          2024.04.14 STARMARKET 30th Anniversary Tour@今池Huck Finn

           世界一好きなバンドのライブを観てきた。  前回の2019年の再結成ツアーが一生に一度の機会かと思っていたが、まさか再びスウェーデンから来てくれるとは。  更に、20年ぶりの新曲を引っ提げての来日という、ファン感涙の展開である。 ◾️セットリスト 01. Ten Seconds (2nd) 02. Carry On (2nd) 03. Count With Fractions (3rd) 04. You Can't Come (2nd) 05. Into Your Ar

          2024.04.14 STARMARKET 30th Anniversary Tour@今池Huck Finn

          Vampire Weekend 全アルバム聴いてみた

           5年ぶりとなる5th"Only God Was Above Us"をリリースしたばかりのヴァンパイア・ウィークエンド。  個人的に、彼らの音楽は2008年頃にデビュー作を少し齧った程度で、それ以降は聴いてこなかった。当時高校生だった私はメロコアやEMOなど分厚いギターサウンドばかり聴いていたため、"A-punk"のスカスカな音と、鼻歌系へなちょこメロディ(当時はそう感じた)に辟易とした記憶がある。  当初はインディーロック界隈におけるカルト的人気としか思っていなかったの

          Vampire Weekend 全アルバム聴いてみた

          "SCIENCE FICTION" 収録曲から辿る宇多田ヒカル25年の軌跡

           デビュー25周年を記念したベスト盤『SCIENCE FICTION』のリリースと、『Laughter In The Dark Tour 2018』以来6年ぶりとなる全国ツアーの開催を発表した宇多田ヒカル。  ベスト盤に選出された26の楽曲に焦点を当てながら、25年間の活動を振り返っていく。 1st "First Love" (1999)Science Fiction収録曲:2曲  -Automatic  -First Love  『日本の音楽史上一番売れたアルバム』、

          "SCIENCE FICTION" 収録曲から辿る宇多田ヒカル25年の軌跡

          ハードコアパンクとEMOの邂逅 The Coastguards『I Refuse』(2014)

          The Coastguards(ザ・コーストガーズ)は、千葉県柏市を拠点に活動する、メロディック・ハードコアバンドである。  彼らが参照する音楽は、Dag NastyやLifetimeといった80's〜90'sのハードコア・パンクから、Further Seems ForeverやStarmarket、Jimmy Eat Worldといった初期EMOまでを網羅している。  それらの音楽を見事なまでに鮮やかにクロスオーバーさせてみせたのが、2014年リリース、彼らにとって唯一

          ハードコアパンクとEMOの邂逅 The Coastguards『I Refuse』(2014)

          カナダの大所帯バンドBroken Social Sceneの音楽を聴き直す

           ここ最近、3ヶ月前にリリースされたKevin Drewのソロアルバム『Aging』をよく聴いている。  Kevin Drewといえば、カナダの大所帯バンドBroken Social Scene(以下、"BSS")の発起人にして、音楽レーベルArts & Craftsの主宰者でもある、カナダ音楽シーンにおける重要人物である。 もう一人の発起人であるBrendan Canningと2人でBSSを立ち上げたのは1999年。同じくカナダ出身のアーケード・ファイアとともに、00年

          カナダの大所帯バンドBroken Social Sceneの音楽を聴き直す

          Aiming For Enrike『Music For Working Out』(2020)

           Aiming For Enrikeというバンドを紹介する際によく用いられる、『ノルウェーの爆裂マスロックデュオ』というキャッチコピーがとても気に入っている。  『爆裂』というワードだけ聞けば何とも陳腐な響きだが、実際に彼らの音楽を聴いてみれば、成るほど確かに『爆裂』が相応しいように感じられるし、それ以外の言葉では彼らの音楽を形容することは不可能だとさえ思えてくる。  ギターとドラムのみの2人組というミニマルな編成ながら、圧倒的な演奏技術と、エフェクターを最大限に駆使した

          Aiming For Enrike『Music For Working Out』(2020)

          2024.1.28 Elephant Gym@渋谷O-EAST

           台湾のインディーロックバンド、Elephant Gym(大象體操)のライブを観に行った。  マスロック/ポストロックを出自とするバンドだが、カテゴリにとらわれない自由な音楽性に以前から魅力を感じていたバンドだ。高度な演奏技術を持っていながら、それに頼り切りになることなく、あくまで引き出しの一つとして留めている姿勢には好感が持てる。  昨年12月にリリースしたばかりの4枚目のフルアルバム『WORLD』を引っ提げ、これから北米ツアーに向かうという彼らだが、今年で結成10周年

          2024.1.28 Elephant Gym@渋谷O-EAST

          EMOの元祖、Sunny Day Real Estateを語る

           ちょうどこの記事を書いていたところに、このバンドに関するニュース記事が飛び込んできた。デビュー作の30周年記念USツアーを行うこと、そしてデビュー作のスタジオライブ盤を5/3にリリースすること、そこには新曲1曲が含まれていることが発表された。 ◇  Sunny Day Real Estateについて語るのは、EMOというムーヴメントの歴史を語るのと同じことだ。  何故なら、EMOはSunny Day Real Estateに始まり、Sunny Day Real Est

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          STARMARKET来日決定

           スウェーデンのEMOレジェンド、STARMARKETの5年ぶりの来日がアナウンスされました。  2019年に奇跡の再結成&来日を果たしましたが、今回は結成30周年を記念しての来日とのこと。  私のSTARMARKETに対する個人的な思いは過去に記事にしたので今回は詳しくは書きませんが、↓  初期EMOファンは勿論のこと、ポストハードコア好き、メロコア好き、ポップパンク好き、パワーポップ好き…幅広く刺さるバンドではないかと。  Hüsker Dü、Superchunk

          STARMARKET来日決定

          旧譜レビュー(24年1月)

           次々と新たな音楽が現れては消費されていく時代になった。  簡単に音楽を手に入れることができるようになったからこそ、丁寧に音楽を聴いていきたい。  10年、20年と、長く愛聴し続けたいと思える音楽との出会いは貴重だ。  自分が10年以上愛聴し続けているアルバムを紹介していきたい。 The Pigeon Detectives『Wait For Me』(2007年) 00年代に現れた有象無象のガレージロックバンドの中で頭一つ抜けた実力を持っていながら、今ひとつ目立ち切れて

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