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演奏家の「緊張」を本質から解決する方法!?

どうも、初めて人と会うときですら緊張するようなワシじゃ。
(こういう人ほど酒を飲むと緊張を超えてずうずうしくなります。)

ということで、
今回は緊張をテーマに書いていきます。

まずは緊張の本質として、その正体を解説します。
そして、その解決法を3種類お伝えします。

ここには巷でいわれている「緊張を抑える方法」もありますが、
本質を見極めることで、
「緊張させない」から「緊張を活用する」方法も書いていきます!


・緊張を和らげたい!
・緊張を克服したい!
・酒を飲んでコンクールやオーディションに出られたら…!


そんな悩みを持ったことのあるどなたにも参考になると思います!

緊張の本質

◆「緊張」は身体の機能の一つ

いざというときにパフォーマンスが下がってしまう………
そんなマイナスイメージを持たれがちな「緊張」ですが、
その正体は身体に備わっている、とても優秀な機能の一つなのです。


人間の脳は、動物の本能として、
変化を拒むようにできています。

例えば大昔の狩猟生活において、
今いる森で動物や木の実が獲れ、なんとか生きていけるとしましょう。

けれども隣の森ではもっとたくさんの食料が手に入るかもしれない!
しかしそう思っても、脳は移動することを拒絶しようとします。

なぜかというと、
移動した結果、実は手に入る食料が今よりも少なくなってしまい、
死んでしまう可能性があるからです。

生きていけるなら、移動して豊かになる可能性よりも、
現状維持して生きていくことを優先するように、
本能として備わっているのです。

◆緊張の正体

つまり緊張の正体は、
生存確率を上げるために脳が身体にかけるブレーキであり、
「変化を拒む本能」だということです。

現状がなんとか生きていける状態なのであれば、
環境が変化するかもしれないリスクを、
「生存確率が下がるリスク」として認識します。


例えばコンクールやオーディション。

もし受賞したり通過したりすれば、
評価が上がったり実績ができて、今より豊かになるかもしれない。

しかし、もしダメだった場合に、
自分の才能の無さや能力不足に直面したり、
他の人の方が優れていることなどが明らかになってしまう可能性がある。

そりゃ自分より優れた演奏家・音楽家はたくさんいるさ!
と、頭ではわかっているかもしれない。
でも自分が豊かになる可能性より、
それらを明らかにしてしまうこと、他人にさらけだしてしまうことは、
生存確率を下げかねないと、脳が優先的に判断してしまいます。
こうして本能レベルで変化を拒んでしまうのです。

言い換えれば、自分や自分の遺伝子を残すことを最優先にした
「現状維持の本能」
これこそが緊張の正体ということです。



緊張の解決法3選

◆緊張はあなたの永遠のパートナー

家族よりも、恋人よりも、酒よりも、マインクラフトよりも、
24時間ずっとあなたの傍にいる「緊張」という機能。

今まで散々苦しめられてきた方もいらっしゃるかもしれませんが、
緊張の正体はあなたの生命を、
誰よりも何よりも守ろうとする味方だということがわかりました。

今までずっと、そしてこれからも、
あなたの味方でいてくれる存在です。

だから消すとか克服とかするよりも、
もっと有効活用できたら最高ですよね?


今から3つの「緊張を解決する方法」を書いていきますが、
後半に進むにつれて強力になっていくと考える順番で書いていきます。

時間の無い方は3つ目だけでも読んでいってください!

①身体のコントロール

「緊張しない方法」で検索すると、必ずと言っていいほど出てくるのが、
この身体のコントロールに関するものです。

・深呼吸する
・ストレッチする
・手足を温める
・瞑想する
・上手くいっているところをイメージする
・ヨガ
・アレクサンダーテクニーク
・糖分、水分補給

といったその場で出来そうなことから、

・本番と似た環境で練習する(誰かに聞いてもらうなど)
・失敗してもとにかく最後まで続ける
・リハーサルやイメージトレーニングを念入りにする
・録音して客観的に聴く
・自信がつくまで練習する

といった事前準備の段階で、
緊張や失敗に慣れるもの、自信をつけることなどが見当たります。


これだけたくさんヒットするということは間違いではないのでしょうが、
正直これであまり上手くいった経験は私にはありません…

身体のコントロールで解決できるレベルの緊張であれば、
この方法で成果を得られているのでしょう。

調べたらやり方などは出てくるので、
身体のコントロールに関して、詳しいことは割愛します。


しかし、これでも解決しなかったという人には、
もうちょっと深いアプローチが必要になります。

②認知のコントロール

そもそも緊張するということは、
身体の問題よりも「考え方(=認知)」の問題かもしれません。

緊張しやすい認知を持っていたら、
一生懸命に身体のコントロールをしようとしても、
緊張は解けにくいものです。(むしろ悪化する場合も…)


