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小説は精神安定剤「さよなら、ヤモヤモヤ」

今年は例年になく小説を読んでいる。しかもファンタジーが圧倒的に多い。

「今年」とはいえ、小さい頃は読書が好きな子供で、学校からの帰り道、隣に友達がいるのに本を開いて歩きながら読んでたこともあった。(まじごめん、友達)
家族は誰も読書好きじゃないから、友達をないがしろにして本に夢中になる娘に母は本気でひいていた。

でも年齢を重ねるごとに「ほかにやること」も出てきて、ここ数年読書にハマることはなかった。人からおすすめされたり、たまたま見かけた興味のある本に没頭することはあったけど、その本を読み終わってしまえば、読書熱は冷めた。読書というより単品で読んでた感じ。

それが変わり、幼いころのように読書という行為自体にハマるようになったのは去年。「図書館の魔女」という私にとって人生で1番と言っても過言ではないほどの小説と出会ってから。

図書魔女沼にどっぷりハマってから、他の小説にも手を出すようになった。読書の楽しさを思い出した。図書魔女が思い出させてくれた。

それから、また読書を始めた。なんで今まで読んでこなかったんだろうってくらい夢中になった。え、私暇な時間何してたっけって思い出せないくらいに。

読書を趣味に取り戻して以降、この趣味は社会人にぴったりなんじゃないかと思った。少なくとも「社会人になった私」にはぴったりだった。

社会人になって出合う「嫌なこと」って大体どうにもならないことじゃない?どうにかなることだったら自分で回避したり、変えたりできるから。だからその「嫌なこと」に対して、いかに自分の心を平穏にして対応するかが大切なんだと思う。
そういう状況に、小説はぴったりだ。

読んでいる間は何もかも忘れてその世界に没頭できる。本当に忘れてる。小説を開いている間、私はこの「どうにもならない世界」ではなく、「小説の世界」を生きている。ページをめくっている限り、目の前の本に心が入り込んでる。

ふと視線をあげるとそこはすぐ元の世界。あっという間に引き戻される。でもその時の私の心はちょっと軽くなってる。モヤモヤがなくなったわけじゃない。現実は変わらないのだから。

でもモヤモヤモヤモヤモヤって気持ちがモヤモヤモくらいにはなってる。このモヤモヤモ状態だったら、明日またヤモヤモヤがやってきても、受け入れることができる。

 

他人によって心を支配されるのはつらく苦しいけど、自分で心をリセットする術を持っていれば誰かに支配されなくて済む。それってかなり大事だ。

人によっては、モヤモヤを取り除いてくれるのが小説ではなく、ドラマや映画、YouTubeや音楽、スポーツ…なんだろう。なんでもいい。

 

とにかく、それさえあれば、逃げ込める。

同じようにひどい状況だとしても、逃げ込む先があることは強い。

だから私は今日も小説を開く。

現実逃避には特にファンタジーがぴったりだ。おかげで現実世界とファンタジー世界を重ね合わせて、自分でも訳わかない世界を作り上げてしまうことがあるのだけど。

そうして、また無限の世界に熱中する。

何も考えてない。その時に私の中にあるのは小説の登場人物たちが繰り広げる豊かな営みだけ。

ページから目を離し、ふと見上げた空は、前より青く見えた。

さよなら、ヤモヤモヤ。

 

 

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