むるめ辞典
■散歩
[読]さんぽ
散る歩
[例文]
犬の散歩道は決まっていて、近くの池をぐるっと一周させることになっていた。
昼間はゴルフの打ちっぱなしに使われているその池に、仕事を終えた大人たちが白いボールを打ち込んでは難しい顔をして家に帰っていく。
夜になると、黒く輝く糖蜜のような水面に白い点がポツポツと浮かんでいて、やがて池の淵に流れてくるそのゴルフボールを、子供達がくすねていった。
私たち兄弟もそのうちの一人で、散歩させていた犬をフェンスにつないで、池の淵まで降り、漂着したゴルフボールを拾っては投げて遊んでいた。
犬が吠えても聞こえないフリをしながら、ポチャンポチャン、とボールが水を打ち、糖蜜のような水面が揺れるのを飽きずに見ていた。
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