聴き心地のいいパンク音楽のような。

聴き心地の良い、というのは、丸くなって柔らかくて万人受けするようなことではなくて、本能的に感じる落ち着きのことだ。激しさだけではない、細部の丁寧さだと思う。つまびらかなんだ。

それは上手さとも違うだろうし、正体は分からないけれど、繊細さなのかもしれない。

脳内で向こうの自分が聞いてくることに真剣に答えてみたり、何も答えられなくて自分の空っぽに気づいたりしていた。

今日も何度寝か繰り返して昼過ぎに起きた。

窓の外から草を刈る音がする。窓を開けて、風と共にその機械音を取り込んでいる。金属が高速で回り、高く伸びた草を切り裂いていくんだ。その工程のどこの音かは分からない、でもこれが草を刈る時の音という音が部屋の中まで入ってくる。

それを掻き消すように耳元に音楽を流していた。音楽のジャンルとかどうだっていいけど、たぶんパンクを聞いていた。不思議な言葉なのにイメージが広がるから凄いな。そんな言葉を使って繋がってみたいな。

過去に書いた日記を読んでみたら、今よりもっと下手くそな文章だったけど、今よりもっと主観的で日々がはっきりしていた。好き嫌いも含めて、つまらなかったとか格好悪かったとか良くなかったとか、そういうことを直接書いていて恥ずかしくなった。

評論家気取りっていう職業があればいいのにな。それで金が稼げればいいのにな。好きなものだけ取り入れて、浅い知識と理解だけの感想をそれっぽく文章や言葉にして金を貰いたい。

そんなことをやっている人は既に腐るほどいるんだ。でも価値はないから金にならないんだ。自分はそんな安い虚飾に踊らされて生きているのかもしれない。それならそんな自分がいちばん滑稽で阿呆じゃないか。

無意識に溜め息が出た。そしてそれさえも跳ね返ってきた空気の圧で気づく。全くいい加減な生活だ。

明るいうちに風呂に入って、もういつでも眠れる。でもまだ起きたばかりだからきっと眠れないし、本でも読んで習慣を取り返したい。

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