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マッシュの思考

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2023年5月の記事一覧

忘れたいのは、漕げなかった二人乗りの夜。

今日も昼ごろ起きた。文字を書いて、ラジオを聴いて、本を読んでいた。

窓を開けていたから、隣人の楽しそうな声が聞こえてきた。昼っぽくて良かった。鳥のさえずりが聞こえて、柔らかな風が吹いていたから草原で読書をしているような気分だった。

ご飯を食べる前にそっと窓を閉めた。

それから見たかった番組をつけたら釘付けになり、すぐに終わってしまった。授業終わりの残り数分は永遠のように感じられていたのに、楽

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そのまま欲に溺れて、その手を消滅させてしまえばいいさ。

読書は夜への冒涜かもしれない、と本に書いていた。夜はその暗さや寂しさをちゃんと感じる時間だからと、少女はそんな感覚で生きていた。

真夜中、部屋の電気をつけてそんな小説に耽る自分を客観的に見ると滑稽だった。

知らない言葉がたくさんあったけれど、ひとつも溢したくなくて調べながら読み進めていた。いつもはなんとなく分かるからと読み飛ばすような言葉も、調べてみたら曖昧さが抜け落ちて心地良かった。

そん

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破綻した思考を繋いであげるからさ。

昨日の夜は、涙と綻びの間みたいなところにいた。笑い泣きのような泣き笑いのような時間を過ごしていた。

喋ったらなんだか嫌になって、聞かなきゃ良かったなと思った。大変なのは分かっているよ、ずっとそうなんだから。もっと楽しそうなところを見ていたかったな。

泣くなら勝手に泣けばいいさ。自分はそれを見たってへらへらと引き攣った笑顔で、ティッシュを渡すことしかできないんだろう。手が震えて持っていられないけ

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聴き心地のいいパンク音楽のような。

聴き心地の良い、というのは、丸くなって柔らかくて万人受けするようなことではなくて、本能的に感じる落ち着きのことだ。激しさだけではない、細部の丁寧さだと思う。つまびらかなんだ。

それは上手さとも違うだろうし、正体は分からないけれど、繊細さなのかもしれない。

脳内で向こうの自分が聞いてくることに真剣に答えてみたり、何も答えられなくて自分の空っぽに気づいたりしていた。

今日も何度寝か繰り返して昼過

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写したのはすでに過去、蘇る去年の今。

今日は何度寝か繰り返して気づいたら夕方だった。昨夜、好きな作家の文章について書かれた記事を読んだ。

行動や現象をそのまま説明するのではなくて、様子や表情で伝えるから落語的なんだと書いていた。なんだか妙に納得して、朝方寝た。なんだか、と、妙に、は同じような意味なら二重表現なのだろうか。もしそうだとして、意味が同じならどちらかだけしか使えないのだろうか。そんなことばかり考えるのはあまりに窮屈だ。

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捻くれていたけれど、あの子元気かなとかちゃんと思えるよ。

朝、カーテンの隙間から外を見たら、畑仕事に取り掛かるおじいさんがちょうど見えた。歳をとると早起きだって聞くけど、早く起きたから働き始めるのか、そのために早く起きているのかどうなんだろう。

自分はそれから寝た。

昼に起きて、天気予報は雨だった。また寝た。夕方になった。ここのところ天気予報ばかり見ているな。自転車に乗るからなるだけ雨は避けたいし仕方ないじゃないか。

途切れ途切れに雨が続くようだっ

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こんな日に、良い天気ですね、って言ってくれる人がいい。

それで、雨が止めばね、って答えたい。涼しくて風があって、雨がサワサワと音を立てる日に、部屋の中で過ごすのは心地良い。映画を見たくなるし、小説を読みたくなる。やりたかったことだって取り掛かろうと思える。

今日は午前中には起きた。雨が降る予定の昼までに外に出たかった。

起きて、ご飯を食べていたら予報は変わり、昼前から雨が降ってきた。だから外に出るのはやめた。

部屋で映画を見た。

夢が現実か分か

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読めない漢字に片仮名なんて使わないけれど。

逃げて逃げて逃げまくれ、と言う。

後ろを向かずに一目散に逃げるのは、何もせずに見て見ぬふりをするのとは違うことに気付いた。見て見ぬふりをすることが逃げるに当て嵌まる時もあるだろうけれど、嫌なことから逃げる時は全速力で走らなくちゃいけない。

まるで鬼ごっこだ。見て見ぬ振りはかくれんぼだからいつか見つかる。でも逃げるのは範囲のない鬼ごっこで、常に追われている状態ということになる。現実とか社会とか普

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思い込んだ世界が全てになってしまうから。

今日は午前中には起きた。食事をして、ギターを少し弾いて、垂れ流した動画をぼんやり見ていた。ずっと雨が降っていた。

昔のお笑いを見て古くなるってこういうことなのかと思った。でも変わらずに面白いところもあって、そういう部分が今も残っているんだろう。目の前の人を楽しませたいという純粋な気持ちがある方が好きだ。そのための手段だから別に古くなったって構わないし、今だけ伝わるというその時は気付けない儚さみた

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もはや路頭に迷うまでもない速さで。

今日はずっとギターを弾いている。起きてご飯を食べてそれからずっと抱えている。悩みのような存在感で抱えられている。

耳と指が麻痺している。

遠くに聞こえるラジオと、いつかの自分が吐き出した言葉と、いつまでも鳴らせない音と、いつからか鳴っている音と雨を待っている。風は強いのが音で分かる。揺れも実感もないのに外に出る気を失せさせる。

本能の皮を被った理性が今日は部屋で過ごそうと諭してくる。昨夜聞い

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さよなら、で締める会話もいいだろう。

時代が追いつかなくて消えた天才を見ていた。みんながそう言うからきっとそうなんだろう。でも時代に合うことをする才能の方が重宝されるから、彼らみたいに挫折する人間が生まれるんだ。

死んだあとに売れて得る地位や名誉なんてちっとも欲しくないな。実感できないし、満足できない。満足したくてやってるんじゃないだろうけど、表現の元には満たされたいという渇望があるはずだ。

きっと容器が大きすぎるわけではなくて、

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チョコレートを飴玉みたいに溶かしている。

早く寝たいとか言いながら最近は毎日夜更かしだ。昨夜の記憶はもうない。名前がまだない、あの小説を読んだこともない。読みかけの本に挟んだ紙だってずっと動いていない。

好きな場面を繰り返し読んだり、好きな映画を繰り返し見たり、気に入った食べ物を狂ったように食べ続けたりする。だから新しいものが入り込む隙間がなくて、買ってそのまま積み上げた本は居心地が悪そうだ。

昨夜の記憶が残っている部分では音楽に溺れ

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