法人の生命保険に見られる【闇の感情】
おはようございます。
【起業準備中から起業5年目までの経営ドクター】
税理士の村田佑樹です。
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■以前の記事でも
書かせていただいたように、
ここ最近
税理士の変更による顧問契約を
いただく機会が多くなりました。
その際に、
法人であれば
決算書を拝見するのですが、
どうしてもいびつな形
…と言うと
表現が悪いかもしれませんが、
要は、
【整っていない決算書】
を見るケースがあります。
今日はそんなことから
お話を続けていくことにいたします。
■最もその金額の大きさのあまりに
目立ってくるのが、
『保険積立金』
という資産の科目。
これは、
法人での契約により
生命保険に加入したことによる
その生命保険料の全部又は一部の金額。
多くは
節税や退職金準備のために用いられ、
支払った保険料の一部が
この保険積立金
という資産として
計上されているわけなんですよね。
■生命保険の保険料は
やはり将来の保証を
担保していくものであるため
それなりの額になります。
当然のことながら、
いわゆる「節税商品」
と言われる生命保険であれば
その支払った分が
全額経費になるなど、
当期の法人税の負担は
すごく減る一方、
当然のことながら、
その分の現金は少なくなります。
■つまり
【お金を使う節税】
であり、
これは
【将来払うべき税金を
繰り延べている】
という結果となります。
言い方を換えると
そのような結果となること
に過ぎない
とも言えますね。
仮に
法人税等の税率が
30%であったとすると、
1千万円の全額損金(経費)
になる生命保険料を支払えば、
1千万円×の30%で
300万円の税金が
少なくなるわけです。
ただ、手元からは
700万(1千万-300万)円の
キャッシュが消えている状況。
■しかしながら、
保険料を払った期は
経費になり、納税が減る一方、
解約の際には
その保険金収入が収益となり、
その分税負担が出てきます。
その一方で、
保険金収入のあるタイミングで
役員に対して退職金を払うことにより、
「退職金」という経費を
計上することができるため、
保険金収入と退職金が相殺され、
その期については
税負担を避けることができる
という仕組み。
■ただ、これは私見ではありますが、
役員が退職するタイミングなどは、
特にこのここ最近の
先行き不透明な状況からは
明確に推測することが
難しいわけでありますし、
何より
毎年そういった
多額の生命保険料を払っていく
ということ自体が
資金繰りの都合上で考えると、
リスクであるように思ってなりません。
■しかしながら、
税理士変更により見えられた
法人のお客様の決算書には
保険積立金が計上されている。
…これはどういうことでしょうか。
これはひとえに、
【税理士により
勧められたから加入している】
という状況が少なからずあるわけで、
税理士は
保険会社の代理店をすることにより、
その成約により
マージンをもらえる
という仕組みになっているんですね。
■これが死亡保障などとなると
それなりの契約になるため、
場合によっては
数十万円の臨時収入となることも。
どうしても
お金に目がくらんでしまうと、
場合によっては、
実は契約者にとって
メリットのないような商品を
提案している
という状況が見受けられるわけで、
経営者の方は
そんなことを知る術もなく、
「税理士から言われることだから…」
ということで
そんなに迷うこともなく
その契約を決めてしまう
という現状が
残念ながらあります。
■そういった事情から、
私自身は
「生命保険の代理店は絶対しない」
ということを公言しており、
それがまた
顧問のお客様にとっても
最善のことである
と思っているわけです。
(もちろん、生命保険の本来の目的
を果たす上での検討はします。)
どうしても代理店をしてしまうと
成約によるマージンに
目がくらんでしまい、
本来あるべき姿である
【お客様の立場に立って考える】
という
税理士の視点からは
かけ離れてしまう結果となるものです。
■税理士の他にも
いろいろな間に入っている人から
こういった
生命保険を勧められるケースが
あるとは思うのですが、
【最も大切なのは現金】
です。
その現金を減らしてまで
納税を減らすという行為は、
これから先が見え辛い
経済情勢においては
極めて怖いものである
と思っておいた方が良いかと思います。
■しっかりと、
その本質を捉え、
節税を目的とするのではなく、
【手元により多くの現金を残す】
という本来の目的を果たすべく、
しっかりと
そういった考えを根幹に据えて
経営を考えていきたいものです。
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《本日の微粒子企業の心構え》
・いわゆる【お金を使う節税】は、
実際に手元のお金が減ってしまうため、
その実行にあたっては
慎重に考えるべきである。
・生命保険契約が成約する際には、
その成立により利益を得る人が
当然のことながら存在する。
そのような事情から、
適切な生命保険についての
提案がされていないという現状がある。
しっかりと
【手元に現金を残す経営】
ということを根底に据えて、
その時々の最善の策をとっていくべきである
ものと心得ておくべし。
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今日も最後までお読みいただきまして、
ありがとうございました。
これまで書いてきた記事は、
バックナンバーとして、
私の公式HPの【ブログ】に
アップしていますので、
よかったらご覧くださいませ。^^
起業準備中から起業5年目までの経営ドクター
税理士 村田佑樹
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