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「楽しい」野球はやっぱりいいものだーー神宮にかかる虹と、鮮やかな芝生と 【3/16 オープン戦 巨人⚫️】

張り替えられた内野の人工芝の緑がとても鮮やかだ。「なんかじんぐう、ひさびさだね!!」とむすめが言う。「ほんとだねえ、なんか嬉しいねえ」と私は言う。

相変わらずシンプルで、情報量の限りなく少ない電光掲示板を見ながら、帰ってきたなあ、と思う。ただいま、と思わずつぶやく。

「じゅりがマウンドに立つだけで泣ける」といつもと同じことを思っていたら、いつもと同じようにじゅりは5点取られていた。

・・・5点?いやそれは気のせいだ。いつもは3点のはずだ。

気のせいだとは思うけれども、ビールを飲んでいたらあっという間に7点が入っていた。カモンカラシティー、とつぶやいて私はまたビールを飲む。

でもなんだか、「まあこういう日もある」といういつものあれが、なぐさめの色合いを少しだけ薄めていたように思う。「言い聞かせる」だけでなくて、ほんとうに、「まあこういう日もあるよな」と、思っていたのだ。

…まあ、ラインを見返していたら「悪夢」と一言だけ送信していたけれど。たぶん気のせいだ。

じゅりが5点も取られたその裏、ぐっちはしょっぱなからツーベースを放った。エイオキとてっぱちは、じわじわとぐっちを進塁させ、点につなげた。塩見は盗塁をしまくり、ベテランは進塁打を打ちまくり、とにかく「じわじわ」と、次の塁を狙い、点差を縮めていった。

そうですか、「じわじわ」なんてできるのか…と、私は思う。

何かの決まりかのように、1回につき1点ずつしかとらなかったのに、結局また、(また、)9回に2点を取った。追いつくことはできなかったけれど、最大6点あった点差は、1点差にまで縮まった。

こういう試合を見ているとやっぱり改めて思う。「楽しい」試合ってすごくいいなあと。そりゃ勝てるのが一番いいけれど、今日みたいに山のように見所があって、つっこみどころがあって、よく笑ってよく飲んで、そういう試合はやっぱり楽しい。

少しだけ雨が降って、そして気づけば神宮の空には、虹がかかっていた。

みんな、塩見のヒットと、盗塁と、雨上がりの空と、そして虹を見てにこにこしていた。なんだか、明るい未来を見ているようだった。

エース候補なんじゃなかろうかと思われたドラマの主人公みたいなピッチャーが、7点取られたりする。「巨人の丸」は仕事がデキすぎてえらい脅威だったりする。「神宮の亀井」はなぜかいつもやたら打つ。

だけど、打ちまくって走りまくる2年目がいて、気づけばいつもホームランを放っている19歳がいる。25歳と一緒に、ダブルスチールを決めちゃう34歳もいる。

悪いこともあれば、いやたぶんあるからこそ、いいこともある。虹を見ながら、そうだった、野球ってめちゃくちゃ楽しかったな、と、私は思い出した。

張り替えられた鮮やかな緑の人工芝は、シーズンが進むにつれ少しずつ、また色あせてくるかもしれない。形あるものは少しずつ、損なわれていく。でもそれでも、そこにあるその時しか見られない景色を、今年もたくさん見ていきたいなと思う。いつか全部に来る終わりの時まで、そっと、ここで。

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