よく言われるのが、コップに半分の水が入っていて、
"半分しか水が入っていない" VS "半分も水が入っている"
みたいな解釈の問題に近いです。

ここでよく見るのは、
・緊張を受け入れる(拒否しない)
・自分に向いている意識を相手に向ける
・伝えたいことをしっかり押さえておく
・完璧主義を捨てる
・今の自分にできることに集中する
・緊張をほかの言葉に言い換える(ラベリング)
・マインドフルネス(目の前のことに集中する)

といった、内向きのコントロール術です。

他人にどう思われるか、自分の名誉や評判がどうなるか、
そういった自意識過剰になっている緊張感から対象を逸らすような、
考え方を変える自己コントロールが多い印象です。


個人的には身体のコントロールより上手くいく可能性が高いですが、
それでも体感的に20%くらいの成功率です…

上手くいったときは、この認知のコントロールをしようとした時ではなく、
逆に最初からあきらめてた時が多いです(爆)

結果的に自意識過剰じゃない状態になっていたというだけですが、
やはり自意識過剰は緊張の大きな要因です。

認知のコントロールで自意識過剰を抜け出せるなら、
あなたは素晴らしい柔軟性を持った人間です。


ですが、
①の"身体のコントロール"も
②の"認知のコントロール"も
実は成功確率が低い要因があるのです。

③つ目をご紹介する前に、
それについて考察してみましょう。

◆自己保存のジレンマ

身体のコントロールや認知のコントロールで、
自分を律しようとするのには限界があるかもしれません。

これらの方法を否定するわけではありません。
方法論としていたるところで共通のことが書かれているので、
役に立つケースは多くあるのでしょう。


しかし、この「緊張にフォーカスして対処しようとする姿勢」は、
自己保存(現状維持)とチャレンジ(変化)の対立で葛藤が起こっている、
いわば「ブレーキとアクセルを同時に踏んでいる状態」になりがちです。

本能では変化を拒んでいるが、
理性ではいい結果や成績をだしてもっと豊かになりたいと考えている。
それにより、脳に混乱が生じてしまうのではないでしょうか。


なのでこれからお伝えする③つ目では、
自己保存の本能を逆手に取る”というアプローチを提案します。

③目的のコントロール

人は自己保存のために変化を嫌う生き物ではあるが、
そのリスク以上に生存確率を高める効果が大きく、
簡単で、すぐ実行できそうなことであれば、
進んで変化を受け入れるための行動ができるというのです。

自己保存の本能を逆手に取るような方法、それは


向社会的・利他的な行動や考え方をする』


というものです。

”向社会的な行動”とは、
「何らかの外的な報酬を期待することなく、自由な意思によって他者や他の集団に恩恵を与えるような他者の利益を意図した行動。」

”利他的な行動”とは、
「他人に利益となるように図ること。自分のことよりも他人の幸福を願うこと。」

つまり、相手の利益になるような行動姿勢のことです。


なぜ、向社会的・利他的な行動や考え方が自己保存と結びつくのか。
それは、人間関係を築いていくための社会的行動だからです。

人間は一人では生きていけないとよく耳にします。
かならず誰かとの関わりの中で生きています。

特に日本人は「和」を尊ぶ国民性が血に濃く受け継がれていて、
良好な人間関係を築いていくことが生存確率を大きく上げる要因になっています。


簡単にできることは、
とにかく目の前の相手に喜んでもらうことを意識することでしょう。

喜んでもらう、楽しんでもらう、笑ってもらう、
発見や気づきを得てもらう、いい気分になってもらう、
などなど。

そして、こういった行動は自己注目を減らし、
緊張のコントロールを手放すことにもつながります。

コンクールやオーディションの場合、
結果的に音楽や演奏で豊かになれないこともありますが、
(むしろ順位や枠が決まっている構造上、その方がほとんどでしょう)
人生という広い視点では人間関係がプラスに働く可能性が高まり、
ひいては生存確率を上げることにつながるのです。


アメリカなどではフロンティアスピリッツともいうべき開拓者精神、
自分たちでつかみ取るんだ!という血が濃く受け継がれていると思います。

映画とかでも鏡に映った自分に「お前はできる!出来るやつだ!最高だ!」
なんて鼓舞してるシーンを見かけますが、
そうやって生存確率を高めてきた大きな歴史があるからだと思います。


日本人には向社会的・利他的な行動や考え方の方が、
歴史的にも文化的にもすんなり受け入れられるのではないでしょうか!

音楽家であること

音楽家とは、どういう存在なのでしょうか。

誰かを喜ばせたり、慰めたり、
心を豊かにしたり、作業を楽しくさせたりと、
音楽を使って人や社会や世界に貢献する。

そんな道を選んだ人たちだと思います。


緊張を解決する方法は、
どんな音楽家であるかを自分に問うことかもしれません。

今回の記事が皆様のお役に立てることを願っております。

またの!

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